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【警察官になるには?】警察学校、仕事内容を元警察本部長が徹底解説!

警察官はどんな仕事をするの?警察学校の生活って?

TVドラマなどで見たことはあるけど、実際はよくわからないですよね。

今回はこのあたりについて触れてみます。

規制の厳しい職場?

警察官が民間の企業や他の公務員と大きく異なるのは、

法律の執行者であること、国民全体への奉仕者であること

そのため比較的規制の厳しい職場だと言われています。

また、警察の勤務の特殊性から労働三権(団結権、スト権、交渉権)がありません。

とはいえ、働き方改革などにより、超過勤務の抑制や休暇の取得、女性専用の休憩室等の職場環境や産休、育児休暇なども他の職業と同様に改善されてきています。

採用後は警察学校からスタート!

警察官として採用されるとまず警察学校に入校します。

このときに採用辞令を受け「巡査」の階級が与えられ、初めて制服に袖を通します。

ここから警察官人生がスタート!

もちろん研修を受けている間もきちんと給料を支給されます。

警察学校は全寮制

警察学校は全寮制です。

まず初任科教養として、大卒の場合は6ヶ月、それ以外は10ヶ月、警察学校の寮に入り、同期生と寝食を共にして研修を受けます。

起床から就寝(午前6時ころ~午後11時ころ)までタイムスケジュールに基づき、規則正しい生活を送ることになります。

独り立ちするまで一定の研修を受ける

初任科教養が終了したら、職場実習のため一旦警察署に配置され、3ヶ月程度現場研修(実習)を受けます。

学校で学んできたことを実際の職場で実践できるかを確認するほか、現場で必要な知識、技術を実感する機会となります。 

職場実習を終えると再び警察学校に入校し、初任科補修教養を受けます。大卒が2カ月、それ以外が3カ月、警察官としてより高度な知識と技術を学びます。

これを修了すると、再び警察署に配属され、大卒が4ヶ月、それ以外が5ヶ月の実践実習を行います。

つまり、警察に採用されてから大卒が15ヶ月、それ以外の高卒等が21ヶ月に及ぶ長期間、警察官として独り立ちするための勉強に勤しむことになります。

警察学校ではどんなことをするの?

警察学校では、

憲法、刑法、刑事訴訟法、警察法、そのほか警察が扱う道路交通法、少年法などの法律、被害届などの捜査書類の作成、交通違反の取り締まり要領(違反切符の作成など)、柔道、剣道、逮捕術、救急法、鑑識技術、拳銃取扱い(射撃訓練)、警備訓練など、

警察官の基礎となる教養を受けます。

警察学校の試験

警察学校には、研修効果を測定するために試験があります。

法律関係はもちろん、拳銃射撃、逮捕術、柔剣道などの術科や鑑識技能検定、救急法検定などは必要な級位等を取得しなければなりません。

警察学校に入校した後でも、寮や学校の生活、訓練についていけない人やけがや病気などで職場を去る人もいます。全員が卒業するわけではありません。

卒業後は交番勤務に

一連の研修が終了したらやっと一人前の警察官。

まずは、交番勤務から始まります。

市民からはおまわりさんに見えても、実は研修生であったということもあります。

警察の仕事は?

地域警察官や刑事、白バイ隊員など、同じ警察でも仕事の内容は様々。主な部門別の仕事の内容としては下表のとおりですが少し解説します。

警察官を大別すると、地域警察官専務警察官になります。

地域警察官

地域警察官とは、一般に交番や駐在所に勤務する警察官や警察署の警ら自動車係(いわゆるパトカー係)の警察官、いわゆるおまわりさんですね。

地域警察官の仕事内容は、地域のパトロールや担当する家庭を訪問し、世帯調査(巡回連絡)や防犯・広報活動を行うこと。

また、交通違反者の取締りや、不審者を発見したら職務質問を行い、空き巣、車上あらしなどの被害が発生した場合は、被害者から話を聞き、被害届を作成します。

他にも、ご近所トラブル、ケンカ、酔っぱらい、迷子、落とし物の取り扱いなどを行います。

地域警察官は、警察の業務全般を幅広く行い、事件や事故の場合には初動的な対応を行います。

専務警察官

専務警察官は、専務係とも呼ばれ、刑事や交通、警備など業務を担当している警察官です。

概ね地域警察官として2年程度勤務した後、本人の適性や欠員状況等を勘案して、専務係研修を受講するなどして専務係へ登用される機会が与えられます。

白バイや高速道路の警察官になるには?

