新しい場所に行くこと、新しい人に出会うこと、新しい気持ちを知ること。
新しい一歩を踏み出すことは、いつだって簡単ではない。
そこで、新しいことに挑戦するハードルを限りなく0に近づけたい!と思い、初心者の目線から何かを語ってみることにしました。
「新参者コラム」第一回のテーマは、巷で話題の「ZINE」について!
そもそも、ZINEってなに?
ZINE 。ずっと「ザイン」と読んでいたこの単語が、正式には「ジン」と読むことをつい最近知った。
ZINE(ジン)とは、個人や少人数のグループで作る自主制作の小冊子を指します。自分の好きなことや伝えたいことを誰でも自由な形で表現できることが一番の魅力です。紙の質感やインクの種類といった細かいこだわりを一つ一つ大切にできることもZINEならではの楽しさです。
そんなZINEクリエイターが数多く集まるのが、毎月全国各地で開催されているフリマイベント「ZINEフェス」。「ZINEを通して、作り手と売り手が直接つながるイベント」のようですが、一体どんなイベントなのでしょうか。
今回は、実際に浅草で2026年1月10日に開催された即売会「ZINEフェス東京」に行ってその実態に迫ってきました。
出展する自信もなければ、お客さんとして参加する勇気もない…。
そんなあなたに、フリマ参加初心者の私がZINEフェスに行って見たもの、感じたことを初心者目線でお話しします!
ZINEフェスに行ってきた!
ZINEフェスに参加するのは、今回で3回目。まだまだ初心者です。
初めての参加は一昨年の夏、たまたま渋谷の宮下パークで開催されていた「ZINE PARK SHIBUYA」。
最初は美術館みたいな気持ちでウィンドウショッピングをしていたものの、よく見ると出展者も参加者もおしゃれな人が多くて自分が浮いている気がして居た堪れなくなり、逃げるように帰宅。パッと見、カップルや友人同士で回っている人が多かったです。
二回目は、一回目の反省を生かして友人を誘って、埼玉県の浦和パルコで開催された「ZINEフェス埼玉」へ。誰かと話しながら回ると自分だけでは気づけないものにもたくさん目を向けられて、より楽しむことができました。
そして今回、私が足を運んだのはZINEフェスの中でも特に大規模といわれる「ZINEフェス東京」!
ZINEフェス東京はいつも浅草で開催されます。数年ぶりに浅草に降り立ったのに、雷門も五重塔も見ることなく向かった先は産業貿易センター 浅草 台東館。この日は5階と6階の2フロアを丸々使ったZINEフェスでした。13時頃に行くと、場内はすでにたくさんの人で賑わっている様子。
入り口でワンコインとリストバンドを交換して、早速回るぞ!と思ったものの…
会場が広すぎて、どこから見ればいいかわからない!!
左から右まで机が10列ほど等間隔にびっしりと配置されている。とりあえず、比較的空いている右列から回ることにしました。見渡す限りZINEと称したエッセイ集や小説、歌集、写真集、日記など、あらゆる創作物が並んでいて、これまでのZINEフェスとは比べものにならない規模感の会場にまだ慣れず、おどおどしながら歩みを進めてみる。
とにかく、楽しい!!!
手前から奥まで、たった一列見るのに1時間以上かかってしまいました。このままでは日が暮れるまでに見終わらない…!と焦り、少しテンポを上げて見ることに。
ひとくくりにZINEと言っても十人十色で、表現は多様性に富んでいます。
実際に売られていたユニークなZINEたちをいくつか紹介すると、
- エベレスト登頂者のZINE
- 手相占いZINE
- 世界のビニール袋ZINE
- サウナZINE
- 着物ZINE
- シュウマイ弁当の食べ方ZINE
- 現役製菓メーカーのおすすめお菓子ZINE
- 中野が舞台のSF漫画ZINE
こんな感じ。エベレストを登頂した人のZINEは実際に登頂した時に使用したカラビナでページがまとめられていたり、シュウマイ弁当の食べ方のZINEでは崎陽軒の代表取締役に弁当を食べる順番を聞いていたりして、非常に本格的でした。
ZINEフェス東京の様子
ここからは、ZINE フェス出展の様子を写真とともに紹介します。
①おいしい短編集
「ご試食ください〜」というZINEフェスにそぐわないデパ地下のような声掛けに足を止めると、美味しそうな短編集が四冊並んでいる。浅草橋「古書店みつけ」さんによる出展のようだ。
ちょうどお腹が空いていたので一冊購入すると、「お早めにお召し上がりください」と笑顔で店主に言われる。ユーモアのある素敵な出展。ちなみに、賞味期限はないらしい。
②謎の植物、ちょろぎ
写真左下の段ボールに乗った「ちょろぎ」が、絶え間なく揺れている。
少し興味を示して立ち止まると、「ちょろぎは中国からやってきたシソ科の植物で、おせち料理なんかにも時々使われるんですけど〜」とお兄さんがちょろぎ愛を語りだした。架空のキャラクターだと思っていたら、野菜だったのか。ちょろぎの認知度を高めるために、このZINEフェスへ出展を決めたらしい。
「美味しいんですか?」と聞くと「もちろん、僕は好きです」と言われて食べたくなったが、こちらは試食はないようだった。
③ZINEフェスにお香?!
