義務教育後の進路と所得について【心理士のお悩み相談室】
暑い日が続いていますね。いよいよ、夏も本番です。私の住んでいる上尾市も今日は、気温が35℃を超えています。
さて、1学期の期末テストも終わったので、受験生はそろそろ進路の決定をする頃かと思います。そこで、今日は「義務教育後の進路」と「所得」についてお話しします。少し難しいかもしれませんが、この先あなたが生きて行くために必要なお金の話なので、ぜひ読んでみてください。
目次
義務教育とは?
まず義務教育というのは、小学校の6年間と中学校の3年間をさし、これは憲法第4条(義務教育)で「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う」と、定められています。
すなわち、皆さんには普通教育を無償で受ける権利が与えられているのです。
そして、そこから先はそれぞれが自由に選択することが可能なのです。高校に行くのも、違う道を選ぶの自由なので中学を卒業したらすぐに働きたいと、考える方もいるでしょう。
進路による賃金の差
では、中学や高校を卒業した後の進路によって、自分が稼ぐお金に差はあるのでしょうか?
厚生労働省令和4年度、賃金構造基本統計調査によると、学歴別の賃金平均は以下のようになります。
<男女計>
高校273.8千円、専門学校294.2千円、高専・短大292.5千円、大学362.8千円、大学院464.2千円<男女別>
厚生労働省令和4年度、賃金構造基本統計調査
高校:男性297.5千円、女性222.9千円、大学卒:男性392.1千円、女性294.0千円
これは、あくまでも平均なので、職種や年齢、地域によっても随分とばらつきがあります。
しかし、それにしてもやはり未だに男女の賃金差が少ないとはいえません。そのうえで、学歴による賃金の差もみてとれます。
更に、「義務教育終了後就職した場合」のことが、このサイトで見つからなかったので表記された連絡先に電話で問い合わせしたところ、調査はおこなっているとのことでした。それは、中学を卒業したあと就職する子が今でも一定数いることをさしているといえるでしょう。
生涯賃金の差
では、生涯にわたって得ることのできる賃金はどうかわるのでしょうか?
例えば、22歳から働きだすのと、15歳から働くのではスタートまで7年の差があります。それなら、多少給料が安くても早めに働いたほうが稼げるのでは、ないのだろうかと思いませんか?
労働政策研究・研修機構(JILPT)によれば、学校卒業後、フルタイムで正社員を60歳まで続けた場合の生涯賃金(退職金を含めない)を以下だとしています。
<男性>
中学卒 2億円、高校卒 2億 1千万円、高専・短大卒 2億 2千万円、大学・大学院卒 2億 7千万円<女性>
中学卒 1億 5 千万円、高校卒 1 億 5 千万円、高 専・短大卒 1億 8千万円、大学・大学院卒 2億 2千万円企業規模別では規模が大きくなるほど多くなる。例えば男性 大学・大学院卒の場合、企業規模 1,000 人以上では 3 億 1 千万円に まで達するのに対し、企業規模 10~99 人では 2 億円と、1 億円強の開きがみられる。
労働政策研究・研修機構(JILPT)「生涯賃金など生涯に関する指標」
中学卒と高校卒では、あまり生涯賃金に開きがあるように見えません。
しかし、高校卒者より3年早く働き出していることを考えると、月々の給与は中学卒者のほうが安いといえます。そして、大学卒業者とは、働き出す時期が7年以上違いながら、相当な額の生涯賃金差があるのです。また、大規模企業と小規模企業の賃金差もあり、中学卒者が大規模企業に就職できるかという問題もあります。
もちろん、職種によっては全くないわけではありませんが、自分の希望通りの職につけるかといえばなかなか難しい。中学卒業だけでは取得できない資格もあるのです。このあたりは、以前も少しお話したので気になったら読んでみてください。
大切なのは、将来の選択肢をたくさん見つけておくこと
それでも、事情があって高校に進学しない、できない場合就職以外に道は無いのでしょうか?高校を中退してしまったら、もう学ぶことはできないのでしょうか?
例えば、専門学校のなかには中学卒者の受け入れをしているところが多数あります。
学費の問題がある場合は、高等技術専門校という就職のための技能や技術、専門知識を格安で学べる機関もあります(各都道府県によって違うので、興味があったら調べてください。見学会をやっているところもあります)。
技術や技能を身につければ、就職しやすくなりますし、雇用されることにだけこだわらず、独立して起業することも夢ではありません。その場合、所得は自分次第です。
もちろん、たくさんお金を稼げればそれで幸せになれる訳ではありません。なぜならば、必要としているものは人によって違うからです。
大切なのは、自分が今ある状況に不満や文句ばかり言っているより、何をどうしたらよいか、どんなことならできるのか選択肢をたくさんみつけておくことです。欲しいものが沢山あったり、贅沢な暮らしをしたければたくさん稼げばよいし、そうじゃない生活の仕方もある。
ただし、こうやってデータをを元に現実をきちんと知ったうえで選択をすること。
後々「知らなかった」や、こんなつもりじゃなかったと言ったところで、それあまり意味のないことです。義務教育から先の選択は、自己責任だということを忘れずに。
周りの大人にも相談したうえで、最後は自分自身でしっかり考えて選んでくださいね。
コメント欄への質問や相談も受け付けています。わからないことがあったら、ぜひ質問してください。
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