子供達にも人気のある白バイ隊員。白バイ隊員になるのにはどうすればよいのだろうか。若手警察官の中にも白バイ隊員に憧れる人も少なくないので、狭き門かもしれません。
白バイ隊員とは
白バイ隊員とは、正式には「交通機動隊」という所属に属する警察官。
大型の白バイ(正式には「交通指導取締用自動二輪車」という。)にまたがり、白いマフラーをなびかせてブルーの制服に身を包んでさっそうと走る姿は多くの人の憧れの的。
白バイ隊員には、男性だけではなく女性隊員もいます。
警察官を希望する人の中では「刑事」と「白バイ隊員」は人気のある職種といえます。
白バイ隊員になるためには
白バイ隊員になるための大雑把な流れを説明します。
〇 警察官採用試験に合格すること
警察官にならないと「白バイ」を運転することができません。
〇 警察学校
警察官として採用されると警察学校に入校し、警察官として必要な法律に関する知識や警察官としての基本的な技術、規律を学びます。
〇 警察署勤務
警察学校を卒業すると警察署に配置され、まずは交番勤務をします。
〇 白バイ乗務員養成講習
白バイ隊員を希望する場合には、「白バイ乗務員養成講習」という白バイ隊員を養成する研修に参加する必要があります。
この講習は希望者が誰でも参加できるわけではなく、本人の希望や適性などを勘案して警察署長の推薦が必要なのです。
この研修は、白バイの操作技術や安全運転技術を学ぶためのもので、道路交通法関係法令や交通指導取締の実務、白バイの運転、トライアルバイク訓練なども行います。
この研修の最後に行われる修了試験に合格すると白バイ隊員の候補者名簿に登載されることになり、いわば白バイ隊員になるための切符を手に入れたようなものです。
白バイ隊員適任者選考基準
警察署長等が白バイ隊員適任者を選考する基準については、都道府県警察が独自に定めています。
ということで、県警間で若干の相違はありますが、階級、年齢、経験年数、体力、運転適性などが一応示されてます。下記の図は福島県警の例です。
白バイ隊員は、装備を含め約300kg近くもある大型自動二輪車を操ることから、職務遂行に強じんな体力を必要とします。そため、腕立て伏せや腹筋、スクワットのような体力検査や身長・体重の体格検査などもあります。
体格検査については、概ねの目安としては、身長が男性おおむね160cm以上、女性おおむね150cm以上であること、体重は男性おおむね47kg以上、女性おおむね43kg以上であること(福島県警)というような基準があります。
白バイ隊員数は?
白バイ隊員の数は、正規には公表されてはいませんが、全国警察で1万人程度。各県警察の規模によって異なりますが警視庁(東京都警察)、大阪府警、神奈川県警などの大規模な警察では1,000人余りといわれています。
1,000人もいる、と思うかもしれませんが、警視庁は警察官約44,000人の中で1,000人ということなので、約2%余りの狭き門といえると思います。
警視庁の例では下表のように、第一方面交通機動隊から第九方面交通機動隊の六つの方面交通機動隊が設置され活躍しています。
そのほか、警察署にも白バイが配置されており、交通課(交通執行係)が運用しています。
そのため白バイの数も960台程度あるようです。
都道府県の規模によっては、交通機動隊員が30名程度というところもあります。また、警察署に白バイが配置されていない県警が多いです。
配属人数(定員)に対して希望する者が多いため、白バイ隊員になるのは狭き門といわれているのでしょう。
気力、体力、コミュニケーション能力、道路交通法等法令知識等が優れており、厳しい競争に勝ち抜いた警察官だけが白バイ隊員となれるということになります。
近年では、女性の白バイ隊員も増えてきており、現在は全国で100名以上の女性白バイ隊員が活躍しています。
白バイ隊員の業務や活動
白バイ隊員の業務は、交通事故防止のための活動を行うことです。
そのため、交通違反などの交通指導取締り、交通の整理誘導、交通安全教室、各種交通安全キャンペーン等のイベント参加、駅伝やマラソン大会の先導・誘導活動など、多岐にわたります。
中でも地元の駅伝大会の先導は最も華やかな姿です。
特に箱根駅伝での先導は、警視庁と神奈川県警察の白バイ隊員の中でも、高度な運転技術をもったエリートが務めているといわれ、テレビで放映され、先導する白バイ隊員の所属や氏名等も公表されるので隊員にとっては最高の誉れになっています。
一方で、交通違反の取締りを行うことから、時には交通違反者から罵声を浴びせられつらいときもあるようです。
また、大型の白バイを運転し交通違反車両を追跡することから、交通事故の危険が高い仕事ともいわれており、それゆえに厳しい訓練が必要なのです。
白バイ安全運転競技大会
各都道府県警察では、「白バイ安全運転競技大会」を開催しており、白バイ隊員の安全運転技術などの競技会が行われています。地元の報道機関などでも大きく報道されています。
そして、白バイ隊員の甲子園ともいわれているのが、警察庁主催の「全国白バイ安全運転競技大会」。
2024年10月の開催で54回目、半世紀以上も続く全国大会であり、各都道府県警察の選抜チームによって安全運転技術が競われています。
男女それぞれの団体優勝や部門別の個人優勝者など、その年の白バイ安全運転技術の最高峰が決定します。
このようなことからも、警察官の中でも憧れの的で、「エリート」的な存在であるともいわれているのかも知れません。
白バイ隊員の給料は?
白バイ隊員の収入は、他の警察官と同じ制度によって決まっており、白バイ隊員だからといって特別な優遇はありません。ただ特殊勤務手当(乗務手当)などがありますが、基本的には他の警察官と同様です。
おわりに
白バイは人気のある職種です。交通事故防止のための諸活動や交通安全教育、交通指導取締りなど華やかな姿が表面的にはありますが、その裏でとてもハードな訓練に耐え抜いているんですね。
読者の皆さんの中の白バイ隊員を希望する人の夢が成就することを祈念します。
出典
- 警視庁、福島県警、兵庫県警、神奈川県警、警察庁各ホームページ
- 警察庁:https://www.npa.go.jp/news/release/2024/20240926001.html