これまたユニークなグッズ。こちらのクリエイターさんは森林浴についてのZINEを販売されていて、そのZINEに掲載した写真から着想を得て作ったお香を五種類売っていました。梱包ひとつひとつに愛が感じられますね。
④ヴィレッジヴァンガードの一角?
ヴィレッジヴァンガードを意識したポップと小物の配置が目を引きます。ZINE「ANISONGS TIE-UP!」には、かつてあの国民的ディズニーアニメにあのスリーピースロックバンドの曲が起用されていた…といった意外な組み合わせのタイアップから、センスが良すぎるアニメのタイアップまで幅広くまとめられていました。
⑤コペンハーゲンのドアとデンマークのポテト
デンマークへ留学へ行った女性とコペンハーゲンで暮らした経験のある男性が二人で出展されていました。
デンマーク留学中に学校の課題で作ったポテト料理のZINEや、留学中に毎日欠かさず描いた285日分のイラストをまとめたZINEなどを販売されていました。イラストの原画を見ると、細かいところまで全てボールペンで描かれていて、お姉さんの繊細さがうかがえます。
コペンハーゲンで撮ったドアの写真をまとめてZINEにしたお兄さんからは、地盤沈下したせいで少し歪んでしまったドアだったり、上部に時計が付いたドアだったり、日本では見ることのできないデザイン豊かな異国のドアをたくさん見させていただきました。
⑥手作り感溢れるちょうちょZINE
全方向どこからでも楽しめるZINEを出展している学生さんがいました。可愛らしい蝶の形のZINEはすべて手作りで、一つずつ切って貼り付けているのだとか。一つひとつの手間にあたたかさを感じます。
⑦こんなところに、蟹?
カニ…?二万のカニ…?その横にはぐちゃぐちゃに潰された、ゴミ…?ではなく、どうやら「粗悪本」と称した短編小説のようだ。見た目について尋ねると「帰りにさっと読んで、読んだ後は捨ててくれて構わないから最初から丸めて売っている」とのこと。
ちゃんと意図があって面白いなあと眺めていると、「もう全然売れないから100円に負けますよ」と言われ、まんまと購入した。
⑧ご自由にどうぞ、おみぐZINE
カセットテープの形をしたメモ帳を販売しながら、一緒におみくじを配布している方がいた。一枚引いてみると、「小吉。冬、アイスが美味しい日もある」と書かれていた。間違いないです。
短歌を一句ずつシール印刷して、無料で配布している方なんかもいました。無料配布品にも個性を出してくる東京、侮れません。
⑩西武新宿線の愛が止まらないご夫婦
「1927」という数字が大きく印刷されたポストカード。なんの数字か尋ねると、「西武新宿線が開通した年」らしい。西武新宿線沿いの日常を描いたZINEだけでなく、台湾やベトナム観光の記録をイラストで描いたものまで。リソグラフ印刷という特殊な印刷方法が用いられた色鮮やかなZINEが並べられていました。
他にも、親子揃って出展されている方や台湾出身のグラフィックデザイナーさんなんかもいました。年齢、性別、国籍問わず多くの人がZINEという媒体を通して繋がれる空間が広がっています。今回も、一期一会の出会いがたくさんありました。
ZINEフェス初心者向けチェックリスト
・現金は必ず持参!
ZINEフェスはもちろん皆さん自主出版なので、基本的には現金のみの対応です。PayPay対応可な方も時々いますが、現金持参は必須です!
私は途中で現金が無くなり、コンビニまでお金を下ろしに行く羽目になりました。
・エコバッグがあると便利!
ほとんどのクリエイターさんがフリーペーパーあるいは名刺を配布しているため、あれもこれもと受け取っていると気づけば大学の新歓みたいになっていることがあります。エコバッグがあれば受け取りすぎる心配がなくなるでしょう。
そして、できる限り身軽で行くこと!会場内は人が多く通路も狭いので、手荷物が少ない方がより多くのZINEに触れることができます。
・友達や恋人と行って!
初めて参加する方は、誰かと一緒に行くことをお勧めします。特に、人見知りをしてしまう人や周りに流されてしまう人は、知り合いがいると居心地が良いかもしれません。
私はいつも、何も買わずに立ち去るのは失礼なのではないか…?と気にしすぎてしまう性格なので、話し相手がいることの心強さは尋常じゃないです。
最後に:ZINEフェスの魅力
ZINEフェスでの出会いは必ずしも一期一会とは限りません。
今回紹介したクリエイターさんのうちの一組は以前のZINEフェスでもお会いしたことがあり、偶然にも再会を果たすことができたので以前購入した商品を自宅に飾っていることをお伝えすることができました。
最近では見ず知らずの人と対面で繋がれる機会はなかなかありませんが、ZINEフェスに行けばたくさんの新しい出会いがあります。
たとえ知らない誰かでも創作物について語っている時のクリエイターさんの表情は、いつでも童心を思い出させてくれます。出会いを紡ぐとはこういうことか、とZINEを通して実感できます。
誰かの目を通して見る世界には、自分だけでは決して出会えなかった景色が広がっています。
このコラムが、ZINEフェス参加を試みる誰かの背中をそっと押すことができていたら嬉しいです。
ぜひ一度、ZINEフェスへ足を運んでみてください!
