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忙しい時こそ観たい、「旅」映画3選【映画のすゝめ】

そうだ、旅に出よう。

最後にそんな気持ちになったのは、いつだっただろう。

 

年を重ねれば重ねるほど目前の忙しなさに囚われて、気づけば日常は私たちをどこまでも追いかけてくる。

それでも、勇気を持って日常を放棄し、非日常へと一歩を踏み出す人がいる。そんな勇姿には、心の奥底でわずかに燻る残り火を吹き返す力がある。

たとえ画面越しでも、みんな私たちと同じありふれた人間。

 

携帯電話を切る勇気がないあなたへ。

「旅」をテーマに、とっておきの映画を3つ紹介します。

初恋の香り漂う、台湾×日本の超センチメンタル映画『青春18×2 君へと続く道』

出典:filmarks映画情報 (https://filmarks.com/movies/112764)

 ◎こんな人におすすめ!      

  • 台湾文化に興味がある人
  • 中国語を学びたい人
  • フィルムカメラ風の映像が好きな人
  • 映像美に浸りたい人
  • 忘れられない人がいる人
  • 一人旅がしたい人

どんな映画?

初恋ほど、忘れられないものはない。

 

人生を賭けて築き上げてきた大切な会社を、一瞬にして奪われたジミー。

「休息是為了 走更長遠的路(一休みはより長い旅のため)」。

そんな父の言葉も、仲間の慰めも、彼の心には何も届かなかった。

 

たった一つ、彼の心を突き動かしたのは

ふと手を伸ばした、懐かしい香りの漂う一枚の絵はがきだった。

部屋の隅に大切に保管されていたそれは、18年前の初恋の相手からのものだった。

忙しなさに追われて、ずっと忘れていたあの頃の記憶がじわじわと蘇る。

 

絵はがきに描かれた、知らない街の、知らない光景。

あの日の彼女への憧憬をなぞるように

ずっと情熱を注いできたキャリアへの歩みを止め、ゆかりのない街へと踵を返した。

 

回り道をした先で彼が見た景色は、彼になにを与えたのか。

淡い郷愁の香り漂う、出会いと別れの作品。

 

観る前に知っておきたい、この映画のココがスゴイ!

映画『青春18×2 君へと続く道』は、過去と現在という二つの時間軸で、台湾と日本の美しさを交差的にエモーショナルに映し出します。

画面の美しさだけでなく、Mr.Childrenの楽曲や岩井俊二監督『Love Letter』など、「あの頃」を想起させるような作品が、会話の中に鮮明に落とし込まれているのも見どころの一つです。

作品情報

『青春18×2 君へと続く道』

 監督・脚本:藤井道人(他作品:『余命10年』『正体』など)

 原作:ジミー・ライ

 キャスト:シュー・グァンハン(ジミー役)、清原果耶(アミ役)

 公式サイト:https://happinet-phantom.com/seishun18x2/ 

 

隠居暮らしのオジサンと女性脚本家が共に過ごした不思議な数日間『旅と日々』

出典:filmarks映画情報 (https://filmarks.com/movies/112764)

 ◎こんな人におすすめ!      

  • 夢を追いかけることに疲れてしまった人
  • 単調な物語が好きな人
  • 日常から飛び出す勇気がない人
  • 都会より田舎に趣を感じる人
  • 映像美に浸りたい人
  • 一人旅がしたい人

 

どんな映画?

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。

川端康成の『雪国』の冒頭を想起させるような光景に、思わず息を呑む。

 

雪がすべてを覆うように、この作品は全ての人に隈なくスポットライトを当てる。

物語の核となるのは、自分の才能に嫌気がさした韓国人の女性脚本家・李(シム・ウンギョン)と

山の麓でひっそりと宿を営む隠居暮らしの宿主・べん造(堤真一)。

これは、友達でも、恋人でも、家族でもない、赤の他人同士の邂逅の物語。

 

雪の降った日、旅人として突然現れた李に、べん造は成り行きで宿を貸す。

宿といっても、そう称しただけの、ただの古びた古民家。

 

静寂が続く。べん造は、どこから来たのかも、なぜ来たのかも、尋ねない。

李もまた、多くは語らない。

不器用で口下手ながらも人生の重みを感じる二人の声が、

白い息に変わって混ざる。

 

真っ白な雪景色と対比的に映し出されるのは

スクリーン越しまで草いきれの漂う真夏の神津島の情景。

映画の中の映画。李の手がけた脚本を読む少年少女の青い眼差しが、観る人の心を掴む。

夏と冬。嵐の轟音と、雪の静寂。

五感で体感する未知の世界が、そこにはある。

景勝地のように整備された美も確かに良いけれど、

少しほこりの積もった、生活が垣間見える空間でしか味わえない幽玄さを忘れてはならない。

 

登場人物については、最後までほとんど語られることはない。

そこに描かれるのは、知らない誰かの旅と日々だけ。

 

独特な静謐さを帯びた映像美をぜひ、目に焼けつけてください。

 

観る前に知っておきたい、この映画のココがスゴイ!

