【公務員になるには?】公務員の種類、仕事内容、民間企業との違い―元警察本部長が徹底解説!
あなたは将来どんな職業に就きたいですか?
中高生のなりたい職業(2020年)調査では、男女とも公務員(教員含む)が高順位でした。では公務員ってどんな仕事をするのでしょうか?公務員になるためにはどうすればいいの…?
今回は皆さんのなりたい職業ランキングで上位を占める公務員について情報提供しますね。
目次
高校生のなりたい職業ランキング
いくつかの調査がありますが、ここではLINEリサーチの調査結果を引用します。
高校生に絞ってみてみると、なりたい職業の男女別では表1のとおりでした。
男女合計(全体)では、なりたい職業が「決まっていない・わからない」と回答したのは約18%。
なりたい職業が決まっている人の中で、男女合計のTOP3は、「教師・教員・大学教授」、「国家公務員・地方公務員」、「看護師」という結果だったそうです。
近年はほぼ同様の傾向にあるようですね。
その理由としては、「教師・教員・大学教授」は憧れの先生がいるとか、また「国家公務員・地方公務員」は安定しているというイメージなどから選ばれているといいます。
この調査の中で「将来働く会社・企業選びで特に重視しそうなこと」について尋ねたところ
- 給料/ボーナスなどの待遇が良い
- 人間関係/職場の雰囲気が良い
- 仕事の内容が、自分のやりたいこと、得意なこと
などが上位を占め、特に①や②の給与や職場の雰囲気などは全体の4割と高い比率を占めていたそうです。
やはり職業を選択する上では、安定した収入が得られるなど、待遇や職場環境、人間関係の良いところなどが重要なポイントになっているようですね。
公務員とは?
ひと言でいうと「国や地方自治体に勤務し、社会の土台作りを仕事とする人」。
法律(国家公務員法や地方公務員法)では「全体の奉仕者」と定められており、「個人や会社の利益」を追求する民間企業とは異なり、「公共の利益」を追い求める職業なのです。
つまり、国民全体が幸せになれるように、サポートするのが公務員の仕事ということなのです。
国家公務員と地方公務員
国家公務員は、「国」に採用され、基本的には中央省庁や国の出先機関などにおいて国民に向けた仕事を行う公務員です。経済や外交、地球環境、税金など、さまざまな分野に関する政策の立案や事務処理などを行います。
国家公務員はさらに、一般職と特別職の国家公務員に分けられます。
特別職の国家公務員とは、政治的な国家公務員(内閣総理大臣、国務大臣など)や、三権分立の観点や職務の性質から、国家公務員法を適用することが適当ではない公務員(裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省の職員など)をいいます。
地方公務員は、都道府県や特別区、市区町村などの地方自治体に採用され、原則として、所属する自治自治体の住民と向き合いながら働く公務員です。
公務員は何人いるの?
では、公務員はどれくらいいるのでしょうか?以下の統計データを紹介します。
- 国家公務員(一般職と特別職合計):約58万4000人
- 地方公務員:約273万9000人
国家公務員は平成12年(2000年)度には約113万人いましたので、この20年間で半減しています。
これは、定員削減が進んだこと、国立大学の法人化や日本郵政公社の民営化等により、公務員でなくなった人たちがいたためといわれています。
地方公務員は、やや増加傾向にあり、特に教育部門が4割弱を占めています。
公務員の仕事にはどんなものがあるの?
さて、あなたは公務員になって何をしたいのでしょうか?
公務員といっても、一般的な行政事務系の仕事や、土木や電気など技術系、福祉系、教職員、警察官や自衛隊など多くの職種があります。
もちろん法律や条例を起案する仕事や税務職員、警察官などのように民間にはない内容で、公務員でないとできない仕事というものもあります。
どんな仕事をしたいの?
まだ具体的な職種について考えてはいないけど、「ただなんとなく」とか、「公務員ならどんな仕事でも良い」という人もいるかと思います。
まずは、
- あなたがどんな仕事をしたいのか?
- それは公務員でなければできない仕事なのか?
- 民間企業等でもできる仕事なのか?
を考えてみませんか?
例えば、栄養士という仕事は、自治体等の職員として採用されれば「公務員」ということになりますが、かなり狭き門。栄養士の就職先は民間の企業のほうがたくさんあります。
学校の先生も、公立学校の教員に採用されれば「公務員」ですが、私学の教員であれば民間(非公務員)ということになります。
同じ業種・内容の仕事でも、個人や会社の利潤追求をする民間企業で働くのか、国民全体の基盤作りを行う官公庁において働くのか?
