• HOME
  • コラム
  • 【SNSの誹謗中傷】被害にあったら、どうしたらいい?相談先や具体的な対策について

【SNSの誹謗中傷】被害にあったら、どうしたらいい?相談先や具体的な対策について

あなたはSNSで晒し(さらし)や誹謗中傷の被害を受けたことはありませんか?

これまでにも説明したように(URL:https://neonavi.info/6591/など)最近多い誹謗中傷事案。もしあなたが知らないうちに、あなたを侮辱、誹謗中傷するような記事やあなたの顔写真などが勝手にあげられ、プライバシーが侵害されるようなことがあったら・・・。

こんなつらいことないですよね。そういうときどうしたらよいでしょうか?

「誹謗中傷」とは?ちょっとおさらい

刑法が改正されて、具体的な事実を上げないで他人の外部的評価を害するような行為をすること、例えば、「頭が悪い」「気持ちが悪い」のような個人の主観による誹謗中傷でも、人の評価をおとしめる可能性がある場合には侮辱罪になることがあります。

また、脅迫や危害を予告する内容の場合には、脅迫罪や殺人予備罪などになることも・・・。

誹謗中傷被害の相談先は?

あなたの顔写真や動画、作品などを勝手に使用されSNSに無断で公開されたり、肖像権や著作権を侵害された場合にはどうしますか?

結論から言うと

① 警察に相談する
② 弁護士に相談する
③ 学校等(書き込みが者が学校関係者の場合)に相談する

などが考えられます。
これらについて簡単に説明します。

誹謗中傷の相談①警察に相談

どのような内容にせよ、自分自身を誹謗中傷する記事があることに気がついたら、ご両親など保護者に話をして速やかに警察に相談しましょう。

担当は、警察署の「生活相談係」です。

記事の内容等が名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪にあたるのかどうか、どう対応したらよいかなどについて相談してみましょう。

生命身体等への危害告知がある場合は直ちに!

嫌がらせ記事の中には、殺害や身体・財産などへの危害を与えることを内容とするもの、例えば「お前を今月中に殺す。」とか「死ね!」などというような内容が頻繁にあげられ、またリツイートされて拡散されていることがあるかも知れません。

生命や身体等に危害を与えることを内容とするものは、悪質で危険な行為です。

違法性が認められ、相手方の真意、つまりいたずらなのか真に危害を与えることを予告しているのかがわからない場合が多いです。

とはいえ対応が遅れると最悪の結果が生じる可能性もあるので、「緊急性の高い事案」といえます。気がついたらすぐに警察に相談した方がよいですね。

親告罪には「時効」がある!

速やかに警察に相談したほうがよい理由のひとつに「時効」があります。

名誉毀損罪や侮辱罪などは「親告罪」といって、被害を受けた方が捜査機関に告訴(犯罪を申告し処罰を求めること)をする必要があります。

そして「犯罪があることを知った日から6ヶ月以内」に告訴しないと犯罪の捜査や処罰ができないという決まりがあるのです。

つまり名誉を傷つけられた、または侮辱されていることを知った日から6ヶ月以内に警察等に申告(届出)することが必要なのです。

刑事訴訟法第235条

親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。

また、もう一つ、犯罪には「公訴時効(こうそじこう)」というのがあります。

これは犯罪行為が終了した時から一定期間(名誉毀損罪、侮辱罪は3年)を経過すると、捜査機関が捜査しても、検察官が起訴し刑事裁判で処罰を求めることができないという制度(刑事訴訟法第250条)です。

ですから、名誉毀損罪や侮辱罪になりそうな誹謗中傷事案があった場合には、速やかに警察等捜査機関に相談し、必要なら被害届を提出して捜査を進めてもらう必要があるのです。

誹謗中傷の相談②弁護士

弁護士に相談するのもよいでしょう。

警察等の捜査機関は犯罪の予防や犯人の検挙という点では専門家ですが、その後の損害賠償手続きや民事裁判は行いません。

相手方が判明し、記事の削除や損害賠償に任意に応じてくれれば、弁護士を依頼して裁判手続きをとる必要はありません。しかし、法律的な手続きが必要な場合には弁護士に相談するのがよいです。

ただし、警察への相談は無料ですが、弁護士への相談は有料ですし、捜査活動は行いません。

警察に相談し、必要により弁護士に相談という流れがよいかもしれませんね。

誹謗中傷の相談③学校

学校生活に絡む内容、いじめ、発信者が特定されていて学校関係者(同級生等)である場合などには、学校に相談または報告をする必要があるかもしれません。

しかし、学校は生徒間のことは表に出したくないという傾向にあり消極になりがちです。

時効等の問題も考えて、できるだけ並行して警察等に相談することをお勧めします。

具体的な対応策

具体的な対応策としては、

  • 刑事告発(告訴)
  • 相手方が判明している場合に記事削除や謝罪を求める
  • 相手方不明の場合にはプロバイダー等に対する記事削除ための手続きをとる
  • 民事裁判(差し止め請求や損害賠償請求)を起こす

などがあります。

具体的な対応策①刑事告発(告訴)

