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成人年齢が18歳に引き下げ②|~刑事事件におけるリスク~

成年年齢が18歳に引き下げられことに伴い「少年法」も改正されました。

多くの皆さんはこの法律のお世話になることはないかもしれませんが・・・

でも、18歳以上20歳未満の人が万が一犯罪を犯した場合には、成年になることから手続きも少し変わり、これまでよりも厳しい処分を受けることになります。

少年の犯罪にかかる手続きは?

少年法の改正前、20歳になるまでは少年の健全育成の観点から、まずは全ての事件が警察等から家庭裁判所に送られ、原則として、少年の更生のための保護処分が行われていました。

その上で、少年が犯した罪でも、家庭裁判所が、保護処分ではなく、懲役、罰金などの刑罰を科すべきと判断した場合に、事件を検察官に送ることになるのです。この手続きを「逆送」といい、逆送の対象となる事件を「原則逆送対象事件」といいます。

逆送された事件は、検察官によって起訴され、刑事裁判所において刑事裁判を受け、ここで有罪となれば刑罰が科されることに。(イラスト参照)

少年法の改正で何が変わるのか?

今回の少年法の改正により、成年年齢に達した18、19歳の人については新たに「特定少年」という枠組みが設けられ少年法の適用対象として継続することになったのです(上記イラスト中黄色枠部分)。

特定少年の犯罪については、成年としての立場に応じた取扱いをすることになり、家庭裁判所が検察官に送るべき「原則逆送対象事件」の種別が拡大されました。

また実名等による報道(推知報道)を一部解禁するなど、17歳以下の少年とは異なる扱いをすることになったのです。

特定少年の「原則逆送対象事件」とは? 

18歳、19歳の「特定少年」に対する「原則逆送対象事件」の対象として、これまでの

「16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪(殺人罪、傷害致死罪)の事件」

に加えて、

18歳以上の少年のとき犯した死刑、無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件

が追加されたのです。

 これにより、特定少年については、例えば、現住建造物等放火罪、強制性交等罪、強盗罪、組織的詐欺罪などが新たに「原則逆送対象事件」となりました。

責任ある立場となる特定少年が重大な犯罪に及んだ場合には、17歳以下の少年よりも広く刑事責任を負うべきとされたのですね。

起訴されると特定少年は実名報道に!

 18歳以上の特定少年のとき犯した罪については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼうなどによって犯人が誰であるかが分かるような記事・写真等の報道(推知報道)は原則として禁止されます。

しかし、検察官に逆送されて起訴された場合(非公開の書面審理で罰金等を科す略式手続の場合は除く。)には、その段階から、推知報道の禁止が解除され、実名報道されることとなります。

刑事裁判では

18歳以上の特定少年は、逆送されて起訴された場合の刑事裁判では、原則として20歳以上と同様に取り扱われます。

例えば、判決で有期の懲役が科される場合、17歳以下の少年には、最長15年以下の範囲で、刑の長期と短期を定める不定期刑(例:懲役5年以上10年以下)が言い渡されるのに対し、特定少年には、20歳以上と同様に、最長30年以下の範囲で定期刑(例:懲役10年)が言い渡されることになるんです。

これは、17歳以下は、裁判所で長期と短期を定めておき、その範囲内で受刑者の収容施設での経過・実績により刑期の決定を行刑機関にゆだねるというもの (不定期刑) 。

少年が成人とは異なり更生しやすく、教育による改善がより多く期待されることから刑の執行中の少年の改善の度合いに応じて処遇に弾力性を持たせるという趣旨です。

しかし特定少年については成年としての立場で言い渡すことになるので(定期刑)、厳しくなります。

特定少年の「保護処分」

18歳以上の少年(特定少年)でも、検察官に逆送される事件以外は保護処分を受けることになりますが、その内容は

○ 少年院送致
○ 2年間の保護観察(遵守事項に違反した場合には少年院に収容することが可能)
○ 6か月の保護観察

とされ、家庭裁判所が、犯した罪の責任を超えない範囲内でいずれかを選択することになります。

特定少年の少年院送致における収容期間は、家庭裁判所が、犯した罪の重さを考慮して、3年以下の範囲内で定めることになるのです。

最後に

成年年齢の引き下げなどで、18歳、19歳の人は成年として自分の意思や判断でできることが多くなり、大人の仲間入りしたような感じになりますよね。

でもその分、成年としての民事的、刑事的、そして社会的な責任も重くのしかかってくるのです。

そのことをよく認識し、自覚しながら、法律にしたがって、適正な生活をするようにしましょうね。

成年になってもすべて自分でできるわけではなく、まして学生のうちはほとんどのことを、保護者に助けてもらうことになります。

生活費や学費など面倒見てもらっていることを忘れないようにし、よく相談し、話し合いながら物事を進めるようにしましょうね。

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