『教養は自分で身につけるもの』埼玉県議会議員・田村琢実先生インタビュー①
10代のみなさんは「政治家」と言われるとどんなイメージが浮びますか?ネクタイを締めたおじさんが国会でなにか物事を決めている、街なかで選挙演説をしている、でも実際何をしゃべっているのかよくわからない、、、なんとなくそんなイメージが多いのではないでしょうか?
10代に向けて、自分の言葉で自分の考えを語れる政治家がいたら・・・そう考えていたNEONAVI編集部にぴったりの先生に取材をしてきました。
埼玉県議会議員の田村琢実先生は、一般的な政治家のイメージとは少し違います。政治家のことをなにも知らない編集部に、わかりやすくエネルギッシュに自らの考えや想いを話してくれました。
政治家になるルートとしては、名門大学から官僚になり政治家へ転身するケースや、親が政治家でその地盤を引き継ぐという場合が多いですが、 田村先生はその経歴も異色です。 通信制の大学を卒業し、代議士秘書を経て県議選に挑戦するも落選。学習塾等の起業を経て、再挑戦した県議選で当選し、政治家の道に進みました。県議会議員在職中に公共政策を学ぶ必要性を感じ、明治大学大学院にて学び、公共政策修士を取得しています。
今回は先生の自己紹介を交えながら、日本の教育について語っていただきました。
NEONAVI編集部(以下、略)経歴からして、あまり政治家にはいないタイプだと思いました。なぜ先生は政治家を目指そうと思ったのでしょうか?
田村先生(以下、略) まず、サラリーマンを選ばなかったのは父の影響もあります。父親がスーパーサラリーマンだったのでそれを越せないと思ったからですね。
そもそも、自分で商売するにしても何をするにしても、与えられた法律の環境下の中で仕事をするわけです。でも僕はそこじゃなくて、「作る側」に行きたいと思ったんですね。あと痛烈に行政改革の必要性を感じました。それで政治家を志しました。今は埼玉県議会議員として、一人の政治家としてやらせていただいています。
――学生時代はどんな生徒だったんでしょうか。生徒会長とか?
いや、全然違います(笑)。
でも、僕は洋服とかってキチっと着なきゃすごく気に入らない性格なんです。詰襟の学生服のホックとかもしていたのですが、体格的に合わない。僕は制度を守ってやっているのに、ズボンを詰めていると疑われ、服装の規定で先生に怒られるんです。「この野郎」とかって言われてズボンを脱がされる。そういう時代だったんです。だからボンタンを買って履いていました。体型的に普通のズボンを履いているように見えるんですね。
――本日もきちっとした格好に思えます。
実は同じスーツばかりを持っています(笑)。ずっと同じです。
話を戻します。そういう先生(人)たちをどうしたらとっちめられるかな?こういう世の中でどう生きようかな?と考えた時に「政治」が自分には一番合っているのかなと考えるようになりました。
――日本では小学校、中学校と義務教育があり、その後多くの生徒が高校、大学と進学します。
日本社会が素晴らしいのは、中学校を卒業すれば社会で十分やっていける教育が与えられていることだと思います。それに皆さん気づいていないように思いますね。
やっていけない人は中学校までの勉強をしっかりしてない人なんです。
そして高等教育。高校ってそれよりもっと勉強しなきゃいけないんですよ。大学ならそれよりももっと高等専門教育なんですね。それがあまり皆さん理解してなくて、高校で学び直しとかやっています。高校で算数をやって単位を与えているんです。もうおかしいんですよ。
――えー、それは初めて知りました。
小中学校の9年間のことをちゃんとやっていれば、ちゃんと生きていけるようになってるんで、その後のことは自分で考えなさいって話なんですよ。だから義務教育っていうんですよ。
そこで、プログラミングの授業も始まったし、英語の授業も小学生からとなりました。それだけ与えられているチャンスが多いんです。それを掴むか掴まないかは本人の次第だと思っています。
――じゃあ逆に中学3年間サボっちゃった人はどうすれば良いのでしょうか?
いつでも学び直せばいいんですよ。自分で。
僕は全然勉強していなくて、でも大学へ行きたいと考えて通信制の大学へ行きました。その後、明治大学大学院へ行かせていただきました。僕の学歴を見て学歴ロンダリングっていう人がいるんですが、教養は自分で身につけるものだと思っています。
僕は、学習塾をやっていたこともあるのですが、「別に高校行かなくていいよ」って教育していたんです。自分のやりたいことがあるんだったら良いよ、って。
――たしかに、高校は当たり前に行くものだと思っていました。
日本の教育って「とりあえず高校へ行きなさい」というものです。高校進学率が校長の点数になっちゃうからですね。だから今99.%埼玉県だと高校へ進学しちゃうんですよ。本当は、そんな必要ないんですよ。
中学校を卒業して、寿司の有名店で10年修行して板場立ったら1000万円以上稼げるんですよ、25歳で。でも大学院を出ても通常1000万円も稼げません。教育が間違っているんですよね。
だから中学校まではちゃんと学んでほしい。中学校3年間は「くだらないな」とか思っても、中学校までの学びで好きなこと、得意なことを見つけて欲しいと思います。そこから、どう学びを膨らますのかで進路を決めてほしいです。あとは「夢を持ちなさい」とよく言っていますね。
――では、どんな若者に政治家になって欲しいと思いますか?
1つはディベート力を持つことですね。もう1つは寛容性です。
私は10年前までは妻によると寛容性がなくひどいものだったそうですが、最近変わりました。その反発ですかね。
昔は県議会で黒いシャツを着ている人を見ると「ホストかよ」と思いましたが、今ではピンクの髪にしようが爪に何を塗ろうが帽子被っていようが気にしていません。それでいいじゃないですか、カツラかぶっている人だっているんですから。
――笑
でも、周りは相変わらずクールビズとはどこまでなのかとか議論しているんです。「かりゆしウェアを着たいんだけどそれはクールビズに入るの?とか」とかね。どうだっていいですよね。自由です。
同じような視点から、同性同士が結婚する同性婚も、選択的夫婦別姓にも賛成しています。
――今の社会は、他人のことを気にしすぎている一方で、自分に関係ないところで困っている人には全く興味を持たない印象があります。
いろんな問題点を決め付けてかかる人が上の世代では多いと感じます。
現在、日本では同性婚は認められていません。でも、自分の身内とか自分自身とかが関わってくると、それをすごく政治課題として大きく捉えますよね。拉致問題にしたって、北朝鮮に拉致されている人が身内にいてくださいよ。ものすごい問題ですよ。
――その通りだと思います。
オリンピックを見ていても、国という区分すらもはや関係ないですよね。男女と言うジェンダーもほとんどなくなってスペクトラムになっちゃっています。だからもうそういう(二元論的な)発想がどんどんなくなってきますよね、これからの社会。
こういう話は、我々の世代は置いて行かれているので、高校生のほうが分かっていると思います。
でも、現代でも学校の校則が厳しいとかのニュースがネットに出ています。若者には、身近な課題について、理論構成(エビデンス等)を用いて議論する視点を持って欲しいです。
また、もっと大きな視点で今後の社会を捉えて欲しいですね。これからのデジタル社会の中で世界中の膨大なデジタルインフラを自分が元締になるぞとか、自分がDXを使ってのし上がっていくぞとかっていう発想ですね。そうしないと、世の中のシステムにただ利用されて終わっちゃうだけなんじゃないですかね。
―次回に続く。
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