奨学金の多数派「貸与奨学金」とは?

「奨学金制度」とは、進学のために他所からお金を借りられる制度です。この奨学金制度には返済不要の「給付奨学金」と、返済義務のある「貸与奨学金」の2種類があります。

今回は、奨学金で最もメジャーな日本学生支援機構(JASSO)貸与奨学金制度について、詳しくご説明しましょう。

返済不要の「給付奨学金」についてはこちら

貸与奨学金は「返済が必要」

返済不要の給付奨学金とは違い、“貸与”という言葉のとおりお金を借りることになり、返済(返還)の義務が生じます。この貸与奨学金はさらに大きく分けて、
①利息なしの「第一種奨学金」
②利息ありの「第二種奨学金」
の2つが存在します。

貸与奨学金は誰が申し込めるの?

大学への進学希望者で、
①3月で高等学校を卒業予定の方。
②高等学校等を卒業後2年以内の方。

高卒認定試験合格(見込み)者でも対象となる場合があります。詳しくはJASSOのウェブサイト等で確認しましょう。

なお、外国籍の方は、「法定特別永住者・永住者・定住者(将来永住する意思のある者のみ)・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等の在留資格」を所有していれば、同じように申し込むことができます。外国人留学生の方は、留学生向けの奨学金制度があります。

貸与奨学金の採用基準は?

学力・家計(収入や資産など)の条件を満たす必要がありますが、給付奨学金よりハードルが低いです。

学力基準

第一種:
『高等学校等での全履修科目の評価平均値が、5段階評価で3.5以上。さらに「住民税非課税世帯」や「生活保護受給世帯」の人。または児童養護施設など社会的養護が必要な人。これらの条件に合致した上で、大学等で勉強の意欲がある人』

と説明されています。ちょっと分かりにくいですね。
要するに、「優れた学生で、かつ経済的理由により修学が困難な人」が対象です。

第二種:
『高等学校等での全履修科目の学習成績が平均水準以上である等』

家計基準

第一種:(次の①②いずれかに該当する人)
① 生計維持者(父母)の年収が、第一種奨学金の収入基準額以下であること。
② 「住民税非課税世帯」や「生活保護受給世帯」の人。または児童養護施設など社会的養護が必要な人。

第二種:
生計維持者(父母)の年収が、第二種奨学金の収入基準額以下であること。

収入基準額って?

簡単に言えば父母の年間収入・年間所得の上限額の目安です。

① 給与所得世帯

3人世帯の場合:第一種(657万円)、第二種(1,009万円)
4人世帯の場合:第一種(747万円)、第二種(1,100万円)
5人世帯の場合:第一種(922万円)、第二種(1,300万円)

① 給与所得以外の世帯

3人世帯の場合:第一種(286万円)、第二種(601万円)
4人世帯の場合:第一種(349万円)、第二種(692万円)
5人世帯の場合:第一種(514万円)、第二種(892万円)

このように、世帯年収が1000万円を超える富裕層のご家庭でも、奨学金を利用することができるんです。

貸与奨学金で借りられる金額は?

大学の種類や通学形態によって定められている金額を、原則として毎月1回振り込まれます。条件が少々細かいので、ゆっくり読みながら確認してみてください。

第一種奨学金

第一種奨学金には、「最高月額」「最高月額以外の月額」があります。少しややこしいですが、第一種を希望する場合はこの2通りに分かれることを頭に入れておいてください。

国公立大学の場合

最高月額:
自宅通学(45,000円)
自宅外通学(51,000円)

最高月額以外:
自宅通学(20,000円、30,000円)
自宅外通学(20,000円、30,000円、40,000円)

私立大学の場合

最高月額:
自宅通学(54,000円)
自宅外通学(64,000円)

最高月額以外:
自宅通学(20,000円、30,000円、40,000円)
自宅外通学(20,000円、30,000円、40,000円、50,000円)

国公立の短大・専修学校の場合

最高月額:
自宅通学(45,000円
自宅外通学(51,000円)

最高月額以外:
自宅通学(20,000円、30,000円)
自宅外通学(20,000円、30,000円、40,000円)

私立の短大・専修学校の場合

最高月額:
自宅通学(53,000円)
自宅外通学(60,000円)

最高月額以外:
自宅通学(20,000円、30,000円、40,000円)
自宅外通学(20,000円、30,000円、40,000円、50,000円)

第二種奨学金

月額20,000円から120,000円まで、10,000円単位で調整できます。

第二種は設置者(国立、公立、私立)、学校の種類(大学、短大など)に関係なく、借りられる額は全て同じです。また、第一種のように「最高」と「最高以外」に分かれることもありません。

手続きはどうするの?

最初にインターネットで申し込みを行い、マイナンバーカードの写しをJASSOへ郵送で提出。その後に通っている学校へ申込に関する必要書類を提出します。

奨学金の申し込みにはマイナンバーカードが必要となるので、未取得の人は早めに交付申請を行いましょう。

進学時に新たな手続きは必要?

進学後に必要書類を進学先の学校へ提出し、インターネットで進学届けを提出。これで初めて給付奨学生となり、奨学金の振り込みがスタートします。なので絶対に忘れないようにしてください。

貸与型は諸条件が細かいので注意を

貸与型と言っても、実は条件によって借りられる額が大きく変わります。とくに利息なしの第一種は、貸与型でも狭き門といえるでしょう。

今回はシンプルに第一種と第二種のみに絞って説明しましたが、この他にも第一種と第二種の「併用貸与」や、給付奨学金との併用も可能です。気になるようでしたら、JASSOへ詳細を確認してみてください。

次回は貸与型を実際に利用した方の体験談を交えて、注意点などを説明したいと思います。

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