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【ライブレポート】だてぃが「誰一人置いていかない」ファンへの想いと光で満ちた1stワンマン『aLive』

生きることの痛みや苦悩さえも味方につけ、等身大の感情を自分だけの言葉で叫び続けるシンガーソングライター・だてぃが。中学生の頃から音楽一筋で活動を続けてきた彼女が4月26日、これまでの歩みの集大成となる1stワンマンライブ「aLive」を、19歳を迎える誕生日当日にSpotify O-nestで開催した。

 

苦悩や憤りを音楽に昇華して夜を越える

会場にはこの日を待ち望んだ多くのファンが駆けつけ、場内は開場直後から熱気に満ちていた。

開演を告げる暗転とともに大きなスクリーンに映し出されたのは、見慣れた新宿の街並み。「路上ライブ禁止」と書かれた幕の前を、無数の人々が足早に過ぎていく。そんな雑踏の中に姿を現したのは、トレードカラーの赤を身に纏い、晴れて19歳となっただてぃが。誰もがそれぞれの目的地へ急ぐなか、彼女だけがその場に立ち止まり、世間にひとさじの愛を投げかける。

ギターを握ってファンと対峙した彼女が最初に届けたのは、多くの人が彼女を知るきっかけとなった楽曲「ぶっ殺したい過去の記憶」。

群衆の中に彼女がひとり佇む光景は、ライブハウスにいながら、どこか路上ライブの情景を想起させる。観客一人ひとりが、それぞれの思い出をそこに重ねながら耳を傾けていたことだろう。芯のある歌声とギターだけを武器に丁寧に音を紡ぐ姿に惹き込まれ、気づけば東京の雑踏はもう聞こえなくなっている。

一曲目に続けて弾き語られたのは「クール」「哀、愛さ」。現代においてSNSという発信源はアーティストにとって必要不可欠のツールであり、だてぃがもまた、最前線で自身の表現を世に問い続けてきた一人だ。とりわけ、多くの人が彼女を知るきっかけとなった楽曲たちを、ライブ冒頭で三曲続けて弾き語りで届けるという構成は示唆的である。世間や流行の波に翻弄されながらも、その苦悩や憤りを手放すことなく、むしろ抱きしめて自らの表現へと昇華してきた——そんな彼女だからこそ放てる、揺るぎないアンプラグドの力強さがそこにはあった。

これまでの「ぶっ殺したい過去の記憶」の全てを受け止めて、それでもなお、前へ進んでいく。

「哀、愛さ」で〈死にたがったあの夜は越えた〉と断言した彼女は、ここからどんな夜を形作っていくのだろうか。すでにクライマックスと呼んでも差し支えないほどの熱量を帯びたステージでさえ、この特別なワンマンライブにおいては、まだ第一幕に過ぎないのである。

 

演出は、全てセルフプロデュース

弾き語りを終えただてぃがが舞台を離れると同時に、再び背景の雑踏が前景へと浮かび上がる。

「私、死ぬまで音楽やりたいんだよね」——そう語り出したのは、だてぃが本人がこの夜のために、宅録で制作したというSE。

「今日も生きて抗いたい」

「ライブしたら死にたくなくなった」

「みんなと生きて突っ走る」

容易ではなかったこれまでの道のりのなかで、彼女が感じてきたもの一つひとつが、言葉となって紡がれていく。ここで発せられたのはすべて、活動を始めてから現在に至るまで、彼女がX(旧Twitter)に綴ってきた赤裸々な感情そのもの。そのどれもが切実で、祈りにも似た願いや渇望が幾重にも重なっていくさまは、まるで脳内の独白を覗き込んでいるようでもあり、同時に過去の自分自身を救済するようでもあった。

