自転車もルールを守らないと大変なことになる~ルールを守って安全な利用を!~
自転車が守るべきルールはたくさんあります。わかりにくく複雑なルールも・・・
自転車の違反取締りに「青切符」の導入も検討されている今だからこそ、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けましょう。
目次
交通事故における自転車側の法令違反
警察庁の交通事故統計では、自転車が関わる事故のうち自転車側の8割に道路交通法違反があるようです。
交通事故には、自転車を運転中の転倒や塀などの工作物に衝突する「単独事故」もあるが、一般的には二つ以上の交通手段たとえば「自転車と車」、「車と人」が衝突・接触することで発生します。
当事者のいずれか一方もしくは双方に交通ルールを怠る、つまり法令違反があり、自転車側の主な違反としては一時停止、信号無視 安全不確認などが多いということです。
自転車に対する交通指導取締り
自転車に対する交通指導取締りでは
信号無視違反、一時不停止違反、しゃ断踏切立入
などの検挙が多く、また検挙に至らない指導警告票の交付数なども多です。令和4年中のデータは下記表のとおりです。
信号や標識を守る
自転車を利用する皆さん!
今一度ルールを確認して自転車を利用してください。特に信号や交通標識に従うことは、交通事故防止のための必須事項です。
信号に従う
「信号を守ろう」と子どもの頃から何度も聞いてますよね。
でも、信号機に「歩行者・自転車専用」という標示板が付いている場合にどの信号機に従うべきなのでしょうか?
意外にもこれが間違いやすいんです。確認し従うべき信号機を誤らないようにしましょう。
詳しくは「自転車はどの信号に従えばいい?」を参照してください。
下図のように標示板が付いている歩行者用信号機のあるところでは、車道を走っている自転車もこれに従わなければなりません。
また、自転車が横断歩道や自転車横断帯を進行する際、歩行者用信号の方が車両用信号よりも早めに赤色になるので、歩行者用信号の灯器が点滅を始めたら止まりましょう。
標識に従う
一時停止場所では必ず止まる
「止まれ」や「通行禁止」などの規制標識に従いましょう。
特に「止まれ」の標識のある場所では、確実に止まって安全を確認すること。
でもこれが守られていないのです。
「止まれ」の標識があることは分かっていても、ちょっとブレーキをかけただけで止まらずに交差点に進入したり、ブレーキをかけずに交差道路に進入する自転車もいます。
その結果 交差道路を走ってきた車や自転車、歩行者などと衝突する事故も多いです。
「いつも通っている道路だから」「あまり交通量のないところだから」と誤った認識は払拭しましょう。交通の場は常に変化しています。
自転車も急には止まれない
ママチャリといわれる自転車(約17km/h程度)も危険を感じてブレーキをかけてから止まるまでに約6mも必要なのです。
※自転車の制動基準では「時速10km/hのとき、3m以内の距離で停止させることができること」となっている。
自動車が時速40km/h速度で走行中、危険を感じてから停止するまでに17mも進んでしまいます。一時停止を怠って交差点に進入してきた自転車に気づき急ブレーキをかけても事故を避けらないのです。
一時停止場所での停止と安全確認のポイント
「止まれ」の標識のある交差点では、停止線の直前で一旦停止して左右の安全を確認しましょう。
特に、見通しの悪い交差点では、停止線直前で一旦停止してから交差する道路の安全が完全に確認できるところまで小刻みに発進停止・安全確認を繰り返し、交差道路の安全を確実に確認しまします。
歩道のある見通しの悪い交差点で停止線を越えてしまうと、歩道を通行中の歩行者や自転車との衝突の危険性が高まるので要注意です。
横断歩行者等を優先する
横断歩道等における歩行者等の優先
自転車運転者に認識が薄いのが「横断歩行者妨害」という違反で、
- 信号機の設置されていない横断歩道
- 信号機が設置されている横断歩道(歩行者用青信号に従っている横断歩行者)
を横断している歩行者等の通行を妨げるような行為を行うことをいいます。
例えば、信号機のない横断歩道に近づいた場合に、横断歩道を横断しようとする人がいないことが明らかな場合以外は徐行し、横断歩行者がいるときは横断歩道手前の停止線で一時停止し歩行者の横断を妨げてはならない」ということです。
下のイラストのように、ときどき横断歩行者の直前を自転車で縫うように通過したり、車が横断歩行者を優先しようと横断歩道の手前で停止してしているのに、自転車がその車の側方を通行して横断中の歩行者と衝突しそうになるなど危険な状態を見かけますが違反です。
横断歩道等を渡る歩行者がある場合には、自転車は一時停止して歩行者を優先させ、歩行者の安全を確保しましょう。
横断歩道のない交差点における歩行者の優先
道路交通法では「交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。」とされています。
交差点やその付近では横断歩道がなくても道路を横断している歩行者が優先であることを忘れないようにしましょう。
歩行者優先のルールを守っていないドライバーが多いことから、警察等では違反取締りや横断歩行者を守ろうというキャンペーンなどを行っています。
また、歩道を自転車で走行する場合にも歩行者優先であることを忘れないように!
