返さなくてもよい「給付奨学金」とは?

「奨学金制度」は、進学のために他所からお金を借りられる制度です。

特に大学生が4年間の学費を奨学金として借りて、就職後に返済することがよく見られます。

SNSなどでは「返すのが大変すぎる」「成績が良くないと借りることができない(打ち切りになる)」「そもそもよくわからない」といった声を耳にします。

奨学金は「借りるだけじゃない」「もらえる」ものも

一般的な奨学金は“借りる”ものなので、当然ながら普通は返済の義務が生じます。しかし近年では返済不要の給付奨学金も登場しました。

そのために返済が必要な奨学金を「貸与奨学金(貸与型奨学金)」、返済が不要なタイプを「給付奨学金(給付型奨学金)」と名称で分けることがあります。

給付奨学金とは?

返済が不要な 「給付奨学金」 ですが誰でも申請・受給できるわけではありません。

給付奨学金で最もメジャーなのは日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度です。今回はJASSOの給付奨学金について、詳しくご説明しましょう。

給付奨学金は「返済不要!」だけど・・・

“給付”の名の通り、この奨学金は返済が不要です。ただし、それだけに採用基準は厳しいものとなっています。

また、支給額は、学校の種別(大学、専修学校など)、進学先が国立・公立・私立の違い、進学の形態(自宅、自宅外)等によって異なります。

給付奨学金は誰が申し込めるの?

大学への進学希望者で、
①3月に高等学校を卒業予定の方。
②高等学校等を卒業後2年以内の方。

なお、高卒認定試験合格(見込み)者でも対象となる場合があります。詳しくはJASSOのウェブサイト等で確認しましょう。

給付奨学金の採用基準は?

学力・家計(収入や資産など)の条件を満たす必要があります。給付奨学金を諦めた方の中には、この基準に満たなかったことが多くの原因となっています。返済不要である分、本当に必要な人だけが利用できるよう、ハードルを厳しく設定しているのでしょう。

学力基準(A、Bいずれかの条件に当てはまる人)

① 高等学校等での全履修科目の評価平均値が、5段階評価で3.5以上。
② ①に該当しない場合で、将来独立して社会で活躍する目標を持ち、進学する大学等で学習意欲を持つこと。

家計基準(次の両方を満たす必要があります)

① 申込者(生徒)・生計維持者(父母等)の所得等に基づき、住民税が非課税またはそれに準ずる世帯であること。つまり、経済的に苦しい家庭であることですね。
② 申込者(生徒)・生計維持者(父母等)の資産合計が一定額未満であること。生計維持者が1人の場合は1,250万円未満。同2人の場合は2,000万円未満という条件があります。

家計基準は、家族構成や父母(生計維持者)の収入や、会社員か自営業者かによって3つの区分に分けられます。そして区分ごとに給付額が異なります。

たとえば…
【父:会社員、母:専業主婦、妹1人、そして自分(高校生)の4人家族】の場合
全額支給(第Ⅰ区分):収入の目安は271万円以下(住民税非課税世帯)
2/3支給(第Ⅱ区分):同303万円以下
1/3支給(第Ⅲ区分):同378万円以下
が目安となります。所得が多いほど支給額は少なくなります。

収入基準と給付額の目安についてはかなり複雑。JASSOのウェブサイトにある「進学資金シミュレーター」を利用して、まずは試算してみましょう。

給付奨学金はいくら給付されるの?

給付奨学金は世帯の所得金額に基づき、3つの区分(第Ⅰ~第Ⅲ区分)に分けられます。
大学の種類や通学形態によって定められている金額を、原則として毎月1回振り込まれます。

■国公立大学の支給額

第Ⅰ区分:自宅通学(29,200円)、自宅外通学(66,700円)
第Ⅱ区分:自宅通学(19,500円)、自宅外通学(44,500円)
第Ⅲ区分:自宅通学(9,800円)、自宅外通学(22,300円)

■私立大学の支給額

第Ⅰ区分:自宅通学(38,300円)、自宅外通学(75,800円)
第Ⅱ区分:自宅通学(25,600円)、自宅外通学(50,600円)
第Ⅲ区分:自宅通学(12,800円)、自宅外通学(25,300円)

当然ですが、世帯所得が多いほど支給額は少なくなります。また、学費の高い私立大学のほうが毎月の支給額は多くなります。

仮に第一区分、自宅外通学(75,800円)を4年間支給されると75,800×12か月×4年で363万8400円にもなります!!300万円以上の金額がもらえてしまうのだから大学進学をしたいけれど家庭が厳しい…という人にとっては大きな希望と言えるでしょう。

手続きはどうするの?

最初にインターネットで申し込みを行い、マイナンバーカードの写しをJASSOへ郵送で提出。その後に通っている学校へ申込に関する必要書類を提出します。

奨学金の申し込みにはマイナンバーカードが必要となるので、未取得の人は早めに交付申請を行いましょう。

進学時に新たな手続きは必要?

進学後に必要書類を進学先の学校へ提出し、インターネットで進学届けを提出。これで初めて給付奨学生となり、奨学金の振り込みがスタートします。絶対に忘れないように!

給付奨学金は「狭き門」

ここまで説明したように「給付奨学金」は所得が少ない家庭に向けたものであるため条件設定が細かく、誰でも申し込めるというものではありません。

一般的には返済義務が生じる「貸与奨学金」を利用するケースが圧倒的に多いのが実情です。「貸与奨学金」についての記事はこちらになります。

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