進学や就職をするにつれて耳にすることが多くなる保険の話。皆さんの中には「なんだかややこしい」と敬遠されている方もきっといるはず。でも、保険ってとっても便利で頼りになるものなんです。
今回は保険のプロに協力していただき、一問一答形式で保険の「めんどくさ!」を解決していきます。
【執筆・監修者プロフィール】
ファイナンシャルプランナー
保険販売に20年超携わる。保険会社の白書内にて、6万店の中から唯一紹介される。子どもの頃から、スポットライトを浴びる体質。晴れ男。
Q1. 世の中にはどんな保険があるの?
みなさんは「保険」と聞いて何を思い浮かべますか?健康保険、生命保険、損害保険、年金保険…etc、保険と付くものはたくさんありますよね。無数にある〇〇保険を並列にするとホントにわかりづらくなるので、シンプルにまとめてみます。
保険を「対象別」で大まかに分けると、下記の3種類に整理できます。
- 人保険
- 物保険
- 賠償保険
それぞれ簡単に説明していきますね。
①人保険は、身体を対象として、病気やケガで入院したり、手術したり、あるいは亡くなった際などに、保険金が支払われます。
②物保険は、自分の持ち物が対象になっていて、家が火事で焼失したり、自然災害で壊れたり、泥棒に時計が盗まれた際などに、保険金が支払われます。
③賠償保険は、弁償の義務が対象となっていて、他人の持ち物や身体を傷つけてしまったときに、迷惑分をお金に換算して保険金が支払われます。
よく聞く「生命保険」と「損害保険」を、この3種類に当てはめると、生命保険は①に特化しています。身体の状態と病気やケガの種類などで細かく分類されていて、様々なリスクに備えられるようになっています。損害保険は①、②、③の組み合わせです。
NEONAVIが学生のみなさんに紹介している学生総合保障制度であれば、たとえば部活中に足を骨折して入通院したときに支払われる①人保険、たとえば自転車に乗っている際に、歩行者にぶつかってケガを負わせたり、駐車しているクルマの脇を抜ける際にミラーにぶつかって壊してしまったときに支払われる③損害賠償、この2つを組み合わせたものになります。
大学生プランであれば、たとえば部屋の中で誤ってテレビを倒して壊した際に支払われる特約があります。つまり②物保険がつく、というわけですね。
Q2. 「これは絶対入っておいたほうがいい!」という保険はあるの?
まずはコレから伝えたい。Q1と異なる分類ですが、保険には「絶対入らなければいけない」国が定めた【公的保険】と、「任意で入る」保険会社や協同組合が提供している【民間保険】があります。
- 民間保険…保険会社など民間で運営する保険(例:個人賠償責任保険や火災保険)
- 公的保険…国が制度として定めている保険(例:健康保険や年金保険)
絶対入らなければいけない公的保険の国民年金は、大学生と自営業者には、必ず一定の割合で未加入者がいます。入らない理由として、年金保険へのネガティブな発言に出くわしますが、いろいろ間違ってます。公的な年金保険は「入らないと損」と言い切れるほど、平均寿命までのリターンは良いですよ!
さて、本題ですが、結論として、これはケースによって様々です。
小さいお子様の場合を考えてみましょう。外で遊ぶのが好きな子であれば、部屋の中で遊ぶ子供に比べ怪我をしやすいですよね。であれば、ケガの補償をしてくれる保険への加入を検討する、という流れです。
また小学校高学年から中学生と成長してくるにつれて自転車に乗る機会も増えてきます。であれば自転車で他人に怪我を負わせてしまったときのための個人賠償責任保険は必須と言って良いでしょう。逆にその年代のお子様だとまだ高価なものはあまり持っていませんので、物保険は必要ないかもしれません。
以上のように、人それぞれの特徴と、経済的合理性の観点から「何が必要で、何が必要でないのか」を判断することが大切です。
Q3. 保険の選び方がわからない…
並べれば並べるほど、わからなくなるのが保険です。そんな時は、保険商品ではなく、自分にベクトルを向けましょう。
ハッキリさせなきゃいけないのは、「自分には何が大切で、どんな不安があるのか」ってことです。コレが明確であれば、あとは、販売員に不安を解消できる保険を選んでもらうだけで良いのです。単純でしょ。
しかしある程度、不安について深堀りと項目整理をする必要があるので、自分だけで完結できる人って少ないんです。
自分でできなければ、人に手伝ってもらうことをおすすめします。「自分には何が大切か、どんな不安があるのか」を明確に整理する手助けをしてくれる人。言い換えれば、「何のために保険に入るか」つまり「保険に入る目的」をハッキリさせてくれる専門家や保険販売員(プランナー)と接点を持つことが大切です。
良いプランナーに共通する特徴は、お客さんの話を聞くのが上手だということです。そして営業成績が良いのも共通した特徴です。
そのようなプランナーと出会うには、あなたのご家族やあなたが信頼している方に「話しが聞き上手で、営業成績のよい方」を紹介していただくのが良いかと思います。
あまり話題には出ないかも知れませんが、保険加入時に販売員に感動した人は、結構いらっしゃると思います。
Q4. 10代が保険に入る必要性はあるの?
