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10代の自傷行為について考える【心理士のお悩み相談室】

夏休みが始まりました。私は大人なので「夏休みがちょっと少ないなぁ」と、思う位しか取れません。せめて1ヶ月位旅をしたいと考えながら、この原稿を書いています。

ところで、長いお休みの最中に、皆さんに絶対話しておきたいことがあり今回は少し早めの記事の投稿をさせてもらいます。

私が、教室(上尾市エイジア学習教室)の子ども達と向き合う時に、避けて通れない問題の一つとして「子どもの自傷行為」があります。関係無い方には、何の話なのとなるので、必要が無い場合読みとばしてくださっても結構です。

しかし、自傷行為を行う子ども達の数を考えれば、決して少なくない為、もしこれを読むことで自分以外の誰かと関わった時に、少しは参考になるかもしれません。

自傷行為とは

自傷行為とは、自ら自分自身を傷つける行為であり、誰でも一度位は聞いたことがある行為の代表には、リストカットがあげられます。切る場所は、私が知っているだけでも手首以外に、足や衣類で見えない場所や逆に人目につきやすい首元などを傷つける子もいます。

日本ではだいたい中高生の10%(1割)が経験したことがあり、ここでの男女差は、女子の割合が高いそうです。10人に一人が経験することだと考えると、決して限られた一部の子のできごとではありません。

他には、爪を噛んだり自分の頭を殴る、髪の毛を抜く、指の皮を血がでてもかまわずむき続ける、コンパスなどのとがったもので、自分の手や太ももをチクチク刺す、かゆみの原因がある訳でもないのに、身体の一部をガリガリとかきむしる(流血するくらい)等いろいろな方法があります。ピアスの穴をあまりにも沢山あけるのも自傷行為の一つだといわれています。

そういわれてみると、10代の頃私は耳にいくつもの穴をあけていました。今のように、簡単にピアッサーが手に入らなかったので、布団針という太い針で穴をあけるのです。なるべく痛くないように、氷で耳たぶを冷やしてからやるのですが、だんだんそれも面倒になり、学校でそれをしたこともあります。

当時は、どこにむけて良いかわからないイライラが常にあり、ピアスの穴をあけ続けることで、なんだかスッとしたのを覚えています。今は、左に4つ、右に2つ残してあとは閉じてしまいました。耳たぶが重いのと、たびたび衣類やタオルに引っかけたりして、ケガをしてこりたからです。

自傷行為は「止めてはいけない」が、放置してよいのか?

自傷行為の対処法として「止めてはいけない」と、いうことが言われますが、それは行為そのものは、何か別のストレスに対する代替行為でもあるからです。

しかし、自傷行為自体は「死にたい」と思ってやっている訳でなかったとしても、やりすぎて命の危険にさらされることが無いとは言えません。

その点をふまえて考えれば、では自傷をおこなっている子どもを放置してよいのか?と、いうことになります。

正しいか正しくないかは、法律できっぱり決められるようなことでもなく、個人個人で求めていることが違うので、なんともいえません。

なぜ自傷行為をするのかを一緒に考えたい

でも、目の前で自傷のあとを見つけたとき私は「どうしたの?」と、尋ねることにしています。更に、その場で行為が始まった時は、止めることにしています。だって、血がダラダラでてくるまで傷口をむしっているのを黙ってみるのも、どうかと思うのです。

そのうえで、なぜその子が今その行動をおこしているのか一緒に考えます。

本人に告げたうえで、保護者の方ともお話をします(気づいていない場合もある)。

理由は決して一つではないですし、抱えていることも一人一人違います。

自傷しちゃう前と、その後に自分の気持ちをメモできるなら簡単な日記を書いてもらって、あとで一緒に読むこともあります。やりたくなったら、まずしばらく冷たい氷をギュッとにぎってみてと、アドバイスすることもあります。

向き合ってくれる大人はたくさんいる

他人に攻撃をむけずに、自分にむけることが良いということではありません。しかし、ケンカをしたり討論が苦手な場合だまるしかなかったり、やりたくなくてもやらなきゃいけないことが沢山あったりしたら、それも仕方無いのかなと思っています。

なぜならば、大人は「お酒を飲んだり」「ギャンブルをしたり」「たばこを吸ったり」と、様々なストレスの解消法が法律で許されているけれど、あなた達にはそれがない。子どもは皆、アイスキャンディーでも食べてジュースを飲んでいればなんとかなると未だに思う大人には、決してわからないでしょう。

しかし、そこにきちんと向き合ってくれる人がいない訳じゃないのです。

相談する相手がみつからなかった場合、親も含めて頼りにならなかった場合は、公的な機関をあたってみても良いでしょう。

最初に相談した相手がハズレだったからといって、絶望しないでください。それは、たまたま運が悪かっただけです。子どもの自傷行為について、沢山の大人が研究したり考えたり、アドバイスをしています。

参考までに、いくつか記事を載せておきます。私への質問や相談も随時受け付けていますので、匿名やニックネームでコメント欄でお話を聞かせてくださってもOKです。

決してひとりで抱え込まないでくださいね。

参考

電話(ホットライン)

厚生労働省 

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  1. 遠藤 結子

    稲村さん

    遠藤です。

    自身も自傷行為をする子どもと関わってきたことがありました。

    その子なりのその子にしか分からない、寂しさやいらだちや苦しさをこれからも知っていこうという心を持ち続けたいです。

    『大人はお酒など色々発散方法がある』

    本当にそうだと思います。
    気軽に何かで気を紛らわせて…なんて。まだ制約も多い子どもに気軽に思っては絶対にいけないと思いました。

    今回もありがとうございました。

    • 稲村久美子

      遠藤さん記事を読んで下さってありがとうございます。大人にとっては「そんなこと位」が、子ども達に途方も無いことだったりしますね。自分が、その年齢の時にどれ程だったか、振り返りながら関わり続けたいと思います。

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