【地方公務員】警察官の採用試験について<元警察本部長が徹底解説>

公務員の中でも比較的希望者の多い警察官と消防官。いずれも採用試験に合格しないと採用されません。

警察官を目指す方に参考になるよう採用試験制度などについて解説します。

国家公務員or地方公務員としての警察官

警察官には、国家公務員としての採用される警察官と、地方公務員(都道府県警察官)として採用される警察官がいます。

国家公務員として採用された警察官は、上級(総合)職いわゆる「キャリア警察官」とⅡ種警察官がおり、キャリア組は「警部補」、Ⅱ種は「巡査部長」の階級で採用されます。

一方、地方公務員としての警察官は、都道府県の職員として「巡査」の階級で採用される警察官なのです。

今回は都道府県の警察官の採用試験について説明します。

都道府県職員の身分を有する警察官なので、例えば「神奈川県警察」というように自治体名で呼称しています。

しかし、東京都だけは東京都警察とはいわず「警視庁」!

イギリスではロンドン警視庁、フランスではパリ警視庁など、外国の警察でも「警視庁(メトロポリタンポリス)」と称しています。

これは首都を管轄する首都警察であると同時に、国家全体の警備・公安警察や王族・政府要人警護といった特別な任務も担っているためです。日本もこれに倣っています。

採用試験の区分は?

都道府県の警察官の採用試験は、その仕事内容の特殊性から一般の公務員試験とは別に行われています。

試験区分は、大卒程度とそれ以外の高卒等程度(以下「高卒程度」と称する)の区分に分かれています。

また、警察職員として「技術職」や「研究職」、「警察事務職」なども、都道府県警察において採用試験を行っています。

採用試験の時期は?

基本的には4月採用になるので、前年の夏以降に採用試験が行われています。

しかし、警視庁などのように年に2~3回程度に分けて採用試験を行っているところもあります。

例えば、警視庁の令和4年度の採用試験は、男・女警察官ともに、1類(大卒程度)は年に3回、Ⅲ類(高卒程度)は2回の採用試験を行う予定です。

受験資格

受験資格として年齢や学力が定められています。

また、身体要件として、身長、体重、視力、色覚、聴力などについても定められています(下表参照)。

欠格事項

地方公務員法第16条の欠格条項,例えば、

  • 日本国籍を有していない
  • 禁錮以上の刑に処せられその執行が終わっていない

などに該当する人は警察官採用試験を受験できません。

受験の申込手続き

最寄りの警察署の窓口等で受験申込書を入手するか、インターネット経由で受験申込みを行うことになります。なお、警視庁はインターネットのみで受け付けています。

都道府県の警察官採用試験案内を確認の上、時間的余裕を持って申込みをしましょう。

共同試験について

共同試験は、いくつかの都道府県の警察本部が共同で採用試験を行う制度です。

例えば、警視庁警察官を志望する人がわざわざ東京まで出向くことなく、地元で採用試験を受験できます。

警視庁の場合、現在1道18県で男子警察官のみ共同試験を実施しています。

第1次試験は受験者の地元の県警が実施し、第2次試験は警視庁の試験官がその県に出向いて実施するというものです。

※受験申込み、受験要領等試験の詳細は、地元の受験案内等で確認してください。

試験方法

第1次試験第2次試験があります。

第1次試験は、以下の通り

警察官として必要な一般教養および政治、社会、法律、経済等の教養試験、論文(作文)試験、国語試験のほか、第一次身体検査(身長、体重測定)や第一次適性検査。

第2次試験は、以下の通り

面接試験、第2次身体検査(視力検査、色覚検査、聴力検査、血液検査など警察官として職務執行上支障のある疾患の有無等について)。

また、第2次適性検査および職務執行上必要な体力の有無について体力検査(腕立て伏せ、バーピーテストなど)が行われます。

※都道府県警察により、第1次試験と第2次試験の内容が異なる場合があります。

資格があると加点される?

