【2022年1月】まだ間に合う限定上映特集×編集部の今月観た映画
いつものようにNEONAVI編集部が今月観た映画を紹介する予定だったのですが、たまたまリバイバル上映中のものが多かったので趣旨を変えてみました!
目次
ゲアトルーズ
- 製作年:1964年
- 監督:カール・テオドア・ドライヤー
- どこで観た?:シアター・イメージ・フォーラム
『奇跡』を見て以来その美しさに身を貫かれ、絶対にいつか映画館でカール・テオドア・ドライヤーの映画を見てみたい、と思い続けてから何年か経ち、ついに去年の暮れから特集が組まれ、念願の鑑賞となりました。本当に嬉しいです。
こちらは愛に対して滅茶苦茶ストイックに生きるゲアトルーズのお話です。世界に何兆バリエーションもパターンが存在しそうな、ありきたりとも言える愛についての男女の会話の中身からは、映画を通してその本質だけが残り、ハッキリとただ圧倒的な質量だけを持ってスクリーンに映し出されます。一見素人感がありそうな仰角ショットすらドライヤーの手にかかると意味がわからないほど美しく、やはり正体不明の凄さがあります。
裁かるゝジャンヌ
- 製作年:1928年
- 監督:カール・テオドア・ドライヤー
- どこで観た?:シアター・イメージ・フォーラム
本当に凄いです。
「ハードコア顔面映画」という形容をレビューサイトで見てからその言葉が頭を離れませんがまさにそういう映画です。私は映画において、人間の顔面をアップにして画面いっぱいに映し出せばその人の感情が撮影できる、という前提に基づいて撮影されたようなショットが本当に嫌いなのですが、この映画はそういった考え方とは全く別の立場から顔のアップショットを撮影しています。
『奇跡』と同じで、終わる何十分か前から映画が本当に凄い状態に入り、感動で涙が止まりませんでした。J-L.ゴダール『女と男のいる舗道』の中でアンナ・カリーナがこの映画を見ながら涙するというシーンも有名なようですが、そこで引用されている「なぜそこまで神を信じることができたのですか」とアントナン・アルトーがジャンヌに尋ねるまさにそのシーンから、ちょうど映画が急激に加速しました。
まだ渋谷でも上映しているのでぜひ見に行ってください!他の地域では2月から始まるところもあるようです。
ゴースト・ドッグ
- 製作年:1999年
- 監督:ジム・ジャームッシュ
- なにで観た?:Amazon Prime Video
2021年7月から始まったジム・ジャームッシュ レトロスペクティブ。始めは東京の映画館で3週間限定だったのが、期間が伸びて、ほかの地域でも開催されるようになり、2022年1月現在でも上映が続いています。2月以降も上映するところがあり、もうずっと終わらなくていいのでは?と思っています。
私はジャームッシュ作品は『ゴースト・ドッグ』だけ未鑑賞(東京でのリバイバル上映ではほかの作品を観に行ってました)で、この前アマプラを開いたら突然おすすめに出てきてびっくりしました。ジャームッシュの中では目立たない作品だし、これまで配信されているのを見たことがなかったから!
ジャームッシュの作品はよく「なにも起きない映画」と言われますが、この映画は割となにか起きています。街の美しさ、人のかわいさなどをジャームッシュの目を通して観ることが本当に楽しい。映画館でも、配信でも、私の中のJJR(ジム・ジャームッシュ・レトロスペクティブ)はずっと続いていけると思いました。
トラベラー
- 製作年:1974年
- 監督:アッバス・キアロスタミ
- なにで観た?:Amazon Prime Video
こちらもリバイバル上映中ですが、東京ではやっていないのでアマプラで観ました。
イランに暮らすサッカー好きの少年の生活をそばで眺めていたら、私が忘れ去った子どもらしさを思い出しました。20代になっても大人からは「若いね」と言われるけど、やっぱり子どもと大人はまったく違う生き物なんだなという現実をつきつけられました。思い出させてくれてありがとう。
友だちのうちはどこ?
- 製作年:1987年
- 監督:アッバス・キアロスタミ
- なにで観た?:Amazon Prime Video
友達のノートを間違えて持って帰ってしまって、一生懸命返しにいこうとする男の子の話です。演技をしているのは俳優ではなく、現地に住む子どもたち(大人も)ですが、『トラベラー』とは違って、ファンタジーを観たような気になりました。ドキュメンタリー感が出てもいいのにそう感じるのはたぶん、絵本を映像にしたらこんな感じだからだ、と気づきました。
今のうちに観ておいてよかった。子供のいる親がこの映画を観たら涙が止まらなくなってしまう。「母」の存在にも注目です。
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