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【音楽サブスクの音質5社聴き比べ!】プロのレコーディングエンジニアが忖度なしで評価してみた。Apple MusicとSpotifyどっちがいいの?

Apple Music、Spotifyをはじめ、音楽ストリーミングサービスには様々な種類がありますが、みなさんはどういう基準で選んで使っていますか?

最近どのサービスも同じような価格帯になっているので、使い勝手や知名度、なんとなくずっと使い続けている方も多いのではないかと思います。

しかし、せっかく聴くなら好きな音楽を良い音質で聴きたい!音質でサービスを選ぶという選択もできるのではないか、と思い「そもそも音質って違うの?」という疑問を検証してみることにしました。

編集部がお世話になっているプロのレコーディングエンジニアさん2人に協力していただき、メジャーな5社を聴き比べてみました。

調査した音楽ストリーミングサービス5社

調査した各種音楽ストリーミングサービスは下記となります。

検証基準

「音質」に特化して比較するため、プロの意見を参考に条件をできるだけ揃えることにしました。下記の条件を基準に検証していきます。

  1. AACファイル形式で320Kbpsを基準とする(YouTube Musicのみ256Kbps)
  2. MacBookAirからUSB経由でスタジオのスピーカーで検証
  3. iPhoneのLightning端子からヘッドフォン端子に変換して、ヘッドフォンとイヤホンで検証
  4.  「音量の自動調整機能」はオフにしている状態
    (音量の自動調整機能とは、それぞれ曲の音量が異なる場合、大きい曲は音量を下げ、小さい曲は音量を上げ、シャッフルで再生をしても音量のバラツキを自動で補正する機能)

音質チェックといえばポール・マッカートニー

今回の音質チェックで聴いた曲は以下のとおりです。

・ポール・マッカートニー「I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter
・Masego「Queen Tings

全ての楽器が目の前で演奏されているかのような臨場感、ピアノやウッドベースのリアルな音色など、音質チェックの大定番でもある、ポール・マッカートニーのアルバム『Kisses On the Bottom: Complete Kisses』から「I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter」を試聴しました。

また、超低域から超広域まで近代的なワイドレンジな音質、ビートも歪まずに歯切れよく再生されているかを確認するため、Masegoのアルバム『Lady Lady』から「Queen Tings」を聴きました。


Macで検証

まずはMacBookAirで聴いていただきました。

※デバイス、OSのバージョンによっても音質は若干異なるとのこと

YouTube Music
ガシャガシャとした雑な音がありますね。昔のエンコーダーみたいで位相が悪く、平面的な音でかなり歪んでいます。歪みが感じられるため低域の伸びが弱い印象がありますね。

Amazon Music(ブラウザ)
総合的に結構良いのではないでしょうか。低域の歪みが気になりますが。Spotify、Apple Musicと比べて、少し奥行き感がなく聞こえます。

LINE MUSIC(ブラウザ)
奥行き感が全くなく、全体的にかなり歪んでいるため解像度が落ちていますね。カセットにダビングしたみたいになっています。この中だと一番音質は残念かもしれません。歪みの影響で打楽器のシャープさが減ってしまい、ノリが変わって聞こえます。この音質でビートミュージックを聴くのはもったいないです。

Spotify
高域から低域までバランス良く再現していて、気になる歪みもありません。ローエンドの伸びは粘りがあって比較した中では一番心地良いです。ドーンと沈み、超低域まで再生可能なイヤホンだと違いがわかりやすいと思います。個人的にはとても好みです。

Apple Music
音質でいうと一番良いです!音色良し、奥行き良し。ふくよかで所謂アナログっぽい弾力があります。実態のある自然な低音だからそうなるのでしょうね。今回の趣旨とはズレますが、他のストリーミングサービスには無いロスレス配信も魅力的ですね。

ロスレスとは?

