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【インターンからベトナム移住&起業!】ベトナム在住若手日本人起業家|森大樹さんインタビュー

こんにちは!ベトナムの寺内です。

今回皆さんにご紹介するのは、大学在学中にベトナムへインターンに来たのをきっかけに、そのままベトナムへ移住し、起業された森大樹(もりたいき)さんです。森さんは現在、ベトナムのデリバリー注文アプリ「Capichi Inc.(キャピチー)」にてCEOをされています。

なぜ海外インターンへ行こうと思ったのか?そのまま移住したきっかけは?ベトナムでどうやって起業した?など、海外に興味があったり、これから海外に出たい学生さん必見の内容となっています!

森大樹さん

1997年生まれ、奈良県出身。2015年、神戸大学国際文化学部入学。大学では東北震災ボランティア団体の運営、ITスタートアップ・ベンチャー会社でマーケティングや新規事業立ち上げなどを行われたそうです。

2017年10月に大学を休学し、1年9ヶ月ベトナム・ハノイのITベンチャー企業にてインターンとして働きました。その後2019年7月に「株式会社Capichi」を設立し、代表取締役CEOに就任。2022年3月にはベトナムに子会社を設立されました。

今回はそんな森さんから貴重な話をたくさんお聞きすることができました!

住みたくはなかった東南アジア

初めてのベトナム旅行。バックパックでタイ、ラオス、ベトナムと陸路を横断

──大学では何を勉強されていましたか?

森さん 神戸大学の国際文化学部・国際文化研究科に入りました。そこでは国際政治・経済をはじめ、情報工学、プログラミング、統計や心理学など幅広い分野の知識が学べる科でした。

他学部・学科履修もできたのでそちらもよく受講していました。中でもやはりITに興味があり、2年生の春休みから日本国内のIT企業へインターンに行ったりしました。

──国内のインターンはどのように探しましたか?

森さん 「Wantedly」を使って面白そうと感じる企業へ応募していました。

──国内のインターンはどうでしたか?

森さん 元々研究よりもビジネスに興味があったので面白かったです。春休みの2ヶ月間は東京のスタートアップ企業でコンテンツマーケティングで基礎を学びました。

その後関西のベンチャー企業でコンテンツライターのインターンを始め、新規事業の企画などもさせてもらえました。

──海外インターンへ行くことを決めたきっかけは?

森さん 学生時代は海外旅行によく行っていました。主な行き先は東南アジア各国で、タイやベトナムには2〜3週間ほど滞在したりしていました。

当時は非日常体験を楽しめましたが、住むのは無理だと思っていました。(笑)日本は生活しやすい環境ですし、「日本最高」と。(笑)

ただ、そのままだと日本で就職して、日本に住み続けるだけの価値観・人生になっていくと思いました。それは嫌だと思い、当時住みたくはないと思っていた海外に学生のうちに1年間住んでみようと決心しました。

早く日本へ帰りたかったインターン時代初期

ベトナムで初めての誕生日

──海外インターン先はどのように探しましたか?

森さん「AIESEC(アイセック)」の紹介通してインターン先を探して決めました。

「AIESEC」は各国の大学に支部があり(本部はカナダ・モントリオール)、海外インターンシップの運営をしている学生団体で、各国の大学生と企業のマッチングを行っています。NPOなので参加費なども他のそういった団体よりも安く、私の場合は登録料や保険料など込みで10万~15万ほどだったと思います。

現在は制度などが変わっている可能性があるので、興味がある方は直接「AIESEC」に問い合わせてみてください。また、「AIESEC」で派遣サービスを受けるにはTOEICスコアが730点必要です。

AIESEC in Japan official website
aiesecjp-web - www.aiesec.jp

──英語が苦手な方にはなかなか難しそうですね。

森さん そうですね。“海外でやっていけない”という基準が高い分、大学・企業間での信用度も高く、費用が安いのだと思います。

──ベトナムを選ばれた理由は?

森さん 海外の中でも、東南アジアの経済成長率は目を見張るものを感じていたのと、当時アルバイト先でたくさんのベトナム人と友人になったこともあり、ベトナムを中心にインターン先を探していました。

──インターン先はどのような会社でしたか?

森さん ハノイのベトナム人経営のITスタートアップ企業でした。

日本語を話せる管理職の方はいたものの、職場に日本語を喋る同世代はいなく…最初の1、2ヶ月は友人もいなく寂しかったです。途中で投げ出そうとは思わなかったですが、早くインターンが終わらないかなと思っていました。(笑)

──笑。期間はどのくらいでしたか?

