
まずはここから!ドラマシリーズ『ブラック・ミラー』おすすめエピソード3選
近未来のテクノロジー社会を舞台に、鋭い風刺を織り交ぜた物語を描くドラマシリーズ『ブラック・ミラー』。2011年にイギリスの地上波で放送されたシーズン1は大きな話題を呼び、ローカル地域にとどまらず世界中に衝撃を与えた。日本の『世にも奇妙な物語』のグローバル版とでもいえようか。脚本家チャーリー・ブルッカーによる唯一無二の作風が人気を博し、シーズン3からはNetflixオリジナル作品として配信が開始。現在はシーズン7まで制作されている。
本作の魅力は、近未来や現代社会をディストピアとして描きながらも、いつか現実になってもおかしくないような絶妙なリアリティを持ち合わせているところだ。本作で描かれるテクノロジーの進歩や人間の欲望は、同時に私たち自身の社会を映し出す鏡であり、単なるフィクション作品として終わらないために、恐怖が骨の髄まで染み渡ってくる。また、基本的に一話完結のアンソロジー形式であるため、どのエピソードから見始めても楽しめるのも大きな魅力だ。
今回は、SF、サスペンス、ヒューマンドラマ、ホラーなど、多岐にわたるジャンルの中から、特におすすめしたいエピソードを3つ厳選して紹介する。あなた好みの作品が、きっと見つかるはずだ。
目次
『ユーロジー』

どんな話?
儚く別れてしまった昔の恋人との記憶は、何年経っても忘れられないものである。写真を捨てることも、燃やすこともできず、それでもどうにか忘れようとしてようやくできたのは、彼女の顔を塗りつぶすくらい。
過去の恋愛の後悔を抱えて一人で静かに生活を送っていた孤独な男フィリーのもとにある日突然、15年前に恋仲にあったキャロルの訃報が届く。
「没入型追悼」という新感覚の追悼体験を実現するため、故人の情報提供を依頼されたフィリーだったが、キャロルの顔がどうしても思い出せない。
訃報とともに届いたのは、古い写真の中に入り込める先進的なキット。そのキットを利用して、写真の中に閉じ込めていたキャロルとの思い出をひとつずつたぐり寄せていく。
結局、彼女の顔を思い出すトリガーとなったのは…。
このエピソードのここが凄い!
本作は、シリーズ屈指のヒューマンドラマです。作中に登場する頭部装着型の小型デバイスは、シリーズではおなじみのガジェットですが、エピソードごとにまったく異なる用途で登場します。同じデバイスでありながら、毎回新たな発想を見せてくれるアイデアの豊かさも、『ブラック・ミラー』ならではの魅力です。主演を務めるポール・ジアマッティの繊細で自然な演技にも注目です。写真の中の思い出へと没入していく彼の姿を追っているうちに、気づけば私たち自身も物語の世界へ引き込まれているはずです。
『アークエンジェル』

どんな話?
「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがある。しかし、自分がお腹を痛めて産んだ大切な子どもを、危険を孕んだ世界へ簡単に送り出せる親がどれほどいるだろうか。
シングルマザーのマリーにとって、生きがいは愛娘・サラの存在だけ。心配性の彼女は、サラをあらゆる危険から守るため、最先端の監視チップを体内に埋め込むことを決意する。
そのチップによって、マリーはサラの視点を確認できるようになっただけでなく、彼女にストレスを与えるものには自動的にモザイクがかかるようになった。
通学路で吠える犬も、誰かが泣いている姿も、暴力的な光景も、すべてが彼女の世界から遮断されていく。こうして文字どおり「箱入り娘」として育てられたサラだったが、徐々に自分自身の違和感に気づいていく…。
このエピソードのここが凄い!
本作ではサラが成長していく様子を描いています。少女だった彼女が一人の女性へと変わっていく過程を、モンタージュではなく、定点ワンカットで見せています。派手な演出に頼らず、同じ構図の中で時間の経過を表現するその手法は、シンプルだからこそ美しく心に残ります。
『普通の人々』

どんな話?
結婚3周年を迎えた夫婦。毎日同じベッドで眠って、記念日には少し郊外へ足を延ばして優雅なひとときを過ごす。決して裕福ではなかったが、それでも互いを思いやりながら、幸せな日々を送っていた。
第一子を迎え入れる準備を進めていた矢先、彼らに無情にも悲劇が襲いかかる。妻・アマンダの脳に腫瘍が発覚し、突然、植物状態に見舞われてしまうのだ。絶望的な状況のなか、唯一の希望として提示されたのは、開発段階にある最先端の医療技術。高額な費用に戸惑いながらも、夫のマイクは愛する妻を救うため、その治療を受ける決断を下す。
愛する人を取り戻せるかもしれない…。そんな希望を託して未知のシステムを選んだ二人を待ち受けるのは、想像を超えた結末だった。
このエピソードのここが凄い!
シリアスな題材を扱いながらも、ところどころにブラックユーモアが散りばめられているのが本作の魅力です。その一方で、人情だけでは乗り越えられない資本主義の残酷さを容赦無く突きつけてきます。もしこんな技術が本当にあったとしたら、自分ならどうするだろうと無意識に考えてしまうはずです。確実に鬱の余韻が残る作品なので、心の準備だけは忘れずに。
おわりに:期待以上のスリルを求めて
今回は、特におすすめしたい毛色の異なる3作品を紹介した。しかし、『ブラック・ミラー』にはまだまだ魅力的なエピソードが数多く存在する。Netflixを代表する作品の一つでありながら、大々的な宣伝に頼ることなく、口コミを中心に世界中で熱狂的なファンを獲得してきた『ブラック・ミラー』。ひとたび観てしまえば、本作がカルト的人気を誇る理由もすぐにわかるはずだ。さらに、シーズン8の制作も発表されており、今後の展開にも期待が高まるばかりである。
ぜひ、まずは興味を引かれたエピソードから再生してみてほしい。

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