つまり、雇用主が民間か役所(国民)かの違いはあっても、仕事内容が同じ職種はたくさんあるのです。
公務員はリストラがない?
公務員は国や地方自治体が採用するので、身分保障が充実し、倒産などの心配がない安定した職業といわれています。
それは、地方公務員法などの法律や条例で定める事由による場合以外は、職員本人の意思に反して休職や退職をさせられることはないからです。
一方で公務員は全体の奉仕者であることから、職務(服務)上
- 法令及び上司の命令に従う義務
- 職務上知り得た秘密を守る義務(守秘義務)
- 政治的行為の制限
- 争議行為の禁止
などの強い制約を受けています。
公務員ということで、職務上はもちろん、私生活を含めて厳正かつ節度ある生活態度が求められ、ちょっとしたミスがマスコミ等で大きく取り上げられ、批判を受けることもあります。
公務員と民間企業の給与の違い
では、公務員と民間企業で、給与面での違いはどうでしょうか?
公務員の給与
公務員の給与は、税金で賄われるか、その職務と責任に応じたものとしての法律や条例で俸給表が具体的に定められ公開されています。
昇級や昇任等は勤務成績や能力などに基づいて判断され、特に昇任は競争試験によることが原則になっています。
ということで、公務員になった後も試験がついて回ることになりますよ~
民間企業の給与
民間企業は、景気や会社の業績に左右されます。
従業員が働いた結果が、企業の業績・利益を生み、それが給与などに反映されます。会社の業績が良いときは、給与やボーナスなどは公務員より高い水準にありますね。
また、営業系の職種の場合、販売実績などノルマがありますが、売り上げ次第ではかなり高収入を得られると聞きます。
さらには最近のベンチャー企業のように、自分の技術力や能力を十分に発揮でき、かつ収入も良いと評価されている企業もありますよね。
しかしながら、業績が悪化すると減額や場合によってはリストラなど厳しい状況に陥ることもあるのも事実です。
目指すのは国家公務員?地方公務員?
これまでの説明を踏まえ、結果として公務員になって仕事をしたいと考えたあなた!
では、国と地方自治体どちらで働きたいですか?
職種によっては、国家公務員でないとなれないもの(裁判所職員や刑務官、税務職員など)、地方公務員でないとなれないもの(警察官、消防官など)などがあります。
また、国家公務員は採用後、原則として全国的な勤務配置が求められ、転勤が伴うことになります。地方公務員は、原則として所属する自治体で勤務することになります。
就きたい職種や家庭事情などを考慮して、国家公務員か地方公務員かを考えてみましょう。
専門性の高い仕事も
一般職(事務職)の公務員は、国家公務員でも地方公務員でも、対象が国民や自治体向けの仕事なのか、地域住民のための事務なのかの違いはあるものの、事務的な仕事には大きな違いはないかもしれません。
一方で、国家公務員でないとなれない専門性の高い職種(国会職員などの特別職の公務員を含む)や、地方公務員でないとなれない専門性の高い職種があります。
例えば、国税専門官、自衛隊、海上保安官、法務省専門職員(保護観察官、法務教官等)、財務専門官、労働監督官、皇宮警察官、刑務官、入国警備官、航空保安官などは「国家公務員」としての仕事になります。また、都道府県の警察官、消防官、公立学校教職員などは地方公務員としての仕事になります。
そのほかにもいろいろな専門性の高い職種があります。
専門性の高い職種は、一般の公務員採用試験とは別に個別の専門職(特別職)試験を実施しています。主なものを表にまとめましたので参考にしてください。
記事の最後に関係省庁のホームページをいくつかまとめているので、詳しく知りたい方は直接確認してみて下さいね。
まとめ
公務員の仕事について、ザックリとわかりましたか?
先に書いたように、国家公務員も民営化や業務のアウトソーシングなどによって人員が削減され、公務員でなくなった方々がたくさんいますので、必ずしも安泰ではないように思うのですが・・・
まずは、どんな仕事をしたいか、国か地方か?あなたのなりたい公務員をイメージしておいて下さいね。
さて、次回は公務員になるための試験制度について書きます。
この記事へのコメントはありません。