これを読んだ10代の皆様の中には、「自分も保険にはいらなくちゃ…!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。ですが焦らなくて大丈夫。丁寧に進めていきましょう。(丁寧に進めるとは、保険に入る目的をハッキリさせることです。)
生命保険は、「早く入ると安くなる」と言われます。一生涯を保障する商品においては、そのとおりで、早期加入に経済的合理性があります。しかし、保険に入る目的をハッキリさせてからでも、生じる差額はさほど大きくなりません。
余談ですが、
- 社会人になって自分で自分の面倒みることになった
- 理想の暮らし、もしくは、絶対イヤなライフスタイルが決まっている
- 守る人ができた
このいずれかに合致したら真剣に検討することをお勧めします。あと、既往症があると生命保険には入れない場合があるのでご注意ください。
~保険に入るタイミング~
保険に加入するタイミングの一つの目安に、「人間の物理的行動力を超えたモノを所有・使用するようになったとき」があります。
分かりやすいのが車を手に入れたときです。「任意で入る」民間保険なのに、自動車保険に入るのは当たり前という認識がありますよね。
「車に乗る」という行為は言い換えれば「1tを超える鉄の塊を60km以上のスピードで移動させている」ということです。もし人間にぶつかってしまったら、とても痛いじゃ済まないですよね。だから当たり前に入るんです。
これを10代の皆さんに置き換えるとどうでしょうか。まだ車を持っていない人がほとんどだと思いますが、一方でほとんどの方が乗るものがありますよね。
そう、自転車です。自転車同士や歩行者と衝突すると相当の被害がでます。また、裁判で1億円もの損害賠償を命じられている例もあります。
ここ数年で、自転車保険加入を義務付けている自治体が増えました。一度自分の住んでいる地域のHPで調べてみましょう。そしてご家族が自転車保険に入っているか確認しましょう。家族のどなたか入っていれば、あなたが事故起こしたとしても、保険は効きます!
自転車保険の中には、自転車事故以外の日常生活の賠償事故までカバーされているのもあります。「デパートで高価な商品をうっとりみてたら、誤って落として壊した」なんて場合にも保険金が支払われます。
自転車保険の視点でも、全日本交通安全協会のサイクル安心保険や、全国学生保障援助会の学生総合保障制度はイケてます。どちらも団体割引が効いているのでおトクです。
月々約140円・年間1,670円〜 加入に年齢制限のない自転車保険「サイクル安心保険」。高齢者・外国籍・障がいがあっても加入できます。示談交渉サービス付き サイクル安心保険 – 年齢制限のない自転車保険|全日本交通安全協会・損保ジャパ... - saitama-cycle.com |
Q5. 結局何がいいの?
結論から言うと、これは一概には言えません。
損害保険は、車や自転車などを使用する際のリスクに備えるので、加入目的に大きな開きは生じません。
しかし、生命保険の場合は、人によって何を重要視するのか、どこに不安があるのか、様々です。
いずれにせよ、Q2で申し上げたように「自分にはどんな不安があって何が必要なのか」に真正面から真剣に取り組み、専門家などの協力も仰いで、きちんと実感して目的をハッキリさせることが大切です。
番外編
続いては番外編。
「なんで保険は営業感が強いの?」「”スマホで〇〇秒お見積り!”の保険は信頼できる?」「保険屋さんが入っている保険って?」といった素朴な疑問についてお答えします!
