中学時代に部活を通して出会った鶴貝彪雅さんと釘尾けんじさん。中学卒業を機に別々の道に進んだものの、2人には「好きなことを仕事にしている」共通点があります。
今回は一度諦めた料理人の夢を再び目指した鶴貝さんと、中学時代から憧れていた美容師の道を選んだ釘尾さんに、「好きなことを仕事にする」をテーマに対談していただきました。
好きなことを仕事にする料理人と美容師|それぞれの夢にたどり着くまで
ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
鶴貝:料理人の鶴貝彪雅です。大学を卒業してから一度諦めた料理人の道を再び目指して、栄養士の専門学校に通い直しました。2023年3月に卒業し、現在は日々料理の修行に励んでいます。
釘尾:釘尾けんじです。東京で美容師を始めて5年目になります。美容師になることは長年の夢で、好きなことを仕事にできています。
鶴貝彪雅さん|一度スポーツの道を進んで、料理人を目指した経緯
ー鶴貝さんはなぜ、料理の道に進もうと決めたのでしょうか?
鶴貝:もともと父が料理人だった影響から、中学までは自分も料理の道に進もうと決めていました。
ただ当時は陸上に励んでいて。スポーツ特待生として高校から推薦をいただいたことをきっかけに、陸上で高校・大学と進学しました。大学に4年間通った後は「一般企業に就職すること」が世の中のレールとして敷かれているとは感じていたものの、自分の中で料理の道に進む夢を諦めきれませんでした。
「料理の道に進むとしても、陸上を頑張ってきた今までの経験も活かしていきたい……」そう思って、スポーツ選手に特化した管理栄養士・料理人になることに決めました。
ーお父さんは自分と同じ料理の道に進むと聞いて、どのような言葉をかけてくれましたか?
鶴貝:父からは、ものすごく反対されました。同じ業界として厳しい一面を知っていることや大学を卒業したから良い企業に就職してほしいという思いが父にはあったそうです。
しかし最後は賛成してくれたので、今は夢に向かって頑張ることができています。
ー料理人を目指す人は高校卒業の時点で専門学校に通うか大学に通うかの2つの選択肢があると思いますが、なぜ大学に進学されたのでしょうか?
高校1年生の頃から行きたい大学が自分の中で決まっていたからです。
陸上のタイムが伸びてスポーツ推薦で進学できることが決まったので、迷わず大学に進学しました。勉強は年を取ってもできるけど、スポーツは若いうちにしかできないという理由もありました。
大学に進学した地点で、料理の道に進むことは半ば諦めていましたね。
ただ将来を考えた時に「スポーツは年齢のタイムリミットがあること」や「料理の知識は年齢関係なく役に立つ」と感じていたので、最終的に料理の道に進むことに決めました。
ーなるほど。職業を選択する際に将来性を考えるのも大切ですね。
釘尾けんじさん|中学時代に出会った美容師にあこがれて
ー釘尾さんが美容師の夢を目指したきっかけを教えてください。
釘尾:美容師になると決めたのは、中学3年生の頃です。地元の先輩が美容師のアシスタントをしていたことがきっかけです。身近な人が美容師の夢を追いかけて実際に現場に立っている姿がかっこよくて。
それまでは、美容室に行っても何も思うことはありませんでした。でも自分にとって“身近”な人に髪を整えてもらったことで、美容師の職業が“身近”になったんです。「かっこいい」「自分もやってみたい」そう思って、美容師を目指し始めました。
美容師を目指し始めてからは、友人にお願いして髪のセットを練習しました。「楽しい」「やっぱり美容師になりたい」という思いが大きくなり、具体的に美容学校を探すようになりました。
ーなるほど。お二人とも身近な人の働く姿や活躍する姿に影響を受けられたのですね!美容学校はどのように選択されたのでしょうか?
地元の美容学校に通っている先輩に「東京に出た方がいいよ!」と勧められて、東京で学校を探すことに決めました。
学校を選ぶ際は、実際に足を運んでオープンキャンパスに行き、自分の目でたしかめて納得のいく学校に決めました。
好きなことを仕事にしようか悩む10代へ|環境を変えながら挑戦しよう
ーお二人は10代のみなさんたちに「好きなことを仕事にしようか悩んでいる」と言われたらどう答えますか?