宇宙空間に舞う粒子が徐々に集まり、やがて輪郭を持った存在へと形を成していくような浮遊感のあるサウンドが、会場全体をじんわりと満たしていく。

そして不意に、言葉のノイズも音も途絶える。

雑念を切り裂くように響いた「aLive」というタイトルコールから、第二幕が始まった。

「Radi Radi Rady go」のイントロとともに、再びステージに姿を現しただてぃがの手に握られているのは、カラーボールの入った小さな手提げ袋だ。マイクを片手に歌いながら観客に向けてサイン入りのボールを次々と投げる彼女の表情には、無邪気な笑みが浮かんでいた。

軽快でポップなサウンドには、どこかラップミュージックにも通じるようなグルーヴ感があり、そこから彼女の天真爛漫な一面が垣間見える。彼女に続いて「Radi Radi Rady go」と、まるで魔法の言葉を唱えるように口ずさむ観客の表情にも自然と笑顔が広がっていった。

「今日は来てくれて本当にありがとう」

そんな彼女の言葉からは、この日を迎えられた喜びが真っ直ぐに伝わってくる。さらに「私もう19歳だよー!大人なんだから」と言いながら衣装を見せ、お祝いの言葉をねだる愛らしい一面で、会場全体を和ませた。そのあたたかな空気のまま歌い始めたのは「捜さないでね」。彼女に続いて観客が返す「にゃー」という可愛らしい掛け声が場内に響き渡り、会場の一体感はさらに深まっていく。

しかし、途端に雰囲気が変わり、扇子を広げる艶やかな演出とともに、晴れて19歳となっただてぃがが大人びた表情を覗かせ、透き通る歌声で「宵闇」「日本家屋」を立て続けに届けた。

 

だてぃがを形成した、かけがえのない邂逅の追体験

「I want to hug you」が流れ出すと、ステージにはゲストとしてYoung Freyjaが登場。男女ボーカルで音楽が重なり合い、これまでとはまた違ったムードが会場を包み込む。

「音楽を始めた頃からずっとお世話になっているヤンフレを、こうしてワンマンに呼べて嬉しい」

そう真っ直ぐな言葉で感謝を伝えただてぃがは、続けて「ヤンフレは兄のような存在」と笑顔を見せる。二人が交わす飾らないやり取りからは、これまでの歩みの中で育まれてきた確かな信頼関係が滲んでいた。

続く「祝杯」では、ゲストにピアニストの千広を迎えて演奏。

「この曲、一週間前にいい感じにしてって千広くんに投げたら、完璧な編曲をしてくれたんです」と、飾らない裏話に会場が笑いに包まれると、千広も「本当に頑張ったよ」と過去を振り返る。

路上ライブで奇跡的な出会いを果たしたという二人の呼吸は見事に重なり合い、二度の転調とともに歌われる〈君は私の生きがい〉という一節には、誰もが胸を打たれる。

観客たちはワンマンライブのグッズである「この手を掲げるミニのぼり」を高く掲げ、堂々と左右に腕を振る。無数の小さな旗が揺れるその光景は、祝福と祈りがひとつの景色になったかのような美しさを湛えていた。

ゲストを迎え、ともに音を交わし、またそれぞれの方向へ歩み出す。「ぶっ殺したい過去の記憶」にある〈どこで降りるかも決めてないけど、あと3分で発車しちゃうから〉という一節の通り、行き先も分からぬまま走り続ける道の中で出会い、別れ、また進んでいく——彼女が重ねてきたそんなかけがえのない邂逅のひとつひとつが、現在の輪郭を形作っているのだろう。

再び一人となっただてぃがが、観客一人ひとりの顔を確かめるように見渡しながら歌い上げたのは「この消えそうな世界の上で」。定番の掛け声を、だてぃがに負けない熱量で返す観客たち。会場を埋め尽くした声のひとつひとつが光の粒となり、やがて大きな輝きとなって彼女を照らし出す。そんな美しい景色を前に、「私を照らし出すためのライトはみんなだよ。分かるでしょ」と、胸の内をまっすぐに吐露した。

 

ボロボロになっても君に届けるよ

だてぃがが退場したかと思いきや、どこからともなく再び彼女の声が聞こえてくる。戸惑う観客たちの前に姿を現したのは、スクリーン越しの彼女。転換中の演出として「だてネット」のVTRが映し出されると、先ほどまで彼女の熱を帯びた歌唱に涙していた観客も含め、場内の笑いを一身にさらっていった。

