
ありきたりじゃない、“唯一無二”を味わう吉祥寺の歩き方 ~その2~
井の頭公園やサンロード商店街など、吉祥寺を訪れれば、街に暮らす人々の日常に触れることができる。
本記事では、そんな吉祥寺を代表する定番スポットだけではなく、少し足を延ばした先にある、個性的な雑貨店が立ち並ぶ通りや、知る人ぞ知る穴場のカフェをご紹介する。
(その1はこちら)
目次
15:00 不思議の国に迷いこんだような、「吉祥寺プティット村」

古書店を満足いくまで堪能し、次に向かったのは「吉祥寺中道通り」。
角をひとつ曲がって路地に入ると、高いビルが立ち並ぶ通りから一変し、小洒落た店舗が連なる景色が広がっていた。
この通りを目指して向かったというよりも、この通りに行き着いた、というほうが正しいかもしれない。行こうとしていた雑貨屋が、ことごとくこの通りに点在していたのである。
まず最初に足を止めたのは、「吉祥寺プティット村」。絵本から飛び出してきたような、丸みを帯びた可愛らしい建物のフォルムに惹かれ、気づけば足を踏み入れていた。その一帯だけ明らかに別の世界が広がっており、ここを素通りして先へ進むことはできそうにない。かくいう筆者も、こんな場所があるとは知らなかったが、思わず立ち寄ってしまった。
プティット村は、小さなテーマパークのような複合施設。猫をモチーフにした雑貨店やカフェ、そして本物の猫たちと触れ合える猫カフェ「てまりのおしろ」など様々な店舗が集まっている。

入ってすぐのところにあったのは、「ギャラリー貸小屋」。まるで小人が住んでいるかのような可愛らしいサイズの扉をくぐると、ハンドメイド雑貨が所狭しと並んでいた。手作りのものには、どこか温かみがある。眺めているうちに物欲を刺激され、筆者も衝動のままアクセサリーを2点購入してしまった。小さなギャラリースペースになっているため、訪れるたびに違った雑貨に出会うことができる。そんな一期一会に身を委ねてみるのも良いかもしれない。
猫カフェ「てまりのおしろ」は、20匹以上もの猫たちとくつろげる施設である。「入城料」は1000円半ばで、時間制限もない。都心部の猫カフェにしてはリーズナブルすぎる価格設定に驚愕である。時間を気にせず、たっぷりと癒しの時間を味わうのも、一つの楽しみ方だろう。
16:00 ファンタジー世界の住人になれる、「空想街雑貨店」

「吉祥寺中道通り」をさらに進んでいくと、これまた個性的な雑貨店を発見。「空想街雑貨店」。一体どんな物が置かれているのだろうか。暖色の明かりに包まれた店内に入ると、そこには水彩で描かれた「空想の街」をモチーフにした雑貨がずらりと並んでいた。2016年にアーティスト西村典子とデザイナー西村祐紀の姉妹によって設立したこの雑貨ブランドは、今やユニクロ吉祥寺店とコラボするほどの勢いで吉祥寺の街に根付いている。

ポストカードや栞、マグ、クッキー缶まで、店内にはバラエティ豊かな雑貨が並ぶ。眺めているうちに、だんだんと自分がファンタジーの住人であるかのように思えてくる。きっとあなたも、ときめく一点に出会えるだろう。
16:30 大切な人の贈り物として。「Paper Massage」

透明な看板に惹かれて足を止めたのは、紙雑貨店「Paper Massage」。一見すると文具店のようだが、店内を見渡してみると、少し様子が違う。並んでいる商品は、なんとすべて紙でできている。

「いちまいから作れる紙もの屋さん」を掲げる「Paper Massage」は、書き物を愛する人の「こんなものが欲しかった」を叶えてくれる店だ。メッセージカードやノートブック、レターセットなどが何種類もあって、目を向ける先に困ってしまう。なかには、紙なのに半透明の便箋や、メッセージカードなのに花瓶や花になってしまうような面白い商品がたくさん並んでいる。我々にとって不可欠である紙という素材の可能性を、改めて感じさせてくれる。

そして、入り口には、無料でモノクロ写真を撮影できるフォトブースが設置されている。買い物のついでに、その日の思い出を一枚残していくのもいいだろう。
大切な人への贈り物として買ったり、いつも頑張っている自分のご褒美に買ったり。質感やデザインの異なる紙の中から、その日の気分や用途にぴったりの一枚を探してみてほしい。
17:00 昭和54年の歴史を感じる老舗カフェ「COFFEE HALLくぐつ草」

最後に訪れたのは、「COFFEE HALLくぐつ草」。昭和54年から続く吉祥寺屈指の老舗喫茶である。
階段を降りると、声が響いてしまいそうな高い天井のアーチにまず目がいく。洞窟のような店内に、一気に気分が高まる。店内の端にはピンク色の公衆電話がいまだに置かれており、昭和から変わらない様子に、ゆったりとした時間の流れが感じられる。

この日頼んだのは、「くぐつ草パンプティング」と「レアチーズケーキ」。ブレンドコーヒーを片手に、甘いものを味わう。「くぐつ草パンプティング」は、表面のサクサクとした食感と内側の柔らかさのバランスが絶妙で、気づけばぺろりと平らげてしまった。そして、ケーキというよりもプリンを思わせるなめらかな口当たりの「レアチーズケーキ」は、コーヒーの苦味ともよく合う。
吉祥寺を満喫し、最後には美味しい物を食べながら、その日の余韻に浸ってみる。すると突然、公衆電話が鳴りだす。店内でそれぞれ団欒を楽しんでいた人々が一気に黙り込み、一瞬にして緊張感が走る。店員さんが駆け寄って受話器を取ると、昭和特有の渋い着信音は最も簡単に途切れて、周囲は何もなかったかのように話し出す。置物だと思い込んでいた公衆電話は、どうやら現在も問い合わせの際に使われているようだった。長い年月を経ても、役目を終えることなくそこに残り続けているのだ。
なんの前触れもなく突然鳴り出すので、初めて訪れる際は少し驚くかもしれない。けれど、その一瞬の出来事までもが、この店でしか味わえないエッセンスなのだろう。
おわりに
吉祥寺には、まだまだ底知れぬ魅力が詰まっている。今回ご紹介した店をきっかけに、ぜひ自分の足で街を歩き、まだ知らない吉祥寺の一面に出会ってほしい。

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