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【著作権と違法アップロード・ダウンロード】著作物の引用で注意すべきこととは?

SNS上ではいろいろな投稿や記事があげられています。中には同じような写真や記事が使われているものも見かけますよね。

「あれっていいの?」「他人の記事や写真って、勝手にコピペしてあげても良いの?」そんな疑問にお答えします。

もしあなたが学校の宿題やSNSなどに何気なくコピペしているとしたら、これも要注意です!

人が作成した記事、文章、写真等には「著作権」という権利があり、勝手に使用すると著作権の侵害に当たる可能性があるのです。

ということで、今回はSNSで陥りやすい著作権との関係について説明しますね。

「著作権」とは

作品を創作した人が持つ権利で、作品がどう使われるかを決めることのできる権利でもあるんです。

作者の思想や感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを「著作物」といい、創作した人を「著作者」といいますよね。

そして、著作権は、著作者が自分の著作物を保護するための権利のことで知的財産権の一種として保護されているのです。

著作権の対象は?

作者の思想や感情が表現され創作されたものなので、詩や文章、音楽、舞踊、建築、地図、写真、映画、プログラム、ゲームなど多くのものに及びます。

また、著作権は、撮影者が写真を撮影した時点、詩などの作品を作った時点で、自動的に発生(著作権法第51条)するので、登録とか申請といった手続きは必要なく発生する権利なのです(同法第17条-2)。小中学生などを含め未成年者の作品(著作物)も対象です。

「著作権法違反」になる場合

有償・無償に関わりなく、他人の著作物を「無断で使用し公開する」と著作権法違反になるのです。

例えば、有償で購入または違法にダウンロードした動画やゲームソフトの全部または一部などを、YouTubeやSNSにアップロードして多くの人に視聴させる行為は著作権法違反。

2010年には、男子中学生(14)がYouTubeに、少年雑誌等で人気あるアニメを権利者に無断でアップロードして、著作権法違反で逮捕された例があります。

写真やイラストなどで商品化され使用承諾されているものを購入したり、個別に使用承諾を得たものは、その条件に従っていれば使用できます。

写真等の著作権の判断事例

他人の写真や記事を公開することなく、あくまでも自分自身が私的に使用する場合などは著作権法違反にはならないと考えられています。参考に写真等の著作権についての判断事例を以下に示します。

写真家に無断で写真そっくりに絵を描いて公表する行為は著作権(複製権)の侵害。
ただし、私的複製の範囲で描いた絵を、自分の部屋に飾るなど私的に楽しむことは可能。

恒常的に置かれ公開されている彫刻は、原則として自由に撮ることができます。
※「撮影禁止」の表示がない場合

自分で撮影した上記の写真を、販売すると著作権を侵害する。

絵はがきなどにして販売することは出来ない。著作権者の許諾が必要。

販売されている名画や彫刻等の複製写真を再利用する場合には、原作者の承諾が必要。

Web上の美しい写真を見つけプリントアウトし、額に入れて部屋に飾ることは、私的利用なのでOK。ただし無断でプリントアウトして友人に配布すると写真家の著作権を侵害。

テーマパークで着ぐるみのキャラクターと一緒に撮った家族写真をブログに載せる行為は要注意!

写真を友人や親戚などの限られた範囲で見て楽しむことにはOKだが、テーマパークにおけるキャラクタ-は「私的利用の範囲を超えた使用」を禁止しているところが多い。

写真の使用について規定を設けている場合が多いので、テーマパークのホームページや広報室に確認するとよい。

違法ダウンロードとアップロード

SNSやWebサーフィンをしている人が陥りやすいのが・・・違法ダウンロードとアップロードです。

まずは違法ダウンロードについて説明しましょう。

違法ダウンロード

違法ダウンロードとは、ゲームや動画など違法にアップされたものをダウンロードする行為で、著作権の侵害に当たります。

著作権法の改正で規制が強化

著作権法が平成24年に改正され「違法ダウンロードに対する罰則」が新設され、「違法ダウンロードは犯罪である」と世間一般に広く認識されるようになりましたね。

それでも違法ダウンロード事案が後を絶たないことから、さらに著作権法が改正(令和3年1月施行)されて、従来の「有償で販売されている音楽・映像のデータ」に加えて、漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムといったデータの違法ダウンロードも規制対象に加えられました。

つまり、正規版が有償で販売されているにもかかわらず、無償でダウンロードが可能ないわゆる「海賊版」といわれる違法にアップロードされた漫画・書籍・論文・コンピュータープログラムをダウンロードする行為を禁止しています。

違法ダウンロードを繰り返したため、著作権者の刑事告訴によって、逮捕され、刑罰が科せられた例もありますので注意しましょう。

なお、海賊版か正規版の判断は下の資料のマークの有無を確認しましょう。

有償販売されているものの複製品は、私的利用も禁止されている

Web検索すると、ゲームソフトやパソコンのOS等のソフト、音楽、漫画など「無料でダウンロード」という表現のサイトがけっこうありますが、これには特に注意してください。

原則として、著作権者以外の者による「複製(コピー)」が禁止されています。

正規版が有償販売されている音楽・映像データを無償または激安で違法配信しているものをダウンロードすると、私的使用であっても「複製」にあたり禁止されているのでご注意を!

