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豊かな社会に生きる10代へ、『多様性と寛容性』のある未来をつくるために―埼玉県議会議員・田村琢実先生インタビュー②

前回の記事『教養は自分で身につけるもの』埼玉県議会議員・田村琢実先生インタビュー①では、日本の教育についてお話していただきました。第二弾は、10代に向けた未来のお話です。

(NEONAVI編集部)最近、日本の若者は「将来に期待していない」「あまり欲がない」といった報道をされることがあります。昔であれば、良い車、大きなテレビを買って、何歳までに結婚するというイメージがあったと思います。今の日本はなぜ、「現状維持で十分」というような閉鎖的なムードがあるのでしょうか。

(田村先生、以下略)捉え方はたくさんあると思いますが、今の日本は充足されているんですよね。

我々の時代は「いい車に乗りたい」でしたけれど、今は別に速い車なんか乗らなくたって、車があればいいっていう社会です。もっといえば、移動できればいいので、車はいらないという生活環境の人もいます。

社会インフラ整備で言えば、私たちはこれまでの先輩、先人たちが築いてくれたものを享受できています。それで不自由することなく生活できる環境が当たり前になっています。

例えば、プリウスもレクサスもベンツも、「モノ」としては優秀な車ということで変わらないじゃないですか。

――そうですね。

埼玉県庁、埼玉県議会の建物の中で取材しました!

「高いもののステータス」は別にいらないよっていう人が増えているのは、別に悪いことではないと思います。

居住にしても何にしてもそうだと思うんですね。大きな家が欲しい人もいれば、普通に住めればいいっていう人もいらっしゃると思います。

私なんかはテレビ世代なので各部屋にテレビがないと駄目な人ですけども、「ネット配信があるからテレビはいらないよ」という方もいらっしゃるでしょう。

――ではどのように考えればよいのでしょうか?

これから世の中で何が始まるかを捉えることが大事だと思っています。

今の時代はスマホ1台で何でもできてしまいます。「DX(デジタルトランスフォーメーション)」といいますが、例えば与えられたアプリを利用する側になるのか、それともアプリを開発し仕組みを作る側になるのか、ですね。

今の世界ではただ何かを与えられて、使って…で不自由なく生活できてしまうんです。若者は社会インフラとしてそういうものを作っていく側に回らないといけない、と思っています。そういう発想でものごとを考えていかないと、世界の流れに置いていかれてしまうのではないでしょうか。

――例えば、Tik TokやInstagramのユーザー層を表すときに10代を中心にしたデジタル世代をZ世代と呼んだりします。

そうですね。だから我々の世代はこれから一番置いて行かれてしまう世代だと思っています(笑)。

日本は DX やSociety 5.0といった、世界全体の流れから遅れています。でも、ここからに期待しています。日本人は真似をするのは得意ですからね。「第二第三期」と市場が成熟してきた時にはもうダントツで日本人が勝っている可能性は高いです。若者たちに期待したいですね。

――一つ感じるのは、デジタルインフラと言っても、それが整備された未来をなかなか想像ができないと思うんです。

想像ができないんじゃなくて想像できた人が勝ちなんじゃないですか。

――先に進むには想像力が大事。

とか言っていますが、僕も分からないです(笑)。新型コロナウィルスでも「想像力の欠如」がいっぱいありますよね。

わからない、想像できないことは悪いことではないんです。でも、100%言えるのは日本がデジタル化していないことによって対策が打てなかった、遅れてしまったということです。

例えば、ワクチンの接種は終わりましたか?

――まだです。やっと接種券が来たという人が多いようです。(取材時は8月上旬)

接種券なんか市町村から送らなくたって、マイナンバーで管理すれば済む話なんですよ。

市町村は接種券を集めてパソコンに打ち込んで、国に送らないといけない。アナログなんですね。マイナンバーで管理できれば、誰が何回接種したかすぐ分かるじゃないですか。なんでそうしないのか全然わからない(笑)。

データ収集できて、ワクチン証明(パスポート)も自動でできる。COCOAに頼らなくてもコロナにかかった患者もマイナンバーで管理すれば、どの地域で発生して、どのぐらいの症状だったかも統計が取れますよね。そうすれば、対策ももっと簡単にできたはずです。

――現状は、マイナンバーの法律で書いてあることに使うことしかできない、ということですね。

新型コロナウィルスはDX化するチャンスでした。インフルエンザ等対策措置法を変えた時に、一緒にマイナンバー法も含めて変えちゃえばよかったんです。

――DXの観点でいうと、最近小学校でプログラミングの授業が始まったことについてはどうお考えですか?

遅いんじゃないですかね。もっと早くやるべきでしたよね。

僕らの時代はモノづくりというとラジオキット作ったり、プラモデルを作ったりというイメージだと思います。今は高校でプログラミングやイラストレーターを使うわけですよね。

――そうですね。スマホひとつあれば、それだけで簡単なゲーム作れるようになる人もいますからね。環境が違いますよね。

だから、私は若者のなりたい職業に公務員がある、というのが信じられないんです。

なんで若い人が公務員を目指すの?と。

――よく聞くのは、収入が安定しているから、という理由ですね。

日本の社会が元々おかしいんだと思います。日本は明治時代以降、官僚制度で成り立ってきた国です。でも、市民によって社会が作られてきた欧米は違います。例えば、アメリカでは若いときに官僚になりたい人は少ないんです。ある程度経験してきてから政府の中枢やシンクタンクへ入ります。

ただ安定しているから、という理由で公務員や官僚になりたい人ってよくわかんないです。

――では、逆にお聞きしたいのは今の若者の良いところはどこでしょうか?

EXITっているじゃないですか?彼らは最高に素晴らしいですね。なんでかっていうと、まず人に干渉しない。

「私は私、人は人」ってそれを明確にはっきり発言出来る人じゃないですか。それを聞いていて感心しちゃうんです。ああ、すごい人たちだなと。

――確かに。

だから人気があるんじゃないんでしょうか。「自分の髪色がピンクだろうが別にどうでもいいじゃん。人に迷惑かけなければいいじゃん」って。

あとはやはり寛容性です。前回も言いましたが「多様性と寛容性」、私はそういう社会が理想だと思っています。

若者たちに知ってほしいのは、日本は今でもGDP世界3位だし、先進国だということです。貧困格差もありますが、その日のご飯が食べられないとか、世界の貧困問題とは比べものになりません。自分が恵まれている環境で暮らしているということが、あまりにも当たり前になりすぎているのではないでしょうか。

だから、豊かさを享受している若者たちに「自分たちがどうするか」を考えていってほしいなって思います。

――ありがとうございます。

それをサポートするのが私の仕事の1つです。年寄りの政治家たちは若い人たちの声を取り残してきていますからね(笑)。

――そのあたりの政治って私たちが一番見えないところだと思います。次回お話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?

もちろんです。

―― 次回につづく。

田村先生を模したクッキーをいただきました(似ている!)

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