日本は世界的にも二次創作分野が発展しており、特にイラスト界では、アマチュアでも素晴らしいイラストを描き上げるクリタイターがたくさんいます。10代の方でも、すでにイラストにのめり込んでいる人は多いことでしょう。
そんなイラスト界ですが、2022年に衝撃的な出来事が発生しました。AI画像生成サービス、通称「AI絵師」の登場です。これにより、誰もがわずか数秒で高品質のイラストを生成できるようになってしまいました。はたしてイラストレーターの命運はどうなることやら。
ということで本記事では、AI画像生成サービスについて解説していきます。
AI画像生成サービスとは?
AI画像生成サービスはその名の通り、人間の代わりにAIが画像を生成してくれるサービスです。代表的なサービスとしては以下が挙げられます。
- midjourney
- Stable Diffusion
- DALL・E2
- NovelAI
ちなみに本記事で挿入しているイラストは全て、midjourneyで僕が生成したイラストです。midjourneyが生成した画像をもっと閲覧したいのであれば、midjourneyのInstagramを見てみるといいでしょう。
AI画像生成サービスの使い方
さて、AI画像生成サービスはどうやって使うのでしょうか。
最も代表的なAI画像生成サービスであるmidjourneyは、プロンプト(通称:呪文)を指示することで画像を生成可能です。例えば「girl」と指示を出すと以下のように4つのパターンを出してくれます。
そしてこの中から好きな画像を選んで、高画質バージョンを出力するというのが一般的な使用例です。
AIはやっぱり進化が凄まじい
僕の記憶が正しければ、AI画像生成サービスが注目された当初は「AIは背景に強いけど人物画は弱い」とされていました。特に日本特有の「萌えイラスト」においては、全然ダメダメだった記憶があります。
しかしわずか数ヶ月で、midjourneyの「萌えイラスト」特化版であるniji・journeyというサービスが登場。これで誰でも萌えイラストを生成できるようになりました。
AIの最大の強みは、脅威的な進化スピードにあると個人的に考えています。わずか数ヶ月で日本のイラストレーターが一気にピンチになるなど、どれくらいの人が予想できたでしょうか。
僕たちが知らない間に、いつの間にか脅威的な進化を遂げているのがAIです。そのため「AIは予想以上のスピードで進化する」と捉えておいた方がいいと思われます。
AI画像の著作権は?
AI画像で気になるのは著作権です。イラスト界では著作権の問題が度々話題になっていましたが、AI画像の著作権はどこにあるのでしょうか。
まず前提として、AI画像の著作権問題は法的に解決しておらず、各AI画像生成サービスの利用規約に則るのが無難です。
そして基本的に、AI画像を生成しても著作権は付与されないと考えられます。例えば本記事で挿入されているイラストは全て僕がAIで生成しましたが、著作権が認められる可能性は非常に低いので、誰でも使い回すことができます。
ただし、AI画像を活用して別の作品を制作した場合は、著作権が認められると考えられます。例えばAIイラストを生成した後に、2Dモーフィングソフトを利用してAIイラストをアニメーション作品に仕上げた場合は、著作権を認められる可能性が高いといえるでしょう。
また、AI画像生成サービスはその性質上、アニメ作品のキャラクターの二次創作イラストも簡単に生成することができます。この場合は一般的な二次創作と同様に、SNSへの投稿や商用利用はNGです。
SNS上では二次創作イラストの投稿が未だに絶えません。しかしこれは、著作権法としては極めて黒寄りのグレーゾーンです。AIイラストに限らず、イラストレーター全員が注意すべきでしょう。
AI画像の活用方法は?
それでは、一般の方はAI画像をどのように活用すればいいのでしょうか。具体的には以下が挙げられます。
- 趣味で楽しむ
- 画像挿入の代わりに利用する
- AI画像をベースにした作品を制作する
まずは純粋に趣味として楽しむのが一番です。例えば二次創作イラストはSNSへの投稿や商用利用がNGなだけで、自分だけで楽しむ分には全く問題ありません。自分の好きなキャラクターを自分の好きなポーズや服装でイラスト生成するといいでしょう。
そして僕が本記事で実施しているように、画像挿入の代わりにAI画像を挿入するのも有力です。趣味でブログを運営している方などは、アイキャッチにAI画像を挿入することもできます。
実のところ、画像素材サイトで適切な画像を探すよりも、AIに描かせてしまった方が早いというケースもあります。それにオリジナリティのある画像をすぐに生成できるのがAI画像生成サービスの最大の強みです。
そしてAI画像をベースにした作品を制作するのもいいでしょう。例えば、テーマを統一した複数のAIイラストを用いた写真集を制作したり、AIで作った楽曲のMVとしてAIイラストを活用したりと、アイデア次第で様々なことができます。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
【さいごに】絵師に残された選択肢
現在のイラスト界はAI画像生成サービスに対して否定的な印象を抱いているように思います。しかし、多くの人々にとっては「誰が描いたか」にさほど関心はなく、「イラストがどれだけ素晴らしいか」を重視しているのではないでしょうか。プロのイラストレーターになりたいと考えている方は、まずこの点を抑える必要があるでしょう。
そしてAI画像生成サービスの登場により、日本のイラストレーターの在り方が大きく変わることは間違いありません。少なくとも、AI画像生成サービスを活用するか、AIイラストとの棲み分けを意識しなければ生き残れない時代になるでしょう。
なお、もし僕が10代でイラストレーター志望の立場だったら、以下の施策を実施すると思います。
- AIイラストを活用してイラスト作品を大量に制作し、それをSNSにアップロード。一定数集まったら、テーマ性にあるイラスト集をKindleストアで販売
- AIにはできない「イラストを描きながらのライブ配信」に力を入れる
- 音楽、ストーリーなど様々な要素を組み合わせたイラスト作品を制作する(漫画、MVなど)
少なくとも、クライアントの指示通りに上手に絵が描けるだけでは、太刀打ちできない時代がやってくるのは間違いありません。そのため、音楽やストーリーを組み合わせたり、テーマ性を持ったイラスト集を制作するなど、一枚絵としてのクオリティではなくセンスや感覚で勝負します。
どちらにせよ、プロのイラストレーターとして生計を立てたいと考えているのであれば、AIイラストを活用するか、AIイラストにはできない部分で勝負する必要があるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。