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【リツイートの危険性】~何気ないリツイートが犯罪になることも~

SNSを使用する皆さん!そのリツイート大丈夫?

SNSを利用するとき「誹謗中傷するような記事は書かないように!」と言われたことありませんか?

誹謗中傷する記事をあげると犯罪になることもあります。自分が書いた記事だけではなく、リツイートが思いがけない犯罪を招くこともあるのです。

※SNSに記事を書くことを「投稿」、「アップ」、「あげる」などで表現されるが、ここでは「あげる」に統一して記載します。

リツイートは怖い?

皆さんは友達同士のグループでのやりとりが中心かもしれませんね。

でも、友達がツイートした記事や公開されている他人があげた記事をみて「うんうん・・なるほど」とか、「みたよ~」という意味合いで何気なくリツイートボタンを押すことがあるのではないでしょうか?

その場合でも、元のツイート記事が、人を誹謗中傷する内容で刑罰に抵触するような場合、何気なく“リツイートボタンを押したあなた”も同罪に問われる可能性があるのです。

えっ!どうして・・?

と思われる方もいるかと思いますが、SNSを活用する今日では要注意ですよ!

その理由は、リツイートは他人が書いた記事でも、あなたのリツイートという行為によってその記事をSNSの空間に拡散することになるからです。

では、どのような犯罪になるのでしょうか?

一般的に人を誹謗中傷するような記事をあげ、拡散すると、次のような犯罪になる可能性があります。

名誉毀損罪 (刑法第230条)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁又は50万円以下の罰金

侮辱罪 (刑法第231条)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の拘禁又は30万円以の罰金

信用毀損罪、業務妨害罪 (刑法第233条)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の拘禁又は50万円以下の罰金

このほかにも、人をだます内容や人に危害を与える内容などを記載すると、詐欺罪や脅迫罪などが成立する場合もあります。

どのような内容が該当するの?

もう少し説明しましょう。

名誉毀損罪

個人が特定、推察できるような状態で、不特定多数のユーザーが閲覧することのできるWeb上の掲示板やブログ、SNSなどに「社会的評価を低下させるおそれのある内容」を書き込んで公開することで成立します。

名誉毀損罪は、摘示(てきし)した事実が真実かどうかに関係なく成立します。ときどき「事実を書いただけ!」という人がいますが、“事実”でもそのことで個人のプライバシーが侵害際され名誉が傷つけられると成立するのです。

もちろん根も葉もないデマであっても犯罪になる可能性があります。

具体的な事例を示すと

  • 「Aさんは学校で同級生の財布を盗んだ」
  • 「Yは期末試験で赤点をとったので留年だ」
  • 「Yは妊娠している」

などのように「財布を盗んだ」「赤点をとって留年」「妊娠している」というような具体的な事実内容を示して記事をあげると、AさんやYさんの名誉を傷つける可能性がありますよね。

「妊娠している」ということが事実であろうと嘘であろうと、Yさんにとっては「社会的な評価」を下げるということになるからです。

侮辱罪

人を侮辱する内容の記事を公開することで成立します。

例えば、「Aは馬鹿だ」「デブ」「ちび」「ブス」「キモイ」などと記載して誹謗中傷する記事をあげると、公然と人を侮辱する行為として侮辱罪に該当する可能性があります。

侮辱罪とは「バカ・アホ・キモイ」などのように具体的な事実というよりは感情や気持ち、感覚的なことによる誹謗中傷の内容になります。

ネット上に書き込まれる誹謗中傷にはこの「侮辱罪に当たる記載」が最も多いといわれています。

名誉毀損罪や侮辱罪は、「人」が対象

人が対象なので、中傷記事の内容が、どこの誰のことなのか個人を特定できるような内容であると違反になる可能性があります。

高校のT・Yさんなどのようにイニシャルや伏せ字、匿名表記などであっても、その内容から、容易に人物の特定が可能な場合は名誉棄損罪などに該当します。

業務妨害罪

虚偽や脅すような言動等を用いて、人の業務を妨害することによって成立する罪です。

例えば、「○○駅に爆弾を仕掛けた」「○○学校の小学生を殺す」などと虚偽(うそ)の犯罪予告を匿名で書き込んで流したため、警察に対して本来必要のない警備や警戒をさせたということで、警察に対する威力業務妨害罪で逮捕された例があります。

また、このような書き込みだと、○○駅という駅を一時的に閉鎖することもあり得るので、駅や鉄道に対する業務妨害罪の成立の可能性もあります。

脅迫罪

相手を脅迫するような内容を記載した場合です。

例えば「家に放火する」「殺す」などと記載した誹謗中傷記事が「脅迫罪」に問われる可能性があります。

レビュー記事は?