鶴貝:「悩んでいてもしょうがないし、やってみないとわからないよ!」と背中を押してみるかもしれません。
僕自身は最初、好きなことを仕事にする怖さがありました。「この仕事が嫌になったときに自分ってどうなっちゃうんだろう?」と思っていて。でもやり始めた今は、不安があってもやりたいことだと確信できています。
釘尾:「やれるんだったら、好きなことを仕事にした方が良いんじゃない?」と答えます。
好きなことを仕事にしていても嫌いなことを仕事にしていても、やりたくないことや苦手なことは出てくるからです。それであれば、少しでもやりがいを感じられる仕事で、自分が「好き」と思う瞬間をより感じられた方が幸せではないかと思います。
ただ美容師という職業は下積み時代が長いため、たとえ好きでもやりがいを感じられないこともあると思います。でも会社を変えたり働く環境を変えたりすれば、自分自身の進むべき方向性が見えてくると考えています。
ー自分の身を置く場所を変えるのは大事ですね。ただ環境を変えるのは、転職準備や退職手続きなどあって覚悟が必要かなとも思います。
鶴貝:「石の上にも3年」ということわざもある通り、ある程度同じ場所で経験することが良しとされる文化もありますよね。
ーたしかに。ただ社会人になってみると、3年って意外と長いと感じています。よく「3年以内の新卒の離職率」みたいな話を聞きますが、私は3年で会社を辞めることに対して「早い」とは感じていません。
鶴貝:昔に比べて、働き方に対する価値観も社会全体で変化しているようにも感じます。転職することを前提に会社に入る人も多くいると思います。「転職=逃げではない」とも感じますね。
釘尾:ただ転職や夢を見つけるにはきっかけが必要ではないかと思っています。僕自身はたまたま中学生のタイミングで憧れとなる美容師の先輩に出会えましたが、それがなければやりたいことがわからずに大学に進学していたと思うので…
鶴貝:興味を持ったことに対して調べる姿勢も、好きなことを仕事にしていく上で大切ではないかと思います。
「この仕事面白そう!」と思ったときに、調べる癖を付けていくと、業界知識が増えていくと思います。
ーたしかに。知らないとそもそもなりたいと思うきっかけも掴めませんよね。
鶴貝:ただ「やりたいことって何?」と聞かれたときに、即答できる人って実は多くはいないと思うんです。
たまたまやりたいことが僕は見つかっただけで、見つけようと思って見つけなくても大丈夫ではないでしょうか。
ー必ずしも日中何かに熱中している必要もないですしね。”やりたいことと好きなことが合致していたらラッキー”くらいの方が生きていく上では気楽ですよね。
鶴貝:全員が全員好きなことを仕事にしてしまったら、世の中が回らなくなってしまうとも思います。だから自分は好きなことを仕事にしているからえらいなんてことは思わず、各職業に就いている人へのリスペクトの気持ちは忘れないようにしています。だからこそ好きなことをやっていく覚悟もありますね。
「自信を持つこと=自分を愛すること」軸を持つことと自己投資で自信をつける
ー対談の最後にはなりますが、NEONAVIのテーマが「自分を愛すること」なので、10代の方に向けて自分を愛することとは何か伝えてもらえたら嬉しいです。
鶴貝:自分自身に自信を持てると、自分のことを愛し続けられると思います。
僕自身は「ずっと料理が好き」という軸があるので、どんなときでも自分がブレることはありません。ブレない自分が、今の自分を作ってくれていますね。
ー自信やブレない軸があれば、不安になることも少なくなりそうですね。不安になったときでも自分の軸に従って行けば、目指していた道が見えてきそうです。そのためにできることはありますか?
釘尾:自分を愛するために一番簡単にできる方法は「自己投資」ではないでしょうか。
僕自身は髪型を気にしたり、お気に入りの服を買ったり、日々容姿に自己投資をしています。自分の気分を上げるようなことにお金をかけて、自分に自信をつけました。
そこから自分のセンスに自信を持てるようになりました。自分のセンスを誇れるようになると、お客さんにも説得力のある提案ができるようになりましたね。
ー美容院に行くと気分が上がるし、新しい化粧品ひとつ身にまとうだけで自分に自信を持てるようになりますね。子どもであればお菓子を買うのもひとつ。自己投資は世代関係なくできる「自分を愛する方法」かもしれませんね。
まとめ
お二人のお話を聞いていると、「自分を愛すること=自信」がキーワードとして出てきました。ブレない自分を持ったり、気分を上げるために自己投資をしたりして自信を持つことが「自分を愛すること」につながっているかもしれません。
今回は貴重なお話をありがとうございました!
鶴貝彪雅 Twitter:@trgihyug
釘尾けんじ Instagram:@huge_kenji