こんにちは、ハルです!
今回は、私が美大の陶芸で学んだことや、作った作品についてお話しします。
以前投稿した『【陶芸好き必見】私が美大の陶芸で学んだこと、作った作品【1年生 前編】』という記事の続きになりますので、まだ見たことがない方は、そちらを先にご覧ください。
これから美大で陶芸を学びたいと考えている学生や、陶芸に興味がある方に、少しでも制作の様子が伝わると嬉しいです。
前編では...
前編では【泥漿鋳込み(でいしょういこみ)】という陶芸の技法を用いて、ランプシェードの原型ができたところまでお話ししましたが、覚えていますか?
ここからは、その原型に模様を彫って、窯で焼き上げるところまでの様子をお見せします。最後には、ランプシェードをライトアップした写真を載せているので、お楽しみに!
ランプシェードが焼き上がるまで
前編の泥漿鋳込みで作ったランプシェードの原型を、真っ白になるまで乾燥させます。
乾燥したら、上部分にライトを通す用の穴を開けます。
上部分の穴を開けたら、自分で考えたデザインを彫っていきます。何回も何回も失敗して、ようやく1個の龍と鳳凰のデザインを彫り終えることができました。
上の写真の彫りができるまで、型を8個くらい割りました。私以外の同級生も、同じくらいの数の型を割ってしまい、心が折れかけていました。
びっくりするくらい割れやすい素材なので、扱いがとても難しかったです...
彫りが終わったら、次は『素焼き』という工程に入ります。
『本焼き』(約1200〜1300°)をする前に、素焼き(約800〜900°)で一旦作品を焼いて、粘土に含まれている水分を飛ばします。(素焼きをせずに本焼きをすると、作品が割れる可能性が非常に高いです)
窯に作品を入れたら、約12時間かけて900°まで上げて素焼きをします。
このとき、私や他の同級生のみんなは「もし割れちゃったらどうしよう」という不安でいっぱいでした。
果たして、無事に焼けたのでしょうか...?
素焼きが終わって、窯出しをします。
私の作品は綺麗に焼けていたので、一安心です!(写真は鳳凰の面のものしかなかったので1枚だけ)
...ちなみに、素焼き後の作品は、焼く前に比べてうっすらピンク色になっているのですが、わかりますか?
あとで、焼く前の作品と見比べてみてくださいね!
素焼きが終わったら、『釉掛け』の準備をします。釉掛けとは、「素焼きした陶磁器の表面に釉薬(ゆうやく)を掛けること」です。
...おそらく、「釉薬って何?」と思った方がいるかもしれないので、簡単に説明しますね!
釉薬とは、陶磁器の表面をおおっているガラス質の部分のことを指します。あなたが普段ご飯を食べるときに使っている器にも、この釉薬が使われているかもしれません。
こちらの写真の器が、釉薬を掛けて本焼きしたものです。
真っ白な磁器の表面に、ツルツルしたガラス質の釉薬がおおわれているのがわかるでしょうか?
本焼き前の釉薬は泥っぽい見た目をしていますが、本焼きをすると釉薬が溶けて、このように透明なガラスへと変化します。
さて、釉掛けの準備の話へ戻ります。
この写真は、釉薬をメッシュ(ザルのようなもの)でこしている場面です。目の細かいメッシュを使って、釉薬のダマを潰していきます。
ダマが残っている状態で作品に釉掛けすると、作品の表面にダマがついて、本焼きで綺麗に焼き上がらない可能性があります。なので、ダマを残さないようにメッシュでしっかりとこします。
ダマがなくなったら、いよいよ釉掛けです!
上部分の穴に指を入れて、釉薬の中に突っ込みます。釉薬に長くつけすぎると、素地の表面に付く釉薬がぶ厚くなって、素地にヒビが入りやすくなります。
なので、釉薬に浸す時間は、長くても約3秒くらいでした。
釉掛けが終わったら外で乾かして、釉薬を素地の表面にしっかりと定着させます。
さて、ここからいよいよ本焼きの準備です!
まずは、釉掛けした作品を窯詰めします。
写真を見ると、崩れそうでちょっと怖いですよね?
これは、窯の中に火を付けている写真です。
この火が、窯の中をぐるぐると駆け回って、温度をどんどん上げていきます。
窯の中へ作品を押し込んでいきます。ゆっくり入れないと、作品を乗せている棚が振動で崩れる可能性があるので、めちゃくちゃ慎重に押し込みました。
窯の扉を閉めたら、本焼きスタートです!
約20時間かけて、温度を1280°まで上げます。
1280°まで上がったら、窯の中の温度が100°くらいに下がるまで待ちます。100°に下がるまで約2日ほどかかるので、作品とご対面するのがものすごく待ち遠しかったです。
...ちなみに、先生から「本焼きで作品が割れる可能性は十分にあるから、気を引き締めてね」と言われました。怖いこと言わないでほしいです。
100°まで下がったので、窯出しをして作品とご対面!
私のランプシェードは無事に焼きあがりました!焼いたものが1個だけだったので、「もしこの貴重な1個が割れたらどうしよう...」と、不安でいっぱいでしたが、満足のいく仕上がりで安心しました。
溶けた釉薬が、彫った部分にきれいに入り込んでくれました。ライトアップが楽しみです!
いよいよライトアップ!
いよいよライトアップです!
ライトを繋いでスイッチをオンにすると...
彫った模様が、ライトの光でちゃんと透けてました!目の部分は穴を開けているので、光が強く漏れています。
龍と鳳凰のウロコ、羽の部分はかなり深く彫ったので、綺麗に透けていて大満足です!
作品完成にたどり着くまで何度も大変な思いをしましたが、時間をかけて制作した甲斐がありました。先生から「よくこんなに細かく彫れたね」とお褒めの言葉もいただけたので、本当によかったです。
最後に
いかがでしたか?
美大の陶芸の授業風景が、少しでも伝わったでしょうか?
陶芸の作品一つが出来上がるまで、たくさんの工程がありましたね。作業量はすごく多いですが、大変であればあるほど出来上がった作品に愛着が湧きやすいです。
...さて、1年生編はここで終了です。次回は2年生編へ入ります。
これから美大で陶芸を学びたいと考えている学生や、陶芸に興味がある方は、2年生編もみていただけると嬉しいです!
それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!
▼前回の記事はこちら
こんにちは、ハルです。今回は、美大で陶芸を学びたいと考えている学生に向けた内容をご提供します!私自身の経験談が主になりますが、私が美大の陶芸で、4年間どんなことを学んできたのか。どんな作品を作っていたのかについて、学年ごとに分けてお話しします。(この記事は【1年生 前編】になります)その他に、実際に作った作品の写真や、作業風景の写真もたくさんお見せします。陶芸・ものづくり好きの方にはたまらない、見ていてワクワクする写真ばかりです。これから美大で陶芸を学びたいと思っている学生にとって、ためになる情... 【陶芸好き必見】私が美大の陶芸で学んだこと、作った作品 〜1年生 前編〜 - NEONAVI (ネオナビ) |