最近では、一定の資格を有している場合に採用試験の際に加点するという制度を設けています。

採用試験受験申込みの際に「資格経歴等」欄に必要事項を入力し、第1次試験の際に資格経歴等の証明書類の確認をして資格基準に該当すれば加点されます。

対象については採用試験案内に記載されています(下表は一例)。

大卒と高卒どちらが有利?

採用試験では、大卒と高卒どちらが有利なの? と聞かれることがあります。

結論は、どちらが優位ということは一概には言えません。

警察官を目指す人は、大卒程度と高卒程度区分の受験者数や合格率、採用の時期、自分の置かれた環境などを総合的に判断し見極める必要があります。

高校のときに「高卒程度」区分で受験し、不合格であったため大学に進学し、在学中に毎年「高卒程度」区分を受験したが不合格。しかし大学卒業見込みのときに「大卒程度」区分で受験し合格したという人もいます。

採用人数、採用枠などをよく確認して、タイミングをチャンスと捉えることが大事だと思います。

採用後の優位性は?

これも難しい質問です。

なぜなら、高卒の人でも県警本部の部長職である警視正の階級に就いている人もいますし、大卒でも巡査部長の階級で終わる人もいます。

本人が警察組織の中でどうありたいのか、つまり幹部を目指すのか、交番や駐在所での勤務や刑事として地道に勤務したいのかということによります。

昇任試験との関係は?

大卒と高卒の違いで、昇任時期に差が出るのではないか?という方もいますが、実は大きな違いはないです。

昇任試験を受験するためには一定の実務経験が必要ですが、「警部補」の階級の昇任試験に合格する年齢は高卒も大卒も最速で26歳。それから上の階級を受験するための実務経験は一緒です。

これも採用後の本人の昇任意欲と努力次第ということです。

▼以前の記事では、警察官の階級と定員数、そして昇任試験の要件について紹介しました。

採用試験対策について

筆記試験

筆記試験では、一般教養、社会常識、人文科学、社会科学、自然科学、国語や計算などの教養問題が出題されるので普段から社会情勢や経済情勢などを新聞等で広く知識を得ておくことが必要です。

また、論文(作文)はテーマを与えられ1時間程度で文章を作成します。

論文は意外に差がつく

あまり難しいテーマではないですが、文章構成や論理的な作文・作成能力が問われるほか、誤字脱字もチェックの対象です。

面接試験

人物試験ともいわれるように、実際に本人に会うことで、総合的な人物像が判断できる場になります。

立ち居振る舞い、表情、口調、適性や考え方などが判断されます。

自己PRの場ともいわれますが、警察官の場合「協調性」も結構重視されます。自己PRも必要ですが、自我が出し過ぎないように注意しましょう。

また、「知ったかぶりをしない」、「質問が聞き取れない、意図がはっきりしないときは聞き返す」ことも必要です。

面接官の立場でいうと、軽々しく答える、あいまいな回答については、つい突っ込みたくなります。

集団面接は、集団の中でのコミュニケーション能力や考え方などをみます。目立つ回答をしたいがために、誇張しすぎたり、他人の意見を無視しないことも大事です。

採用時期

募集要項等に採用時期が明示されています。

しかし、警視庁のように複数回の採用時期がある場合には、採用候補者名簿に登載された後、警察学校の定員などにより、順次採用の時期が決まる場合もあります。

また試験に合格しても必ず採用されるわけではありません。

試験合格から採用までには半年も1年近くも待たなければならないこともあります。

採用までに犯罪に加担したりすると取り消されることもあるので注意が必要ですね。

最後に

警察官は、社会的信用性が高く、また給与や身分保障制度もしっかりしています。

人生は一度きり。皆さんには後悔しない選択をしてほしいと思います。

自分自身を見つめながら試験にチャレンジしてください。吉報を祈ります!

<参考>

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