違法ダウンロード等に対する罰則

著作権法第119条3項には、違法にアップロードされている著作物であることを知りながら、反復・継続してダウンロードした場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれらを併科すると定められています。

映画や動画、音楽などを著作者の承諾なく違法にアップロードした場合(著作権侵害)の罰則は、更に重く、著作権法第119条1項の規定によって「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらが併科」となっています。

違法ダウンロードの事例

マニアックな裏物に関する雑誌やPCゲーム関係の雑誌などに、無料ダウンロードに関するサイトのURLが紹介されていたり、Web検索したところ無料ダウンロードできるような記載やURLが紹介されていることがありますよね。

しかし、これらのURLからダウンロードしたため、違法行為として警察に取り調べを受けた事例もあります。

「無料」という言葉には魅力があり誘われますが、私的使用の範囲内であっても、一般に有償販売されているような内容などのダウンロードは違法行為になってしまうことがあるので要注意です!

<参考事例>

① 携帯電話の着メロや着うたのダウンロード

着メロ等は一般的には対価を支払って利用するもの。着メロや着うたを提供しているサイトには,広告収入をもとに無料で提供しているものもあるが、中には著作権を侵害した違法サイトも多く,その違法サイト利用者は中高生が最も多いという。

② 高額なパソコンソフトを無料でダウンロード

Web検索で「○○ソフト無料」という記事を見てサイトにアクセス。通常有料(高額)販売しているソフトなので欲しくなりダウンロードして使用した。

③ 好きな音楽を自分のブログにアップして公開(違法アップロード)

音楽には著作権があるので勝手にバックミュージックなどに利用してアップすると著作権法違反に問われる可能性あり。

フリーソフトなどは大丈夫?

「フリーソフト」や「シェアウエア」といわれているソフトは、一般に、著作権者が、利用者に無料で利用することを認めているソフトです。

しかし、このようなフリーソフトであっても、ライセンス契約というものがあって使用条件が付されている場合が多いですので要注意!

使用前に条件をよく確認してくださいね。

二次配布の禁止、出典明記義務、一定期間使用後に有料に自動切替えなどの義務が利用者に課されていることがあるので確認をしましょう。

また、この種のダウンロードの際にウィルスが仕込まれていた、無料のつもりで使用したが後日高額の使用料を請求されたという事例もあります。

著作権のないもの

著作権のないものもあります。

  • 憲法やその他の法令のような法律の条文は著作権がない。
  • 国や地方公共団体の出す広報資料や統計資料なども著作権がない。
  • 裁判所の判決、決定、命令など
  • その他、翻訳物や編集物で国、地方公共団体などが作成するもの。

著作物の引用について

他人の著作物を利用する場合、原則として、著作者から許諾を受けることが必要ですが、その利用が著作権法上の「引用」にあたる場合には、著作者の許諾や譲渡を受けずとも著作物を利用することができます。

著作権法が定める「引用」

著作権法上の「引用」には、次の3つの要件をすべて満たすことが必要とされています。

① 「著作物が公表」されていること

写真や文献などの著作物が発行され、または、著作権者の許諾の下で上演・上映等されるなど、公衆に提示されていること(「著作物の公表」という。)が必要。

 「公正な慣行」に合致するものであること

「公正な慣行」の明確な基準はなく、著作物の種類や引用の目的などから、社会通念上妥当といえるかどうかで判断される。

③ 引用の目的上「正当な範囲内」で行われるものであること

引用目的に照らして「正当な範囲内」である必要があり、

・ 引用の必要性の有無
・ 引用の量・範囲が引用目的との関係で必要な範囲内にあるか
・ 引用方法が適切か

の三点について、個別の事案ごとに判断される。

著作物を引用する際の注意点

現実に論文等に文献を引用する場合には、以下の5点に注意する必要があります。

○ 引用の必要性があること
他人の記事を批評する場合などには、引用がないと批評できないので必要性が認められる。

○ 主従関係を明確にすること
文章の内容や分量などを比較した場合にオリジナル部分(主)が引用部分(従)より大きい関係にある。

○ 引用部分が明確に区別されていること
オリジナル部分と引用部分とが明確に区別されている。例えば引用部分を「」(かぎかっこ)書きにする。

○ 引用部分に修正を加えていないこと
引用する著作物は、修正を加えずにそのまま引用しなければならない。

○ 引用元が明記されていること
引用元を明記する。たとえば、文献からの引用の場合には文献の名称と著者名を、Webサイトからの引用の場合にはWebサイトの名称とURLを明記する。

ニュース記事等の引用

最近では、Webサイトに上げられているオリジナルのニュース記事やサイト記事の多くに、SNSのマーク(例えばTwitterやFacebookなど)がついており、それをクリックすることでTwitterなどに引用・リンクできるシステムが用いられています。

これはそのコンテンツの管理者が引用を認め、かつ引用の要件や注意点に配慮したものになっています。

一方で、これらの引用のためのアプリマークのない記事などを引用するときは、先述の「著作物を引用する際の注意点」にしたがう必要があります。

最後に

著作権は固有の権利です。

あなたが作成した写真や文章にも著作権がありますが、これを勝手に使われたら・・。

あなたの持っている権利が侵害されたらどう思いますか・・・?

他人の著作権を侵害しないための基本は、

  • 他人の写真や作品は勝手に使用しない  
  • 「無料」という表記に惑わされることなく、使用条件等を確認し、違法なダウンロードやアップロードはしない
  • 著作権等が不明なものは確認し、承諾を得る

ということですね。

著作権を守りながら誤りのないようにSNSを楽しんで下さいね!

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