森さん 2017年の10月から1年間…の予定だったのですが、そこからインターンと休学延長、起業という感じになりました。

インターンから起業へ!

起業当初はベトナムの若い人がターゲットだったので、ハノイ大学のイベントにブースを出したりしていました

──そこからどのような転機が?

森さん インターン先から徒歩5分の所にハノイ大学に日本語クラブがあり、知人の紹介で参加することになりました。週1回夕方5時から7時までベトナム人学生と日本語で会話するクラブでした。そこではじめて同年代のベトナム人の友人ができ、クラブの時間以外でも遊びに行ったりなど、ベトナム生活も楽しくなりました。

ただ、当時は住んでいて不便なことが多いと日々感じていました。そしてインターンとしてIT企業で働いていて、ベトナム人のエンジニアの可能性も感じていました。

日本では既にさまざまなサービス(アプリ)で溢れていますが、ベトナムはライバルが少なく、優秀なエンジニアと新しいITサービス (アプリ)を産み出せると考えたんです。ベトナムという国も好きになったのでここで頑張ろうと思いました。

発展のスピードが速いベトナム、やるなら今しかない!

──起業まではどのような手順で進まれたのですか?

森さん 起業するつもりでインターン先の社長に相談したところ、ちょうど会社としても新サービスを作りたいとのことで、社内でチームを作って開発を進めることになりました。

その時既に休学期間が終わろうとしていましたが「このチャンスを逃したら二度目はないかも」と感じ、休学を1年延長し、インターンも延長しました。

──思い切った判断ですね!

森さん 自分が1年間ベトナムにいて、発展のスピードが速いことを体感していたので、チャレンジするなら今しかないと思ったんです。

──そこからどのように起業になったのですか?

森さん インターン先はあくまでスタートアップ企業だったので、資金などに制限がありました。自分がやりたいプロジェクトを進めるのであれば、自分の裁量で資金や投資、開発をしていきたいと思いました。

──会社の方は大丈夫だったのですか?

森さん 元々インターン延長後、独立までを応援すると言ってくれていたので大丈夫でした。

起業するタイミングがちょうど休学延長の限界の2年を迎えるところだったので、一度日本へ帰り復学、2019年7月に東京で会社を設立しました。ただ復学したものの会社を作ったばかりで、大学で履修などする余裕はなかったです。半年間大学では幽霊学部生でした。(笑)

日本にいる間は資金調達のために、ピッチイベント(投資家に事業プレゼンをする場)に参加したり、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に直接ピッチをして回り、資金を確保しました。

大学は半年復学すればまた休学できるので(合計3年間休学できる)、再度1年間の休学申請をし、2020年3月にベトナムに100%子会社を設立させました。

コロナ禍でカタチを変えていったアプリ

ベトナム人インフルエンサーを集めたイベントにて

──どのようなアプリを作られたのですか?

森さん 最初は私が旅行好きなこともあり、動画で旅行先の観光地や飲食店を調べられるアプリを開発しました。

ただ日常的に活用されるものではなかったので、収益化が難しいと感じました。そして旅行者だけでなく、地元の方にも利用される飲食店の動画とお店情報を調べられるアプリ(食べログの動画版のようなもの)にシフトしました。

しかし2020年1月末より新型コロナウイルス感染症の蔓延で、ベトナムでも厳戒なロックダウンが開始されました。飲食サービスの検索アプリの利用頻度は低くなり、店内飲食が禁止された飲食店は営業停止や閉店する店も続出していました。

そんな中、飲食店が生き残るにはデリバリーサービスを開始することが必要でした。しかし今までデリバリーをしてなかった飲食店ではミスが起きやすく、利用者側も今までベトナムのフードデリバリーアプリの利用していなかった方は困っていました。

──ベトナムのフードデリバリーアプリは、基本ベトナム語か英語ができないと厳しいですよね。

森さん はい。「この状況で自分にできることは何か?今まで知り合った飲食店の人を助けたい」と考えた時に、Webサイトから全て日本語で注文できるシステムを開発しようと思いました。

そして飲食店と在住日本人を結ぶデリバリー受発注アプリを会社の仲間と3日間で開発し、2020年4月にリリースしたのが現在のデリバリーアプリ「Capichi(キャピチー)」です。

──凄い行動力ですね!アプリ利用者や利用店舗はすぐに増えたんですか?