一般的なオーディオ圧縮と比べ、オリジナルのデータをほぼそのまま維持する圧縮形式のこと。データの破損が少ないため、高音質になります。 「ロスレスオーディオ」ともいう。

Apple Music のロスレスオーディオについて

PC(MacBookAir)で聴いてみて

それぞれの違いに注目してみましたが、とのサービスも想像以上にクオリティが高く、10年前と比べると、音質の差はかなり縮んでいると思いました。

あえて言えば1番音質が良いと感じたのはApple Musicですが、本当に僅差。Appleの音質の良さにはサブスク業界での歴史の長さも関係しているのではないでしょうか。

スマホで検証

続いてスマートフォンで聴いていただきます。

YouTube Music
歪みが気になりますが、ブラウザより改善されている印象です。ちょっと解像度が落ちて膜がかかってる音ですね。

Amazon Music
音色は悪くないですが解像度が一段落ちています。歪みはやはり気になります。

LINE MUSIC
ブラウザのときより多少改善されています。ただし、ほかのサービスと比べると、明らかに音が雑な印象です。

Spotify
かっこいい音がします!生楽器編成も、ビートミュージックも聴いていて楽しい、元気で明るく、ドンシャリとも言えます。

Apple Music
やはり他と比べて1番音が良いですね。Spotifyよりも中域から低域に余裕があり、歪みも感じないので大きい音量で聴いても疲れない。

スマホで聴いてみて

音質の良さはPCで付けた順位と変わりませんが、全体的にブラウザで聴いたときよりも音が良くなっている印象です。やはりApple Musicは音質が自然で圧縮された感じが少なく、聴きやすいです。

また、今回はイヤホンの変換ケーブルにAppleの純正のものを使いましたが、あまり品質が良いとは言えないので、もっと高品質のものを使うとさらに違いがわかるかもしれません。

イヤホン専門店のeイヤホンが変換アダプタについての記事を出しているので、こだわりたい方はぜひ読んでみてください。

参考:AppleのiPhoneにおすすめの変換アダプタをイヤホン・ヘッドホン専門店が厳選

音質以外の評価ポイント

Apple Musicの音質が良いと感じたにもかかわらず、お二人はこれからもSpotifyを使いたいといいます。その理由を聞くと、「使い勝手」と「新しい音楽に出会える」という点を重視していました。

”Spotifyはプレイリスト機能が良くできてるんですよね。とにかく新しい音楽にどんどん出会える。

使い勝手でいうとアプリの立ち上がりが早く、すぐに音楽を流したい場面でも信頼できます。エンジニアとしてすぐに音楽を流さないといけない場面があるので、そんなときにとても助かってます。

僕は仕事の道具として使うため、僅かな音質の差よりも、検索の精度や画面の見やすさなど、使い勝手を重要視しています。そんな事もあり以前はApple Musicでしたが、Spotifyが登場してから乗り換えました。”

音質ランキングまとめ

結論として、音質が良かったのは「Apple Music→Spotify→Amazon Music/Youtube Music→LINE MUSIC」の順でした。ただし、あくまでも僅差ということをお伝えしておきます。

今回は「音質」という観点でMacBookAirとスマートフォンで検証しましたが、さらに厳密に検証しようとするとMacかWindowsか、ブラウザの種類の違い、スマートフォンのメーカーによっても音質が異なるそうです。

音質と音楽体験について

最後に、レコーディングエンジニアではなく、日常の中で音楽を楽しむ一般リスナーとして「音質」について伝えたいことをお聞きしました。

”いちリスナーとして、膨大なデータ量が必要なハイレゾ音源に興味はありませんが、日常的に音楽を聴く場合でも、例えば128kbs以下など(=とても低いビットレート)での視聴は、音質が「良い音/悪い音」という個人の好みとは異なる問題だと思います。「音質そのものが悪い状態」での音楽体験は、アーティストが表現した本来の音が鮮明に聴こえないため、楽曲の印象に大きく関わる問題だと感じます。

まずは設定画面を開いて、低音質になっていたら高音質に変えてみる。そうして高品質な音に毎日触れていると必ず耳が育ちます。「良い音」「悪い音」の基準も変わっていきます。そして改めてサブスク各社の音質を聴き比べてみても面白いと思いました。”

ご協力ありがとうございました!

<参考|Apple Music、Spotifyでの音質設定方法>

各サービスリンクまとめ

Apple Music

Spotify

YouTube Music

LINE MUSIC

Amazon Music

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