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【解説】自転車はどの信号に従えばいい?知っているようで理解していない交通ルール

通学などで自転車に乗る皆さん、自転車のルールはもちろんご存知ですよね。

そして、交通ルールを守っていますよね?

でも、警察が行う自転車の取り締まりでは、信号無視や一時不停止などの検挙が多いそうです。

なぜ信号無視をするんでしょうか?

ルールを分かっていながらあえてルールを無視する人がいるかもしれませんが、実は分かっているようでも、ルールを正しく理解している人が少ないのかもしれませんね。

信号機のルールは複雑で分かりにくい

信号機の灯火は「赤、黄、青」の三色ですが、これに「自転車専用」や「歩行者・自転車専用」などの特定の交通に対する信号機の標示板が付いていたり、自転車横断帯があったりすると走行の仕方がちょっと複雑。

自転車はどの信号に従い、どう走れば良いのか、しっかり理解して確認しながら走らないと大きなリスクを負うことになります。

自転車はどこを走るのか?ー場所によって従うべき信号機が異なる

自転車は車両なので、 一般的には道路の左側部分の左端を通行します。

また、歩道通行可の標識のある場所や、道路に交通上の障害がある場合、子ども、高齢者など法令が定める人は歩道を通行できます。

実は通行する場所によって、従うべき信号機が異なるんです。

えっ!と思われたあなたのために、以下説明しますね。

自転車横断帯を通行する場合

道路交通法では、「自転車は、交差点を直進しようとする場合において、その交差点や付近に自転車横断帯があるときは、その自転車横断帯を進行しなければならない。」としています。

自転車横断帯を通行する自転車

車道を進行してきた自転車も、自転車横断帯が設けられている交差点では、一旦左端の自転車横断帯を通行して交差点を通過することになります。

歩道を通行してきた自転車も自転車横断帯を通行します。

車道を走行する自転車が従うべき信号は?

①歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板が付いていない場合

車道を走行する自転車は、対面する車両用信号機に従います

下の図は、一般的な車両用信号機と 横断歩行者用信号機(赤と青の人形)が付いている交差点。

横断歩行者用信号機には標示板が付いていないので、車道を走行してきた自転車は対面する車両用信号機に従って進行します。

車両用信号機が「赤」のときは停止線の直前で停止します。

②歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板が付いている場合

車道を走行している自転車も歩行者用信号機に従うことになります。

さらに、自転車横断帯の有無によって走行方法が異なります。

自転車横断帯がある場合

下図の赤丸印のある「歩行者・自転車専用」の標示板が設置された歩行者用信号機に従い、車道左端から一旦自転車横断帯を通行して交差点を通過します。

歩行者用信号機が「赤」の場合には車両用信号機が「青」でも停止線の直線で停止します。

自転車横断帯がない場合

歩行者用信号機に従い、「赤」のときは停止線直前で停止して信号の変わるのを待つ(車両用信号機が「青」でもダメ)ことになります。

歩行者用信号機が「青」になったら道路左端を直進します。

歩行者用信号機は早切り

一般的には、同一方向の車両用信号機と歩行者用信号機は同時に「青」になるが、車両用信号機の「青」の点灯時間よりも、歩行者用信号機の「青」は短く、早めに「赤」になるよう時差を設けています。

これは歩行者等の安全を確保するとともに、歩行者等の横断のため車が左折や右折することができず渋滞することを避けるためです。

ここが間違いやすい

車道を走行している自転車は車両用信号機に従えば良いと思っている人も多いようです。

また、歩行者用信号機は車両用信号機よりもやや左側に設置されていることなどから、自転車で走行中にちょっと見にくいこともあるので要注意です。

下図のような交差点で、歩行者用信号機の灯火が「赤」、車両用信号機の灯火が「青」のときに、車両用信号機の灯火に従って交差点を通行しようとすると、自転車は「信号無視」になります。

歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板が付いている場合には、自転車はこの信号機に従います。

歩道を走行する自転車が従うべき信号機は?