森さん この事業を始めるなら今しかないと思い、スピード感を重視しました。

コロナ禍中で困っている飲食店のお役に立てられたらと、システムは導入サポートも含め無料で使ってもらっていました。ユーザーももちろん無料です。

そしてベトナムのコロナが落ち着いた後はこのアプリをやめて元の事業に戻そうと思っていたのですが、このシステムを継続して利用したいという声を想像以上にいただくことができ、現在に至ります。

起業後初めての社員旅行

コロナ禍での大学卒業

──休学してコロナ禍になってしまいましたが、大学はどうなったのですか?

森さん 私にとってはコロナ禍が追い風になりました。実は退学も考えていましたが、コロナ禍でオンライン講義がメインになり、復学することができました。半年で1年間半分の単位、週12コマをこなすのは辛かったです。(笑)

ちなみに卒論は「Capichi」のマーケティングの事例や実際のユーザーのデータ研究のことを書きました。ベトナムの旧正月中にテストも受け、2022年3月に無事卒業することができました。

卒業式には出られていないので父が卒業証書をもらいに行ったのですが、父が卒業証書を持って大学で記念撮影し、帰り道には泣いたそうです。(笑)

証書の受け取りだけでなく記念撮影から涙まで代行した森さんのお父さま

やりたいことがわからない10代へーあえてしたくないことをする

大学時代の夏休み、インドネシアのスラウェシ島の山奥にホームステイした際の写真。電波が届かない、英語が通じない、シャワーもない場所だったそう。

森さん 正直私もやりたいことがわからないから海外に出たんです。

日本で2社インターンで働きましたが、意識の高い人が多く、自分も含めみんな同じような世界観・価値観で生きていると感じました。

それがつまらない、そこから抜け出したいと思いました。人と違うことをしないと自分は変えられないので、敢えて“したくないこと”をしないと価値観は変わらないと思いました。

──“したくないこと”=ベトナム生活ですか?(笑)

森さん はい。海外に住むことは“したくないこと”でした。好きなことばかりやっていても価値観は変わらないですからね。コンフォートゾーン(快適な空間)から抜け出さないと。

──実際抜け出して良かったですか?

森さん 環境を変えたのは良かったと思います。海外に住むと価値観が二倍になります。そして学生のうちに出て良かったですね。言語の吸収や文化に慣れるには早ければ早いほど良いと思います。海外に興味があるのであれば、すぐに出るのをお勧めします。

──海外に興味がない方はどうしたらいいですか?

森さん 海外と比べて日本の大学は学費が安いので、大学に進学してみるのもいいと思います。社会人を挟んで大学の講義を再度受けた時に「今までもっと真面目に受けていれば良かった!」と思うことが多々ありました。また、今学生の方は教授とのコミュニケーションを大事にしてください。教授は近くにいるその道のプロですが、学生でなくなったら気軽に話せる存在ではなくなります。

やりたいことがある人の方が実際は少ないと思いますが、やりたいことが本当にやりたいことなのか?正しいことなのか?その価値観も疑った方がいいと思います。

“自分を愛すること”とは?

森さん 周りの人や社会を愛することが自分を愛することだと思います。人や社会に貢献できているという満足度、人のために生きることが自分を愛することに繋がると感じます。

実は起業して1年半程経った頃、ベトナムで交通事故に遭ったんです。飲酒運転をしていた車に跳ねられ、鎖骨を粉砕骨折して入院、手術をしました。

ちょうど仕事で落ち込んでいて、孤独を感じていた時期でした。「誰からも愛されていないな」と感じている時の事故でしたが、事故現場で介抱してくれた見ず知らずの人や現場にすぐ駆けつけてくれたベトナム人スタッフ、心配してくれる友人など周りの愛を感じる経験になりました。

“自分を愛したい”のであれば、まずは人を愛することから。ベクトルを周りに向けてみて、その結果、自分を愛することや幸せにも繋がるのではないでしょうか。

まとめ

インターンから起業、そしてコロナ禍中の大学卒業となかなか他の人がしていない貴重な体験をされている森さん。住みたくなかったベトナムが今では大好きで、今後はベトナムを中心にその他東南アジア各国に向けサービスを展開していくそうです!

また、森さんの経営する「Capichi」では学生インターンも募集中とのことです。興味のある方はまず連絡をしてみてはいかがでしょうか? 詳細はこちら→ Capichi Inc.

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