白バイ隊員になるのは結構大変。

本人の希望はもちろんですが、警察署の推薦で「白バイ任用専科」という研修を受け、隊員としての素質や適性があれば白バイ隊員に任用されることになります。

高速道路で勤務する高速隊(高速道路警察隊)も、専門性の高い警察官です。

白黒パトカーや覆面パトカーで高速道路の警ら(=パトロール)、取締り、交通事故捜査などを行います。

冷静な判断力と高度な運転技術、交通事故捜査能力が要求される仕事です。

命がけの仕事

特に、白バイや高速隊は命がけの仕事ともいわれています。

私も巡査部長当時に高速隊に勤務していたことがありますが、速度違反のスポーツカーなどは40km以上も追跡したり、時速160km以上の速度で追跡することも日常的。

当然危険を伴い、同僚の中には追跡中にスピンして車両を大破させる事故を起こした人もいました。

白バイや高速隊は、常に危険と背中合わせの勤務といえます。

格好いいので憧れの職場ですが、警察官の殉職が多い職種は白バイ隊員です。

刑事警察

テレビドラマのように60分で事件を解決できればよいが、なかなかそうはいかないのが現実です。

靴底をすり減らし聞き込みをして・・・といわれるように、実は地味な仕事といえます。

刑事には、殺人事件などを担当する捜査一課、汚職や詐欺などを担当する捜査二課のほか、窃盗犯、組織犯罪、暴力団犯罪、薬物犯罪、鑑識などに担当部門が分れています。

最近ではネット犯罪の捜査なども積極的に行われています。

警備公安部門、その他

警備や公安部門を担当する警察官。天下国家の安全安寧のために働く部門といえます。

機動隊や災害救助隊のような警備部隊活動も担当します。

そのほかには、会計や人事、総務部門などで勤務する警察官もいます。

女性警察官

最近では女性警察官の地位向上など国の施策もあり、女性の警察官が増えています。

また、女性の幹部も増え、警察署長や副署長、刑事課長などの職に女性警察官が就いています。

育児休暇などの制度を含め女性警察官の勤務改善が図られてきるという背景もありますね。

転勤はあるの?

都道府県警察により若干異なるが、基本的には、同一階級で一定期間の勤務を経ると他の警察署等へ転勤することになります。

また、昇任異動ということで、昇任試験に合格すると直近の人事異動の時期に他署に転勤することになります。

ず~と同じ係ができるの?

長く刑事を続けるなども不可能ではないです。

でも、昇任して転勤した場合に昇任前と同じ係(例えば刑事係が異動先でも刑事係)になるとは限らないです。

むしろ最近は、刑事など専務係が昇任異動した場合には、一旦交番に勤務することが多くなっています。

これは地域警察官に対し専務係の経験や視点で指導し、若手の捜査能力や実務能力を向上させようとするためです。

警察の階級は?

警察の階級には、巡査、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監まで9つの階級があります。

都道府県警察官は警視の階級まで。

警視正以上になる人もいますが、警視正以上は「地方警務官」といい、身分上は国家公務員、給与も国から支給されることになります。

階級の構成、割合などは上の表のとおりです。

試験が続く?

警視の階級まで試験制度があります。

大卒とそれ以外高卒等の採用での大きな違いはなく、大卒でもそれ以外でも順調に昇任すると概ね40歳くらいで警部の階級に就くことができます。

昇任試験に合格すると幹部研修のために入校

巡査部長の昇任試験に合格すると、管区警察学校の巡査部長任用科という課程に入校し、巡査部長としての心構えや捜査能力、知識、術科等を習得することになります。

ちなみに管区学校とは、北海道は別として、東北、関東、中部、近畿などの各地域毎に設置されている警察庁所管の警察学校です。

その後の警部補昇任試験に合格した場合などにもここで研修を受けることになります。

警察は、幹部教養を含め、階級に応じた実務能力と指導力の研修などがず~と続くのです。

階級別の役割

どの階級がどんな役割を担うのかというと、警察署の規模等から必ずしも階級と役職は一致しませんが、警察署の署長クラスは 警視正または警視。警察署の課長は警視または警部の階級となっています。

各階級別の役割は以下の表のとおりです

道府県警察においては警視正の階級が警察官としての上位の階級です。

なお、警視庁、北海道警、大阪府警、京都府県、兵庫県警など大規模な都道府県警察においては「警視長」の階級が地元警察官(たたき上げ)のトップ階級となっているところもあります(総務部長職など)。

最後に

警察官といっても仕事内容は様々。

いずれの仕事でも、警察官の職務を行う上では地域住民の方とのコミュニケーション能力が必要であり、雑学と対話力等が不可欠です。

黙っていては何も始まらないので、なるべく人と話す、そして話を聞く力を身につけることが必須です。

警察官を希望するみなさんは、普段から多方面に関心を持ちながら、まずは採用試験突破に向けて頑張ってくださいね~

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