突然ですが、カラーユニバーサルデザイン(Color Universal Design)って聞いたことありますか?これは色覚異常などで色の見え方が一般と異なる人にも情報がきちんと伝わるよう、色使いに配慮したデザインのことです。
色覚異常についてはこちらの記事を読んでみてください。
色覚異常という言葉を知っていますか?“異常”なんて、ちょっと怖く感じますよね。多くの人とは色が異なって見えたり、少し違う色に感じてしまう状態を色覚異常といいます。色の区別がつきにくいのが大きな特徴で、例えば、通常なら赤に見えるものが緑に見えてしまうとか。これでは日常生活に困ってしまいますよね。じつは多くの人が悩まされているんです。今回は色覚異常について説明したいと思います。じつは意外に多い色覚異常人間が物を正常に見るためには、視力・視野・色覚の3つの機能が必要です。色覚異常はこの3つの機能のうち... 色覚異常という「見え方の違い」 - NEONAVI (ネオナビ) |
普段は意識していなくても、人は色から得る情報をとても頼りにしています。信号の色が見分けられない、洋服を選ぶ時にどれも同じ色のように見えることを想像してみてください。日常生活の様々な場面で困ることは、すぐに想像できるでしょう。
今回は、色覚異常の方を社会から取り残さないための「カラーユニバーサルデザイン」についてご説明します。
色覚異常とは?
色覚異常を持つ人は、日本では男性の20人に1人、女性は500人に1人の割合と言われています。世界ではなんと2億人以上!色覚異常があることと、視力の強弱には一切関係はありません。つまり、仮に視力が1.5あって細かいものまで見えても、一部の色の見え方が異なることがあるのです。
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)では、色を使ってこのよう説明しています。
C型は一般色覚で、正常な色覚を持っている人。P型、D型、T型、A型が色覚異常の人です。
実は色覚異常はほとんどがP型(色覚異常全体のうち約25%)、T型(約75%)です。P型は赤色を感じ取る力が弱いか無い、T型は緑色を感じ取る力が弱いか無いです。
例えばC型の人が「ピンク」だと認識する色でも、P型やD型の人には青系の色に見えます。同様に赤や緑は、茶色に近い色に見えます。
カラーユニバーサルデザインとは?
そんな多様な色覚を持つさまざまな人のことを考え、色の情報が正しく伝わるように配慮したデザインが、カラーユニバーサルデザインです。
・できるだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶこと。
・色を見分けにくい人にも、形に差をつけるなどして情報が正確に伝わるようにする。
・色の名称を記載するなどして、色の名前を用いたコミュニケーションを可能にすること。
以上の3つの条件をクリアしたデザインだと認められると、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)から認証マークが与えられます。
ここで実際の例を見てみましょう。
例えば地下鉄の看板は白色と青色の組み合わせです。これは東京都のカラーユニバーサルデザイン(ガイドブック)の中で「見えやすい組み合わせ」として紹介されている配色です。
ところが、京都市の周辺鉄道路線図を見ると、地下鉄の路線図は色のみで区別されているのがわかります。これだと赤色、緑色が区別がつかない場合に路線を見極めることが難しくなります。
カラーユニバーサルデザインに沿うならば、色だけの違いではなく、路線ごとに柄や線の種類を変えるなどといった工夫をすることになります。
現代は「色覚バリアフリー」の時代!
色覚に異常を持っていても誰も困ることなく、生きづらさを感じることのない世界。それを実現させるための手段がカラーユニバーサルデザインです。
そして、色覚異常ではない大勢の人たちが、カラーユニバーサルデザインを理解することも大切です。「私は見えているからいい」ではなく、一人一人の理解や意識が結果として、「誰も取り残さない世界」をつくり上げるのかもしれません。
実はNEONAVIのロゴやサイトもカラーユニバーサルデザインに即した配色をしています。
また、文部科学省後援の色彩検定には「UC級」というカラーユニバーサルデザイン専用の検定があります。何歳でも何級からでも受験できるので、興味がある方は調べてみてくださいね。
【 ユニバーサルカラーデザイン有識者監修】
AFT色彩検定1級、東京商工会議所(旧)カラーコーディネーター1級(ファッション色彩)、各種パーソナルカラー等の資格等を持つカラーのスペシャリスト。新設された色彩検定UC級では色彩検定協会優秀賞を受賞。