NFTアートや芸大受験マンガが話題になっている昨今。10代の皆さんも制作してみたい、アートを勉強してみたい!と言いつつも、日々勉強と部活に追われている中、今まで芸術系に触れたことがない、何を勉強すればいいのか分からない方も多いのではと思います。
今回は、美術系の大学に進学した私の体験談についてお話しします。周りに美術系を学ぶ環境がない人、目指すのが遅くて困っている人、地方住みで勉強しにくい人に『こんな人もいるんだ…』と参考にしていただけたら幸いです!
高3年の春から進路変更
筆者(みんみん)のプロフィール
98年生まれ 24歳。
日本海側の地方出身。
北関東の私立芸大卒業後、都内のweb制作会社に1年勤務し、現在はプー太郎。
意外な動機と辛すぎる現状
実は美大を目指す動機は『大学で4年間座学するのは嫌だ!だったら美術部入ってるし、制作がしたい!』という、何とも言えない理由でした。とは言っても高校は美術部で、元から絵画やイラストに興味はありました。しかし、それでも美大進学を目指し始めたのは高校3年生の春。進路を美大に振り切るには、少し遅かったです。
また、それ以外にも…
- 出身高校の美大進学者は、毎年4人いるかどうか。
- 成績が良くないと特殊な進学をしてはいけない風潮なので居づらい。
- 担任の先生からは「美大受験に詳しくないから」と放置される。
- 金銭的に高い画塾に通えない。
- 田舎なので行きたい画塾まで電車で2時間超かかる。片親で忙しく送迎は頼めない。
- 親が美術に詳しくないので、最低限の金銭以外サポートなし。
- 家族にずっとちくちく止められる。
- 現時点での学力&技術では、明らかに入試に間に合わないが、浪人が認められない環境。
と、あげればキリが無いほど不利な状況でした。周りには、親が全面的にサポートして、陸上部をしながら1年生から画塾に通っていた同級生や、都心に親戚がおり、定期的に東京のデッサン講習を受けてる先輩、親が絵の先生で家庭内の指導だけで公立芸大に入った先輩もいました。
美大進学する先輩たちは、なぜかすべからく親が協力的で、可愛くて、勉強もできて、絵も上手いのです。それも落ち込む材料です。だいぶこの時点で心は折れていました。今思うとまだまだティーンエイジでしたね…。
そういうのを聞くともう嫉妬と絶望でしたね。当時は10代ながら『人生の機会が均等でない現実』を初めて目の当たりにして苦しかったです。人も情報も時間も金も体力も自信もナイナイ尽くしで途方もないんですよね…。雪も降ってていつも寒いし…。※もちろんこの世にはもっと大変な状況の中で努力して進学している方もいます。
やっぱり進学したい!〜3人の恩人〜
それでも『ここで諦めたらもう美術系を学ぶタイミングを失う!』と直感的に思い、やれる範囲で模索をしました。今回はその時に助けてもらった3人の大人に絞ってお話しします!
恩人①美術の先生
1人目は、泣きながら初めて進路についてお話しした非常勤の美術先生です。
先生は3浪して美大に入った経験があり、私が行ける大学やデッサンについて色々教えていただきました。「家が遠くて画塾に行けない」とお話しした時に、知り合いから聞いた紹介制のデッサン教室をいくつか教えもらいました。
基本的に、美術の先生は技術や繋がりがある人が多いので、分からなかったらとにかく聞きに行くことが大事です。きっと丁寧に教えてくれます(私も1年生から早く相談すればよかったと思いました。)
恩人②個人画塾の先生
2人目は、個人画塾の先生です。
県内の公立芸大1本に特化した画塾です。デッサンの他にも提出する課題の添削などAO対策からやっていただきました。リーズナブルな値段もそうですが、とにかく悩み相談やメンタルケアもして頂いたのがありがたかったです。また学生時代からweb系の会社を立ち上げていた人なので、色んな価値観を持っていたのが印象的でした。
恩人③学芸員さん
3人目は、地元の資料館の学芸員さんです。
たまたま観に行った企画展のクオリティが高く感動し、後日電話したところ快くアポをとってお話を聞くことができました。その学芸員さんが資料館を立て直した経歴や、企画展の面白い展示方法を聞くことができて、一生に通ずる展示を見る事の大切さや、学芸員の資格を取るきっかけになりました。デザイン系のPCソフト、やっぱり使えるようにならないとなぁ、と思ったきっかけでもあります。
受験の結果は…?
3人の恩人に色々アドバイス頂いたのですが、残念ながら第1志望だった公立の美術系の大学には落ちてしまいました…。その後、実は入りたかった都内の某私立美大は直前で親と学費で揉めて取り消しに…。
急いで行ける距離の学校を資料請求し、学費が比較的安く、やりたいカリキュラムと資格が取れる、今の大学に通うことになるのでした。作品を持って夜行バスを予約し、一番簡単そうな小論文で受験したのはいい思い出です。
ちなみにあるあるなのですが、受験するまでの期間でも、油絵やりたい。→学芸員もいいかも。→やっぱ油絵やりたい。→とりあえずデザイン専攻にしよう。と目指しているものがコロコロ変わっていました。
まとめ
理想は『粘って、芯を持って努力し、レベルが高い大学や専門に入る』が絶対に良いです。社会人になって美大ランクフィルターで苦戦し、もっと良いところ入れば良かった、と卒業後に言っている人も中にはいるので…。そのためには数ヶ月でも早く、画塾に通ったりデッサンの勉強をするのが第一です。
ただ私としては、当時の状況的に頑張ってこれが精一杯でした。今思うともっと根性出して食らいつけば良かった面もありますが…。この進路のおかげで関われた人も多く、選んだ大学も毎日楽しかったので後悔はありません。(他の大学だったら卒業できたか自信がないので笑)
今はSNSも活発なので情報も得やすく、本当に10代の方々が羨ましいです。現在、美術系、芸術系の大学進学を目指しにくい環境の方も、ぜひ諦めずいろんな手段を試してみてくださいね。