自転車で歩道を走行中に信号機のある交差点に差し掛かった場合の例です。

①歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板が付いている場合

【自転車横断帯がある場合

道路を横断する際には対面する歩行者信号機に従います。

「青」の場合には、自転車横断帯がある場合には自転車横断帯を通行します。

歩行者用信号機が「赤」の場合には、歩道上で停止します。

自転車横断帯がない場合

対面する歩行者用信号機に従います。

「青」のときは横断歩道を通行して横断し(前記のように歩行者の妨げにならない場合)、「赤」のときは歩道上で止まり信号が変わるのを待ちます。

なお、横断歩道上の歩行者の妨げとなる場合には自転車を押して渡りましょう。

②歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板が付いていない場合

歩行者用信号機に従い、横断歩道を進行します。

※原則として、歩行者用信号機に標示板が付いていない場所には「自転車横断帯」は設置されていない。

「歩車分離式信号のある交差点」で自転車が従うべき信号は?

歩車分離式信号機のある交差点とは、全ての方向の自動車等の進行を停止させている間(車両用信号は全べて「赤」)に、全方向の歩行者等を同時に横断させる方式の交差点です。

この場合、斜め横断は認められていません

同一方向であっても車両用信号機と横断歩行者用信号機で表示される信号の色が異なるので、自転車の走行してきた道路の部分によって従うべき信号がどれなのかを特に注意する必要があります。

下図の例では、交差点の手前の歩道を走行してきた場合には対面する歩行者用信号機の「青」に従い進行します。

一方、車道を通行している場合には対面する車両用信号機に従うことになり、車両用信号機の「赤」に従い停止線の直前で停止しなければなりません。

このような交差点で見かけるのは、車道を走ってきた自転車が車両用信号機の「赤」に従わず、停止線を越えて交差点内で左側の横断歩道に入って進行する行為です。この場合、停止線の手前で車両用信号機が「赤」なので「信号無視」になります。

スクランブル交差点で自転車が従うべき信号は?

スクランブル交差点は、歩車分離式信号機のある交差点と同様にすべての方向の自動車等を停止させ、すべての方向の歩行者を同時に横断させる方式の交差点で、斜め方向への横断もできます。

これも自転車が走行している道路の場所によって従うべき対面する信号機がどれなのかを特に注意する必要があります。

下図の例のように、

  • 歩道を走行してきた自転車㋐は、歩行者用信号機に従う
  • 車道を走行してきた自転車㋑は、車両用信号機に従う。「赤」なので停止しないと「信号無視」になる。
  • 歩道を走行してきた自転車㋒は、斜め方向に進行することが可能であり、斜め方向に対面する歩行者用信号機に従う

ことになります。

※赤点線の先が走行位置別の従う(確認すべき)信号機になる。

スクランブル交差点で時々見かけるのが、車道を走行してきたのに車両用信号機の「赤」に従わず、㋐が通行している横断歩道や斜め方向に横断を開始する自転車。

これは、車両用信号機が「赤」なので「信号無視」になります。

その他の「まちがった走り方」に注意!

信号機のある交差点で犯しやすい信号無視違反の一例を紹介します。

自転車㋐㋑はそれぞれ車道を走行してきたので対面する信号機は「赤」です。当然停止線直前で停止して「青」になるのを待たなければならないですね。

しかし、㋐のように横断歩道の歩行者用信号機が青色なので横断歩道に入り右方向に進行したり、㋑のように左側の歩道に入って進行する行為をする自転車も多いですが、いずれも「信号無視」になります。

信号無視のリスク

自転車運転者講習の受講義務

確認すべき信号機を間違えたり、あえて信号機の「赤」を無視した場合には、自転車も交通違反として検挙され、3年間に2回以上違反を繰り返すと「自転車運転者講習」を受講しなければなりません(義務)。

受講命令に従わない場合、罰則が課せられます。

損害賠償額の減額等

万が一交通事故で自転車側が死傷した場合などに、自転車側に「信号無視」などの違反があると、自転車側の過失責任が問われることになります。

具体的には損害賠償金額を算出する際に「過失相殺」により、損害賠償金額などが減額されることになります。

おわりに

「信号機に従う」というシンプルなルールですが、これまで説明したように、自転車の走行位置(車道なのか歩道なのか)、「自転車専用」、「歩行者・自転車専用」などの標示板の有無、自転車横断帯の設置の有無、歩車分離式やスクランブル式交差点なのかなどで、自転車が確認し従うべき信号機が異なるのです。

「信号に従う」と一口に言っても、実は複雑なんです。

通学や通勤など普段通行している信号機のある交差点ではどの信号機に従うのが正しいのか、どのように走行すべきなのかを、ぜひチェックしてみましょう。

従うべき信号機を間違わないようにして、ルールに従った自転車の安全な利用に努めてください。

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