ここからは番外編になります。
Q6. 保険業界の裏事情~なぜ保険は営業色が強いの?
保険と聞くと「売り込みが激しい」といったイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。実はそのほとんどは生命保険の営業です。
損害保険は「車を買ったら自動車保険」「家を買ったら火災保険」と、必要性が浸透しています。誰もが「当たり前に入るよね」という認識なのです。皆さん必要性を実感しているので、どちらかといえば積極的に損害保険に入ります。
一方で、生命保険は「入らなきゃいけない」と思いながらも、後に伸ばしにしがちです。
「困った時」を具体的に想像するのは酷なことで、誰だって自分に大きな不幸が訪れたケースを想像したくありませんよね。
たとえば、
- 大病して、長期間カラダが苦しいうえに、経済的に困窮する
- 完治する見込み薄い病気にかかり、死の恐怖を常に抱えながら生活していく
- 急逝した場合、残された家族が悲しみに暮れたあと、経済的に困窮する
重い!重すぎる!!
大切な加入する目的の明確化と整理のお手伝いは簡単ではありません。そのため、「この保険はすごい!」と保険の説明に特化せざるを得ない販売者が多く、興味のない保険について聞かされ、売り込みをされていると感じられるのではないかと思います。
Q7. スマホで見積もる保険は信頼できる?
ネットで販売されている保険は中間コストが削られている分、安い掛け金で加入できることが多いです。ヘンな会社ではありません。信用できると思っています。
ただ、「なんのために入るのか」という本丸をハッキリさせてくれる販売員はいません。
「大切な事、不安な事、自分には何が必要なのか」が明確な方にはぴったりだと思います。
Q8. 学資保険、みんなどうしているの?
学資保険で検索するとたくさんヒットしますし、一定のニーズはあると思いますが、昔に比べメリットが少なくなっていることもまた事実です。
昭和後期、学資保険というと、積んだお金が約2倍になって返ってくるものでした。しかし令和は低金利時代、つまり「お金を預けても増えにくく、借りても多く返さなくてよい」時代です。そのため学資保険の返還金も昔と比べて少なくなっています。
昭和の頃と比べると、学資保険は魅力が薄れているかもしれません。しかし、昭和から続いている、素晴らしい魅力があります。
それはいずれ必要になるお金を計画的に積み立てられるという点です。
お子様の成長に合わせて貯蓄ができる方であればまったく問題ありませんが、なかなか先のことまで見通すのは難しいのが世の常です。そういう点では、まだまだ価値のある保険だと言えます。
Q9. 来店型ほけんショップは信頼できる?
信用できると思っています。
一昔前に一部のショップで、お客さんの利益より自社の利益を優先して、数ある商品から最もマージンの高い商品を勧めるケースもあったようですが、保険業法が改正され、顧客本位の業務運営をすることがルール化されました。取扱商品の中から、お客さんにとって最も良いモノをすすめるルールを、業界全体が遵守しているので、ご安心ください。
Q10. 保険屋さんが入っている保険とその理由は?
損害保険は自動車保険、火災保険を中心に、怪我や病気で収入減に備える所得補償保険、勤務先で加入できる労災の上乗せ補償など、満遍なく入っています。
想定外に早死にした時のために生命保険も加入しています。家族がこれまでと同じ生活水準を保つことが目的です。60歳になる年まで毎月お金が振り込まれるというものですね。60歳以降に死亡した場合には、一生涯一時金で1,000万円が支払われるようになっています。
また、病気を患ったり、介護状態になった時のための医療保険にも加入しています。医療保険は必要ないと主張する意見もあるようですが、私は自助努力を、出来る限り続けたいのです。
自分にもしものことがあったら周囲にどれくらいの影響があるのか。現在の生活や今後のライフプランを鑑みた上で適切な保険を選択するということが大切ですね。
そして意外かもしれませんが、契約の途中で何度も見直します。(笑) 保険への加入目的には変化が起こるので、最適化を図っているんです。また、新しいリスクも出現しますし、とても魅力的な新商品が販売されるのが常なので。(笑)
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