スクリーン越しに客席へ次々と問いかけを投げ、自由奔放に場をかき回していく「だてぃが節」と、それに最後まで食らいついていくファンの団結力には圧倒される。

転換のひとときにまで徹底してエンターテインメントを宿らせる。その細部へのこだわりこそが、彼女のステージから一秒たりとも目を離せなくさせる理由なのだ。

「高評価、チャンネル登録もよろしくね〜」という冗談で「だてネット」を締めくくると、先ほどまでとは異なる衣装に身を包み、より煌びやかな赤を纏っただてぃがが、バンドメンバーとともに再びステージへと舞い戻る。

だてぃがの歌唱から始まった「Teenager」で、会場の熱は一気に加速する。〈切磋琢磨し合ってみようぜ〉と歌う姿は、曲を重ねるごとに強度を増していくようだ。続く「あ”あ”あ”」「中学校」では、自らの痛みや憤りを剥き出しにしながらも、その先に必ず希望の火を灯す。

「最初に書いたラブソング」と紹介された「Chill」では、ピンク色の照明に染まった空間の中で、ゆったりとした風が吹き抜ける。そして、「だてぃがのラブソングで一番新しいもの」として届けられたのが、5月配信リリース予定のアルバム収録曲「恋をしている」。

「恋は、恋愛だけじゃなくてもいいと思うんです」と語った彼女は、この夜を見守る一人ひとりへ、ここまで共に歩んできてくれたことへの感謝を歌に乗せて真っ直ぐに届けた。〈特別じゃなくなってしまっても また出逢いたいな〉という歌詞に続いて鳴り響くバンドサウンドで、観客の堪えていた涙がとめどなく溢れ出す。

終演までの1秒さえ惜しみながらも丁寧に「kirei」を歌い上げ、最後の曲の前になると「今来たとこ」「もう一回最初からやりたいよ」と名残惜しそうに微笑む。

ラストナンバーは、このワンマンのタイトルにもなった「aLive」。

「私、音楽を好きになれてよかった。そして、みんなと会えて良かった。今日は誰一人置いていかないで、あなたに歌いにきた」と心の叫びを放つだてぃがの存在感は、悲しみさえも吹き飛ばしてしまうほどに大きく、会場の隅々まで深く届いていた。

あらゆる逆境も乗り越えて、ようやく19歳を迎えた彼女のこれまでの「軌跡」を辿り、そして、これからは「奇跡」を待つのではなく「掴み取りにいく」——そんな強い決意を刻みつける一夜となった。

年齢の垣根などとうに超えた彼女の圧倒的な歌唱力と、地に足をつけて真っ直ぐに音楽を届けてきたからこその力強さは、努力の結晶となり目に飛び込んでくる。

これは集大成であると同時に、始まりでもある。

命を燃やして歌い続けるだてぃがは、ここからさらに大きな景色を照らしていく存在となるはずだ。

 

なお、だてぃがは12月5日(土)、Spotify O-nestにて2nd ONEMAN LIVE「Re:Live」を開催することを発表。伝説の軌跡を刻んだ彼女が、次にどのような景色を見せてくれるのか、早くも期待が高まる。

 

セットリスト「だてぃが 1st ONEMAN LIVE "aLive"」2026年4月26日 Spotify O-nest

- Shinjuku SE -

01. ぶっ殺したい過去の記憶

02. クール

03. 哀、愛さ

- SE-

04. Radi Radi Rady go

05. 捜さないでね

06. 宵闇

07. 日本家屋

08. I want to hug you (w/Young Freyja)

09. 祝杯(w/ 千広)

10. この消えそうな世界の上で

- だてネットだてぃがVTR -

11. Teenager

12. あ"あ"あ"

13. 中学校

14. Chill

15. 恋をしている

16. kirei

17. aLive

En. tuning

(Photo by ナリタコウジ)

 

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