就活の不安につけ込む詐欺に注意!実際にあった事例や気をつけることを解説
就職活動につけ込む詐欺などの犯罪に注意を!
就職活動では、自分のやる気とスキルをいかに売り込むか!ということが重要です。そこを狙い、就職活動をしようとする高校生や大学生のみなさんをターゲットにする詐欺などの悪徳商法が増えています。
目次
1.なぜ若者の就職活動が狙われるのか?
就職活動をするうえで少しでもスキルを高め、就職試験で優位に立ちたいと思うのは皆同じ。
就活をしようとする人たちは、若く人生経験も少ないし、その上卒業を前になかなか内定がもらえないと不安度がどんどん高まってきますよね。
そういう就活者の心の隙間や、不安につけ込んだ悪徳商法が横行しているんです。
また、成人年齢の引き下げにより 18 歳以上の契約は有効に成立し「未成年者取消権」が行使できなくなったことなども影響しているともいわれています。
2.具体的にはどういうこと?
代表的な例としては、
- 「無料カウンセリング」と称して高額なセミナーやビジネススクールに勧誘された
- 「無料カウンセリング」の後の「面接指導」を受けたら有料だった
など、「就活のためのカウンセリングが無料」ということで誘い込み
- その後高額のビジネスに勧誘
- セミナーのあとに、有料カウンセリング等を受けさせられた
- 面接やスキルアップ教材と称して物品を購入させられた
- 中にはクレジットカードを作らせられた
などがあります。
いずれにしても就活という学生の不安につけ込んだ悪質な営業形態のいわば詐欺まがいのビジネスが行われているんです。そのことを知って、引っかからないように注意して欲しいのです。
3.事例紹介
では、実際に行われていた詐欺まがいの事例を紹介しましょう。
全国の消費生活センターや警察などに相談が寄せられた、就活中の学生の不安につけ込んだ高額なセミナーやビジネススクール等を契約させるトラブルの例です。参考にしてください。
①学生の就活の不安につけ込むトラブル
Web会議で無料カウンセリングを受けたら、高額な就活セミナーを勧誘された。
就活に悩んでいた A 君は、SNSで「就活塾」の広告を見て早速サイトに登録をした。
Web 会議形式の無料カウンセリングを受けたが、その際に「自己分析や面接対策のセミナーを受ければ大手企業に100%内定する」と言われた。そして「セミナーを受講するための費用は約 50 万円だが、定員等があるので即決して欲しい」とその場で判断するよう迫られた。
「定員が・・・!」ということで考える余裕もなく勧められるままに申し込んでしまった。「まず、セミナーのオリエンテーションのための頭金2万円を支払うように」と言われ、後日振り込んだ。
Web 会議でのオリエンテーションでセミナーの説明を受け、電子の契約書面にサインをした。
後日、友人に相談すると「高額だけど大丈夫?」と言われ、無料通話アプリのメッセージで「高額で支払えないのでやめたい」と担当者に伝えると、「今やめるのはもったいない。みんな苦しくてもローンで支払っている」と電話で説得され、結果として解約に応じてもらえなかった。
その後担当者やローン会社からの電話がかかってきたが出ないでいると、無料通話アプリのメッセージで「解約に応じる」と連絡が来た。しかし、解約料として契約金額の 20%を請求された。
Web会議で就活のアドバイスをもらうはずが、高額なプログラミングスクールを勧誘された。
B 子さんは、就活の情報収集をする目的で SNS のアカウントを作成したところ、その SNS のフォロワーの一人から、「エントリーシートの添削を手伝う」と連絡があったので依頼した。
添削では不足している部分ばかり分析され、「あなたは理論的思考力が足りない。プログラミングの勉強をするべきだ」と言われ、「フォロワーの会社の上司から一度話を聞くように」と勧められた。
Web会議に誘われて3人で話をすると、「あなたには当社のものが最適だ」と突然約 50 万円のプログラミングスクールの勧誘を受けた。お金がなく支払えないため、親に相談したいと伝えたが、「そんなことは事後報告でよい。先に親に話すと絶対に反対される。将来必ず役に立つ」などと言葉巧みに勧められて契約し、代金は預金と親からの仕送りを足して現金で振り込んでしまった。
しかしパソコンの作業は苦手で、プログラミングの技術を習得しても将来どのように生かせるのかわからないのでやめたい。契約書面はもらっていない。
② 就活生へのアドバイス
このような事例の場合、どういうふうにしたらよかったのでしょうか?