ところで同じような書き込みでも、「Aという店のスイーツがおいしくなかった」というような書き込みは、商品に対するレビュー的なものであり、人によって美味しくないという人もいれば、美味しいという人もいますよね。

つまり、美味しさや味覚は個人的な判断であり、一定の数値基準で示せるものではないので、事実判断ができません。一見、誹謗中傷的な内容に感じますが、名誉毀損罪には当たらないといわれています。

ただし、業務を妨害する目的などであえて「手抜きしているのでまずい」とか、「ごみなどが入っていた」と嘘を流す行為は業務妨害になることもあります。

リツイートで誹謗中傷は無限に拡散する

リツイートした内容が他人の名誉を傷つけたり、誹謗中傷するような内容であると、「リツイート」という行為でその記事が限りなく拡散してしまいます。

このように、リツイートは記事を拡散する行為なので、他人のあげた記事でもリツイートするとその内容には責任が伴うことを頭に入れておくと良いでしょう。

万が一、自分があげた記事やリツイートした記事により名誉を毀損されたり侮辱されたという人がいた場合、あなたも刑法の名誉毀損罪や侮辱罪の対象として刑事罰を受けたり、被害者が名誉を毀損されたことで被った損害などを賠償しなければなりません!

リツイートする前に“ひと呼吸”

記事をあげる、リツイートするという行為がリスクと大きな責任が生じることから、記事の送信ボタンやリツイートボタンを押す前に、もう一度記事の内容を確認するなど“ひと呼吸”しましょう。

ダイレクトメッセージは?

それでは、ダイレクトメッセ-ジやメールや、友達同士のグループ運用しているTwitterやLINE等に記事をあげるときはどうでしょうか?

名誉毀損も侮辱罪も「公然」ということが要件になっており、これは不特定多数の人に同時に公開されることを意味します。一対一のダイレクトメッセージやメールなどで「侮辱罪にあたる言葉」を送った場合には直ちには罪にならないこともあります。

しかし、その相手の方がダイレクトメッセージを外部やWebに転載し掲載する可能性があり、第三者に広まることが予想できる場合には「伝播(でんぱ)の可能性がある」ものとして侮辱罪や名誉毀損罪が成立することもあります。

晒(さら)し行為などネットいじめも・・・

友達や学生同士だと日常生活の延長として何気なく書いていることが、他人の名誉を毀損し、人格を侮辱することがあるかもしれません。

また、特定の人に対して、繰り返し誹謗中傷的な内容の書き込みや羞恥心を生じるような写真を繰り返しあげて公開する、いわゆる晒(さら)し行為などのネットいじめ行為をすると、犯罪行為に該当して刑罰等を受けることがあります。

侮辱罪の罰則が強化

ネット社会の進展とともに誹謗中傷記事によるトラブルが絶えません。

そこでインターネット上の誹謗中傷防止対策を目的に、刑法が改正され「侮辱罪」の罰則等が厳しくなりました(2022年6月成立、7月7日施行)。

SNSは、気軽に情報を発信することが出来るため便利ですが、うっかり他人の悪口や嫌がることを書いてしまうこともあるかもしれませんね。

名誉毀損罪の適用にならない程度の「バカ、ブス、キモイ」という言葉だけでも、侮辱罪が成立する可能性がありますので、記事をあげるときは、感情的になったり、書いたものをすぐに送信するのではなく、いま一度内容を確認してからあげるようにしましょう。

終わりに

今回は、誹謗中傷記事とリツイートの危険性について書きました。

リツイートや自ら記事を書いてあげるなど、blogやその他のSNSを使用する場合には、他人の名誉などを傷つけないよう配意し、適切に使いましょう。

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