「やりたいことがわからない」とき、どうしたらいい?【心理士のお悩み相談室】
こんにちは。心理士・映画プロデューサーの稲村です。
今月のテーマは、「自分のやりたいことがわからない」という悩みを持つ高校生のみなさんに、知っておいてほしいことを紹介します。
目次
「やりたいことがわならない」高校生はたくさんいる
「やりたいことがわからない」、「何をしたらいいかわからない」。私は学習教室をやっているのですが、生徒たちと話をしていると、このような言葉を時々耳にします。
とは言っても今日や明日何をするかくらいは、たいがい決まっているようなので、これはある程度先のことを指して言っているのでしょう。
実際、その年齢でやりたいことがあって、それに夢中になっている高校生もいます。スポーツや、楽器演奏のように習得に時間がかかるものだと、小学校入学前後から始めて、そのまま打ち込んでる場合もあるでしょう。今は、インターネットが普及しているので、面白そうなことを探すのも以前より少し簡単になっているかもしれません。
それでも、やはり「やりたいことがない」とは、いったいどういうことなのでしょうか?
「やりたいこと」には「知っているという前提」が必要
高校生活というのは、たっぷり時間があるようで実は、勉強や部活、更に学校に通うための通学時間を考えると、人生の中でも割と「自分の好きなこと」をやる時間が取りづらい期間だったりします。自由に使えるお金を手に入れることも、限られた範囲でしかできません。未成年なので、行動にも制限がかかっており、リアルに何かをしたくても、誰かの許可が必要なこともあります。そんな中で実際、どれだけのやりたいことに出会えるのか?と、私は少し疑問に思うのです。
「やりたいこと」というのは、「自分が知っているという前提」があって初めてやりたくなるのです。例えば、一度も映画を観たことがないのに、いきなり「映画を撮りたい」とは、思いませんよね。野球を見たこともやったことも無いのに、「野球選手になろう」とはしないのではないでしょうか。経験や知識を得て、初めて「やりたいこと」がみつかるのです。
最近、教室の高校生が立て続けに「心理学を学びたいです」と、私に言ってきました。本当に小さな頃から知っている子達なのですが、正直驚きました。私自身、大学や学会で知り合った方以外で、心理に関わる職業の方と知り会う機会はあまりありません。学ぶのにとても時間がかかりますし、その割に報酬が少なく、日本ではまだまだ地位がきちんと確立されているとは言いがたい職業だからです。(最近、やっと国家資格も取れるようになりましたが)
そのなかで、彼女たちがなぜ「心理を学びたい」と言ったのか考えれば、やはり「身近に心理士がいて、その仕事に接することがあったから」ではないかと思います。(うちの教室にはもう一名公認心理師の先生がいます。)
とても嬉しいことだと思う反面、自分も更に勉強しなくてはと、気が引きしまりました。
やりたいことがみつからない時は?
では、やりたいことがみつからない時は、一体どうしたら良いのでしょうか。
外の世界に目を向けてみる
それは、やはり自分の世界を広げること、行動範囲や情報を沢山仕入れるために、外の世界に目をむけることが必要です。といっても先ほど話したとおり、それは、なかなか難しいことかもしれません。それでも、例えばほんの少しの時間、スマートフォンの画面から目を離して、自分の身の回りの景色や人を眺めてみてください。リアルな世界には、結構おもしろいことが転がっています。
仕事をしている人、歌をうたっている人、自転車に乗っている人、喧嘩をしている人。
一人になってみる
更に、いつも同じ仲間と一緒に過ごすのもよいけれど、時には一人になってみるのも悪くない。自分がどこにいきたいか、今何をしたいかを自分自身で決めるクセをつけてみると、以外に楽なことに気がつきます。一人で行動するのは、少し怖いかもしれません。でも、この先一生誰かの意見を聞いて暮らす訳にもいかないし、クラスメイトと行動できる訳じゃない。そして、じっくりと、自分の周りを見回すには、一人の時が一番都合がよいのです。
その上で、焦らずに今できることを少しずつこなして、まず基本的な知識や体力を蓄えていくこと。高校生活は、これから社会に出ていくまでの、いわゆる準備期間です。
だから、今やりたいことがなくても決して焦る必要はありません。やりたいことは、無理に探すものでもない。「自然にわいて出てくるもの」だと、私は思っています。
経験がベースになる
そもそも私は、16歳の時に何を考えていただろうか?と、思い出してみても、せいぜいディズニーランドに行きたいとか、バイト代が入ったら洋服を買いに行きたいとか、勉強とバイトに使う時間以外は、結構遊ぶことばかり考えていました。
ずっと続けていたピアノのレッスンだけはかろうじて通っていましたが、才能ないから音大は無理と、きっぱり先生に言われてしまい、さっさとクラッシックからドロップアウトして、ポピュラー専門の教室にうつったのもその頃です。
その後、社会人になってから、音楽にのめり込んでバンドを組んでみたり、今じゃ映画を作っていたり、50歳過ぎてからスキューバダイビングにハマってみたりと割と忙しく人生を楽しんでいます。
でも、それには、「子どもの頃ピアノを習ってた」や、「高校生の頃、よく一人で映画を観に行っていた」こと、「夏休みは、海や川で毎日泳いでいた」と、いった経験がベースになっています。
体験すること、やってみること、聞くこと。どんな形でもよいので、まずどんなことに自分が興味をもてるか?ぜひ、そこから探してみてくださいね。
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