悪徳商法に引っかからないためには、まずは関わらないことです。その判断をするため以下のようなことに注意しましょう。
口コミを活用する
無料カウンセリングと記載していても、その先には有料が待っていることを念頭におく。
本当に無料なのかをコンテンツ(場面)ごとに確認する。そのためには口コミなども活用して過去のクレームや受講者などの情報を集めて、その上で参加を検討する。
無料カウンセリングであっても、高額な契約の勧誘を受けることがあるので参加は慎重に!
インターネット広告等で見つけた無料カウンセリングを受けるだけのつもりが、高額なセミナーやビジネススクール等の勧誘を受け結果的に断り切れずに契約したというトラブルも多い。
無料カウンセリングの内容や有料サービスの勧誘の有無について事前によく確認したうえで、慎重にWeb 会議への参加を判断する。
SNSで知り合った人からの一見親切な誘いには要注意(高額な契約の勧誘が目的のおそれがあります。)
高額なセミナーやビジネススクール等の勧誘は、以前は就活セミナー会場や事業者の事務所等で行われるケースが多くあったが、最近はSNSで知り合った人、「友だち」登録者やフォロワーなどからの連絡がきっかけでオンラインでのやり取りが始まり、最終的に高額な契約の勧誘につながるケースがみられる。「相談にのってあげる」「エントリーシートを添削してあげる」など、顔の見えない相手からの一見親切な誘いにも注意が必要。
断定的な説明や就活生の不安をあおる言葉や即決契約に注意!
事業者が「100%内定」「必ず役に立つ」などと断定的な説明をしたり、「このままでは就活に失敗する」などと就活の不安をあおるようなことを言って勧誘するケースもみられる。
また、「定員がある」などと言って即決契約を求められることがあるが、焦ってその場で契約せずに、自分にとって本当に必要な契約なのか慎重に検討する。
安易にクレジットの高額決済や借金をしないように!
「お金がない」と断ると、事業者から「クレジット契約や借金をして支払うように」と指示されたり説得される場面も。しかしイヤなときや断るときは、「契約しない」とはっきり意思を伝えることが大事。
クーリング・オフや契約の取り消しができる場合がある。
勧誘を受けることを知らずにWeb会議や電話で無料カウンセリングを受けて、カウンセリングの中で有料のセミナーやビジネススクール等を勧められて契約した場合には、クーリング・オフができる場合がある。
また、事業者が社会生活上の経験が乏しい就活生に対し、不安をあおって契約が必要と告げた場合は、消費者契約法により契約を取り消すことができる可能性もある。
また、法律改正により令和5年6月1日以降の契約については、「親に相談したい」と申し出たにもかか
わらずこれをさせずに勧誘をした場合も取り消すことができる可能性がある。
不安に思った場合は早めに消費生活センター等に相談を!
不安に思った場合やトラブルになった場合には、早めに最寄りの消費生活センターや警察の相談窓口等に相談しましょう。
消費者ホットラインは「188(いやや!)」番、警察相談は#1109 です。
消費生活相談センターにあった相談
消費生活相談センターに寄せられた「就活をきっかけにした学生の契約」に関する相談」(2022 年度)の状況を見てみました。
販売購入形態別件数
- 電話勧誘販売(Web会議での勧誘を含む)が 66 件(33.3%)
- 通信販売が 49 件(24.7%)
- 不明・無関係が 32 件(16.2%)
となっており、2021 年度と比べると、電話勧誘販売の割合が約2倍に増加しています。
契約購入金額は、
- 50 万円以上 100 万円未満が 72 件(36.4%)で最も多く、
- 10 万円以上 50 万円未満が 61 件(30.8%)
- 10 万円未満が 27 件(13.6%)
となっており、平均購入金額は約 48 万円。50 万以上が三割以上締めているなんて・・・ちょっと驚きですね。
おわりに
皆さんにとって就活は人生を左右する重大なときです!
最近は就職に対する考え方も多様化していますが、それでも人生が決まるともいえる活動です。その大変重要な活動で不安になっている心の隙間に土足で踏み入るような悪質な詐欺まがい事案は許せません。
一方で就活生も悪質な事業者などがいることを認識して、十分確認・検討しつつ就活を行うことが社会に出ていく上での重要な一歩なのです。就活期を迎える皆さん、悪質事業者に注意をしてくださいね。
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