時効に注意しながら警察や検察に相談し、刑事事件として被害届を出すことになります。

加害者(情報発信者・書き込みをした人)がわからなくても被害届では出せます。

具体的な対応策②あげられた記事の削除

ネット空間において一旦掲載されたものは無限に拡散することになり、広がったものの全てを削除するのは困難です。

とはいえ記事の内容はどんどん拡散し多くの人の目に触れることになりますので、できるだけ速やかに必要な手続きをとり削除依頼を行うべきです。

SNSの誹謗中傷投稿の削除はかなり厳しい

しかし一旦 SNS にあげられた記事などの削除についてはスムースにいきません。またその対応は SMS 接続事業者(プロバイダーなど)によって変わるようです。

その理由としては、SNSのシステム的なことと、憲法の保障する「表現の自由」の問題があるからです。掲載した相手方がわかっていればその人に削除してもらうのが一番早いのですが…。

相手方が不明、もしくは削除要求に応じてくれない場合などは、SNS の接続事業者等に削除を申請することになります。

削除申請を受けたプロバイダー側の削除の判断は、警察への届出等の状況や書き込みの内容等を吟味した上でということになるのが一般的。

しかし、過去の例だとプロバイダーが削除に応じない、海外のサーバー経由しており情報の流れが複雑で投稿者まで遡れないということがありました。

また、発信者情報の開示を求めるための法律的な手続きは専門性を有するので、個人ではなかなか難しい。弁護士等を依頼し必要な措置を講じることになるので、相応の経費が発生し大変です。

最終的にその経費は誹謗中傷等の記事を書いた相手方に損害賠償請求することになりますが、なかなか回収できないということも現実です。

改正プロバイダー責任制限法のポイント

インターネット上の誹謗中傷等を内容とする投稿による人権侵害等が問題となり、被害者救済を図るために、発信者情報(投稿者情報)の開示を迅速に行うことができるよう「プロバイダー責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が改正されました。

※2021年に改正、2022年10月1日施行。

被害者が損害賠償請求などを行うためには、投稿した人物を特定する必要があります。従来は2度の裁判手続を経なければなりませんでしたが、今回の改正で、1回の裁判手続(非訟手続)で、「発信者情報開示命令」「提供命令」「消去禁止命令」の請求ができるようになりました。

また、開示請求の範囲の見直しも行われ、ログイン時のIPアドレスについても開示請求が可能となり発信者を特定しやすくなったのです。

具体的な対応策③損害賠償請求を行う(民事裁判を含む)

誹謗中傷や晒し、肖像権の侵害などにより、人格権を害されたり名誉を傷つけられた場合には、民法第719条の規定に基づき損害を賠償してもらうことができます。

名誉毀損等で受けた損害、記事削除に要した経費、裁判費用などが請求できます。

とはいえ記事を掲載した相手方が請求に応じ、いわゆる示談で解消できればよいのですが、応じない場合は損害賠償請求のための民事裁判を行うことが必要になります。

当事者間の示談交渉は厳しい

SNS投稿による誹謗中傷の対象(被害者)になることもあれば、自分が意図せずに人の名誉を傷つけたり、肖像権等を侵害し、いわゆる加害者になる可能性もあります。

どちらのケースでも、皆さん方や保護者の方などが相手方と直接交渉し、解決することはかなり難しいですね。

損害賠償請求にも時効がある

ところで、損害賠償請求を行う場合にも「時効がある」ということご存じですか?民法では「権利の上に眠るものは保護されない」という考え方があります。

権利を行使しないまま一定期間を経ると以後その権利を行使できなくなってしまうのです。そのことを「消滅時効」といいます。

一般的な不法行為による損害賠償請求の消滅時効は、損害及び加害者を知ったときから3年間です。したがって、時効までに損害賠償請求を行う必要があります。

この場合の請求行為は裁判手続きだけではなく、直接相手方に請求するという行為でもよいですが、後日の紛議を防止するためにも文書を交わしておくことが望ましいです。

いったん請求したものの支払われないまま一定期間を経過(放置)すると再び時効が成立し、請求しても支払いを受けることができないことがあるので注意が必要です。

参考資料:改正民法(2020年4月1日施行)抜粋

1.不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効(民法第724条)
不法行為に基づく損害賠償請求権は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、時効によって消滅します。   
○ 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
○ 不法行為の時から20年間行使しないとき。

2.生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権の特則(民法724条の2)
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間については、
○ 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき。
○ 不法行為の時から20年間行使しないとき。

SNS保険(ネット保険)への加入も検討を

最近では SNSやWeb等 で迷惑を受けた場合にその経費の一部(弁護士費用、法律相談費用等)や、相手方の権利を侵害した場合の損害を賠償することなどを内容とする保険が提供されているので、加入しておくのもよいでしょう。

加害的な行為、つまり名誉毀損や侮辱的内容をあげた、著作権や肖像権を侵害したなどにより法律的な損害賠償義務を負った場合などに保険金が支払われるほか、Webサイトでクレジットカード等の個人情報を盗まれたなどにより損害を被った場合などにも保険金が支払われるものもあるようです。

最後に

迷惑な記事や中傷記事をあげられたことに気がついたら、「時効」に配意し速やかに対応することが必要です。

未成年者の場合には単独で損害賠償請求などの手続きがとれないことが多いので、まずは被害の実態をご両親など保護者の方と話し合って、警察などへ相談しましょう。

SNSは楽しく、正しくモラルをもって利用しましょうね!

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA