【パブリックコメント】参加してみませんか?国や地方自治体のルールが決まる前に意見を出すことができる!
知ってましたか?法律や国・地方自治体の各種施策の企画や立案等に参加できる制度があります。
年齢制限がないため、誰でも参加可能。国や地方の制度改正などに自分の意見を述べてみませんか?
目次
パブリックコメントとは
パブリックコメントとは、行政手続法という法律に定められた行政手続きの一つで、国などが法律や規則、命令などを制定しようとするときに、広く国民等(=パブリック)に、意見・情報・改善案など(=コメント)を求めることをいい、通称「パブコメ」といわれています。
パブリックコメント制度の目的
国や自治体の法律などのルールやなどは国民生活と密接不可分であり、国民の生活実態に沿ったものとなる必要がありますよね。
そこで、あらかじめ新たなルールなどを制定するときには、案の段階で国民等に公開し、広く意見を募ることとしています。集まった国民の意見を法令等に考慮することで、行政の公平性を確保し透明性を高めることを目的にしています。
パブリックコメント制度の概要
この制度は、「行政手続法(第39条)」に定められており、その概要は次のとおりです。
- 国の行政機関等の法的な義務として定められており、適用除外事由に当たらない限り必ず手続きを行わなければならない。
- 法律や、法律に基づく告示を含む命令、審査基準、処分基準、行政指導指針が対象である。
- 意見提出(募集)期間は、公示の日から起算して30日以上の期間。やむをえない理由があるときは、30日を下回る意見提出期間を定めることもできる。
- 公示の方法は、総務大臣が定めた、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行われる。
- 地方公共団体(都道府県および市町村)については「努力義務」とされているが、多くの地方公共団体等では条例・要綱等により同様の制度を設けている。
参考:行政手続法 第6章 意見公募手続等(第38条~第45条)
パブリックコメントは、誰でも意見提出ができる
この制度では年齢制限がないため、誰でも参加して意見や改善案などを提出できます。
匿名性にも配慮されており、デジタル庁が管理する国のパブリックコメントのサイト「e-Gov(イーガブ)パブリック・コメント」では、意見を提出する際、住所、氏名、電話番号、メールアドレスの記入は任意にしています。
都道府県や市町村などの地方自治体でも、ホームページや広報誌などで意見募集を行っていることを公示しています。
一般的な提出方法は、e-mailやFax、郵送などで行うことができます。
【制度のメリット】新たなルールが決まる前に意見を出すことができる
このパブリックコメント制度が整備されるまでは、行政機関による法律の制定・改正などルールの決定や変更がいつの間にか「知らない間に決められていた」という感覚があり、法律が制定された後に「勝手に法律作るなよ!」と叫んでいた人たちもいました。
このパブリックコメント制度が導入されたことで、ルールが「案」の段階で公開されるようになりました。
そして事前に新たなルールがつくられる目的や根拠を知ることができ、また必要に応じて、直接意見を言えるようになりました。
国民から意見が出ると行政機関はそれを考慮しなければならないので、人々の生活実態に沿ったより良いルールが生まれやすくなるともいわれています。
このことがパブリックコメントの最大のメリットですね。
【課題】パブリックコメント制度はあまり知られていない
このようなパブリックコメント制度ですが、実はあまり知られていません。つまり認知度が低いのです。
関心が高い案件については、多くの意見が寄せられているようですが、意見が集まらないものもあります。
実際に「e-Govパブリック・コメント」の過去の案件をのぞいてみると、1件も意見が集まらなかった案件も結構あります。
これは、そもそもパブリックコメントという制度の存在自体が知られていないことや、国民の関心が薄いのかもしれないですね。
また意見の提出等が、インターネット上で行われることが多いことから、インターネットになじみのない世代には参加しにくいのかもしれません。
どんな案件が公募されているの?
「e-Govパブリック・コメント」では、各行政機関が募集している案件と募集状況、過去に募集された案件の情報が掲載されているので確認してみると良いでしょう。
新しいプロジェクトに関するもの、新しい法令の案、既存の法令の改正案など、2023年10月時点で募集されている案件は3,100件以上でした。数が多いのにびっくりしますね。
内閣府、消費庁、文部科学省など、所管省庁やキーワード、カテゴリーで検索が可能なので興味のあるものを探してみてはいかがでしょうか?
なお、都道府県や市区町村等の案件は、それぞれの自治体のHPでご確認ください。
※参考:
東京都 ⇒ https://www.johokokai.metro.tokyo.lg.jp/jyuyokohyo/02.html
横浜市 ⇒ https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/kocho/public/
パブリックコメントには何を書くの?
パブリックコメントは、ほぼ出来上がっている行政機関等の法律案や制度改正案に意見を述べるものなので、まずは公表されている案文をよく読みましょう。
その上で、可能であれば案文のどの部分についての意見なのかを明確にして書くと読みやすいし、行政機関の理解も得られやすくなります。
例えば、「案文第1、⑴、①」の部分について」などのように具体的な部分を明示して、あとは皆さんの思ったとおりの率直な意見をはっきりと記載するだけです。
まとめると、パブリックコメントの書く場合には
- 案文を読み込む
- 資料なども参考にして問題点を見いだす
- 案文のどの部分に対する意見かを明示する
- 意見は率直にはっきり、わかりやすく書く
ということになります。
感情的にならずに、論理的に意見を述べることを心がけましょう。
提出した意見は必ず反映されるの?
意見を提出してもそれが反映されるかどうかは、行政機関の判断に委ねられることになります。
「参考にさせていただきました。」などと結果報告に記載されて終わってしまう場合もあります。
過去には、パブリックコメントにより政府の案が修正された事例もあります。
例えば、2014年4月 改正生活保護法省令案が、 国会答弁が反映されていないなどいくつかの問題点を指摘する意見(千件を超える)が集まり、結果的に当初案より大幅に修正されたということがありました。
また、私自身も意見を採用されたことがあります。それは某市が公表した自転車活用推進計画案についてのものでした。計画案を一読したところ、年齢区分に関して「高齢者(60歳以上)」となっていました。この市では従来よりこの区分を使用していたようでしたが、国の統計などの表記と同一にすることで統計の統一性や信頼性が確保できることなどを理由とする修正意見を提出したところ、意見が反映されて変更修正が行われました。
おわりに
この記事でパブリックコメント制度を初めて知った方も多いかと思います。
成年年齢が引き下げられ18歳から選挙という手段で政治に関与することができるようになりましたが、選挙以外にも年齢に関係なく、法律や制度改正など行政機関の作成した案に対して、自分の意見を出しやすい環境が整っています。
特に若い皆さん方には、行政や法律に関心を持って、自分達が生活しやすい社会を作っていくことにつなげてほしいです。
ぜひ、パブリックコメントに参加してみませんか?
<参考リンク>
- 意見公募手続の概要|総務省(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/tetsuzukihou/iken_koubo.html )
- e-Govパブリック・コメント(https://public-comment.e-gov.go.jp/ )
- パブリックコメント制度(意見公募手続制度)の概要|内閣官房(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jouhouwg/hyoka/dai1/sankou5.pdf )
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