『スパゲティコード・ラブ』観た?

映像クリエイター、丸山健志の長編初監督作『スパゲティコード・ラブ』。

映画を見終わった後、監督が「MONDO GROSSO / ラビリンス」の映像監督だと知って妙に納得してしまいました。役者の撮り方、キャラクターの切り口が絶妙な距離感。

2021年、若者の日常を最も自然に描写している作品

MVやCMを撮っている監督が映画を撮ると賛否が分かれる作品が多いですが、この映画を見た人は誰しもが自分と重なる部分を見つけてしまうのではないでしょうか。

それぞれの承認欲求を深読みしてもいいし、流してしまってもいい。こちら側の気分次第で何度でも楽しめる仕上がりになっていると感じました。

東京で過ごす未来に希望が持てない13人の若者の話、という見方もできますが、もしかするとそれは今の時代に最もリアルな13通りの夢なのかもしれない。

2021年、若者の日常を最も自然に描写している作品だ!

「執着と好きは別物」

この映画に出てくる13人の若者。それぞれのストーリーの点と点が線でつながります。

ある若者は恋人に執着しすぎて離れてしまい、ある若者はモデルの仕事で自分の世界観を優先させ、周りから避難されても自己顕示欲を抑えられなかった結果、本業であるモデルを退いてしまう。

またある若者は大好きなカメラを仕事にしようと執着した結果、転機となる大きな仕事を依頼されるが、その仕事が上手く行かず。結局仕事に執着せず、また好きなものだけ撮るようになったり・・・

人間関係も仕事もなんでもそうですが、何かに執着しすぎることは自分を苦しめるだけであって、それ以外の拠り所を別のところに探すことが大切だと実感しました。

東京で生きていくこと

「東京は大きな夢や希望が溢れる街だが、そのほとんどが叶わず死んでいく」という言葉を聞いたことがあります。

そんな退廃的な描写とは反対に、この映画では”東京に生きる”現実を突きつけられながら、だから東京には様々な生き方があること、遠回りしても自分の目標は達成できると、そっと背中を押してくれるような前向きになれる映画でした。

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