安全確認は自分の目で!
安全確認は「自分の目で確実に行う」こと。
安全確認は極めて重要な行為です。
特に、見通しの悪い交差点を通行するときや進路変更するときには必須な行為です。
“見たつもり“という程度の安全確認では不十分です。
しっかりと自分の目で、車の来ないこと,人のいないことを確認することが必要です。
進路変更する場合の安全確認のポイント
自転車で車道を走行中、駐車車両などがあり進路を右に変える場合などに安全確認をどのように行っていますか?
自転車で走行中に右後方の安全確認をしようとすると、無意識のうちに体や首と一緒にハンドルもとられ右方向に自然に曲がったり、ふらついたりと運転操作が不安定になります。
そのため進路変更時に後方から進行する車との接触事故も多いです。
事故防止のための安全確認方法としては、無理をせず、一旦道路左端に停止して後方や対向車の有無を確認するようにします。
また、ふらつかないようにしっかりハンドルを固定して短時間で確実に安全確認を行うようにしましょう。
万が一の交通事故の際にやるべきこと
もし万が一交通事故が発生した場合には
- すぐに止まる
- 怪我の状況の確認と救護する
- 必要により救急車の手配をする
- 警察に届ける
を行いましょう。
相手方に怪我がない場合でも速やかに110番等により交通事故の発生したことを報告しましょう。
これを怠ると「報告義務違反」(いわゆる「当て逃げやひき逃げ」)等になり、懲役または罰金刑に該当します。
交通ルールを守らないことのリスク
一般的なリスク
交通ルールは道路という限られた空間の中で、自転車や歩行者、車など異なる交通手段が共存し効果的に道路を使用するための決まりです。
この決まりを守らないために交通事故が発生した場合、損害賠償などの経済的な負担や交通事故に係る刑事責任などのリスクを負うことになります。
また交通事故に至らなくても、罰金や今後導入が見込まれる反則金制度などによる経済負担や、基準外の電動キックボード等を運転し無免許運転で検挙された場合などに学校等で処分を受けるなどのリスクが生じることもあります。
「自転車運転者講習」受講義務
自転車で一定の違反行為(危険行為)を3年以内に2回以上行い検挙された者は「自転車運転者講習」を受講しなければなりません。
自転車の取締りが強化されたことによって講習受講対象者が増加する傾向にあります。
この制度の対象となる違反行為(15種)は下表のとおりです。
自転車にも反則切符(青切符)が適用される?
警察庁では自転車の交通違反に対しても交通反則制度を適用し、車と同じように反則切符、つまり「青切符」で処理する制度の導入の検討を始めましたね。
自転車の交通違反は、現在「赤切符」を作成して検察庁に書類送致されます。
その後「起訴」、「裁判」を経て罰金等の処分が言い渡されるという仕組みになっています。
しかし赤切符で検察庁に送られたもののうち実際に起訴され裁判になるのは約1~2%程度とペナルティ効果が極めて低いです。
本来交通反則制度は、自動車運転者の比較的軽微な大量の交通違反を迅速に処理することを目的とする制度で、交通違反の種別毎にあらかじめ「反則金額」を定めておき、一定の交通違反をした場合にペナルティとしてその反則金額を納付することで裁判等に進まずに処理を完結し、その後の交通安全意識や交通ルール遵守意識を高めようという制度なのです。
自転車の違反にもこの交通反則制度の適用が検討されています。
決まり次第改めてお知らせします。
おわりに
自転車利用者の皆さん!
ルールを正しく理解し、必ず守るという習慣をしっかり身につけておくことが自分を守ることにつながります。
自転車を安全に利用するためにもルールを学び、守るということを実践してくださいね。
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