映画『旅と日々』では、夏と冬の二つの季節を対比的に映し出します。

それぞれのシーンは、神津島と山形県という二つの異なるロケ地で撮影されました。

神津島という小さな島だからこそ撮れた映像と、山形県の地形を巧みに利用して撮影された一面の雪景色。

映像の美しい構図に、ぜひ注目してみてください。

 

作品情報

『旅と日々』

 監督・脚本:三宅唱(他作品:『若者のすべて』『ケイコ 目を澄ませて』など)

 原作:つげ義春

 キャスト:シム・ウンギョン(李役)、堤真一(べん造役)、河合優美(渚役)

 公式サイト:https://www.bitters.co.jp/tabitohibi/ 

独身男女の運命的な出会いと葛藤を描く、SFファンタジーラブロマンス『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』

出典:filmarks映画情報 (https://filmarks.com/movies/120610)

 ◎こんな人におすすめ!      

  • アメリカが舞台の映画が好きな人
  • SFラブロマンスが好きな人
  • 恋愛で傷つく/傷つけるのが怖い人
  • 煮え切らない過去がある人
  • 考察しがいのある映画が好きな人
  • ヒューマンドラマもラブロマンスも、同時に味わいたい人

どんな映画?

青と黄、対照的な色の傘をさして向き合う男女のメイン・ビジュアルは

彼らがこれまで別軸の人生を歩んできたことを示唆する。

 

40歳を目前にしたデヴィッドとサラは、共通の知人の結婚式で出会う。

同じ街に住んでいるという共通点で会話が弾むが、

互いに惹かれながらも、一歩も踏み出すことはなかった。

 

年を重ねるほど、人は出会いに保守的になる。

うわべだけの関係であれば、本当の自分を見せることも、深く傷つくこともないから。

 

しかし、引力に引かれるように再会を果たした彼らは

他人同士のまま、旅へ出る。

 

ナビが示す先へ向かうと、

広大な敷地の上に明らかに場違いなドアがぽつりと一枚立っている。

扉を開けた先には、時空を超えた旅が待っていた。

 

人生の大切な瞬間をやり直せるドアがあったとしても、

まっすぐ飛び込める人はそう多くはないだろう。

過去に戻っても大抵の場合、未来は変わらない、

これがタイムスリップ物の映画の定石だからだ。

 

それでも奇妙な光景を前にした時、人はその好奇心に抗えない。

ドアの先にあったのは、彼らが何十年経ってもずっと忘れられなかった、あの頃。

図らずとも辛い過去と向き合うことになった彼らは、同時に自分自身のどうしようもない内面にまで強制的に目を向けさせられる。

 

惹かれ合う二人の前に立ちはだかる、自己嫌悪という大きな壁。

結婚の適齢期を過ぎた彼らが、過去の過ちや後悔を受け入れた先で選んだ、彼らなりの結末とは何か。

奇想天外な場面展開の中で繰り広げられる、脆く、儚いヒューマンドラマ。

観る前に知っておきたい、この映画のココがスゴイ!

作中には、一枚の特徴的な絵画が登場します。

その絵画を彷彿とさせる演出が、各場面に散りばめられています。

コゴナダ監督のこだわりを感じるさりげない演出にも、ぜひ注目してみてください。

また、作中の音楽はスタジオジブリ作品などで世界的に知られる久石譲さんが手がけました。

ハリウッド作品初進出の彼の美的な旋律にも、耳を傾けてみてください。

作品情報

『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』

 監督:コゴナダ(他作品:『アフター・ヤン』『コロンバス』など)

 脚本:セス・リース

 キャスト:コリン・ファレル(デヴィッド役)、マーゴット・ロビー(サラ役)

 公式サイト:https://beautiful-journey.movie/ 

 

おわりに

今回は「旅」をテーマに3作紹介しました。

 

たとえ画面越しでも、そこに描かれているのは、みんな私たちと同じありふれた人間です。

旅を夢見させてくれるのは、いつだって自分以外の誰かだけど、

その喜びを、驚きを、感動を、本当に味わうことができるのは

きっと、あなた自身がその目で、耳で、肌で、本物の光景に向かい合った時です。

 

世界に数多と存在する旅の映画は、

きっとそんな光景に出会うための、切符なのかもしれません。

 

そうだ、旅に出よう。

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