「写真家は成れの果て」カメラマン大野智嗣氏インタビュー<後編>
やりたいことがわからなくて悩んでいる10代へ
―やりたいことがわからなくて悩んでる10代ってたくさんいると思うんですけど、大野さんからアドバイスがあったら教えてください。
やりたいことがすでに見つかってる10代は逆にすごいと思うけどね。
ただ、周りに求められてるから、急いでやりたいことを見つけようとする空気はあると思う。やりたいことが必ずある必要はないのにね。やりたいことがなくたって何者かにはならないといけない時は来るから。
でも、「本当にやりたいことがないのか」ってことは自分と相談したほうがいいと思う。例えば本当にやりたいことがなくて1日寝てるのかどうか、1日の行動をもう1回見直してみて、その間にスマホいじって何を見たか、スマホいじってSNS見るのが好きだったら、そういう方面の職業はいくらでもあるだろうし、ゲームを1日やってたら、ゲームだってとんでもない量の職業の幅があるので。
ただそれがまだ時代の中では新しいものであるから、親とかに言ったところでなかなか理解されないし、学校でも理解されないだろうけど、それで成功してる人たちはたくさんいるわけで。やりたいことが本当にないのかな?って思うけどね。
―「やりたいこと」は自分のために見つけるもので、それがどんな内容であってもいいはずですもんね。見えない期待に勝手に縛られているような気がします。
焦らず、ということが一番。周りがやりたいことを強要してる部分がすごく強いから、「やりたいことを見つけられない焦り」っていうのはすごいあると思うけど、好きなことがないはずはないから。それを大事にしつつ、いつか見つかるよくらいのスタンスで。あとはほんとに、大人が協力してあげるべきだと思う。
焦らないこと
―環境だけはどうしようもないですもんね。
環境だけはもうね、簡単に変えられるもんでもないし。
で、小中なんて、ただ単に家が近所なだけで同じ学校に押し込められて、特殊能力がある子だって同じ学級だし。今でこそ障害学級ができたけど、それこそ障害のある子も、ただ家が近所ってだけで強制的に仲良くしなきゃいけない。
―そう思うとかなり変ですね。
意味がわからんと思う。同じような空気感の人が集められる小中だったらもっともっと面白いだろうし、伸びる子もたくさんいるだろうけど、それは現実的に難しい。私立だとまた話が違うし。ただ家が近所なだけの子たちと仲良くしなきゃいけない理由もないだろうし。
それで、やりたいことにつながるんだけど、友達がいないとかそういうのも含めてそれでいいと思う。だって必ず集団行動をしなきゃいけない理由はないから。そういうことが必要な会社に行かなきゃいいだけ。
例えば、集団行動ができない子が保育園でそういう認定を受けちゃうと、別の支援学級等に行かなくちゃいけない。そうすると「それじゃ将来が」って不安になって、パニックになっちゃう親が多い。
でもそれはそれでいいじゃんって言えたらいい。ちょっと話が違うけど、「友達がいない」「やりたいことがない」、別にいいじゃないっていう。焦らなくていい。
―焦らないのが一番大事か。社会が決めた基準みたいなのに達してないと駄目だっていう風潮がずっとありますよね。特に学校が顕著だと思います。
そういう部分から出た錆が不安要素になって、結局やりたいことがわからなくて悩まされてるんだと思う。
―10代へのアドバイスとしてはとても心が軽くなりますね。特に大人にぜひ「焦らない」ことを肝に銘じてほしいと思いました。
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