• HOME
  • コラム
  • 5月は「自転車活用推進月間」~自転車事故の実態は?~安全に自転車に乗るために

5月は「自転車活用推進月間」~自転車事故の実態は?~安全に自転車に乗るために

新緑の季節、これからの時期は自転車で風を切るととても気持ちよいですね。

自転車は、通勤・通学はもちろん、最近では健康増進やレジャー、環境に優しいなどの理由で利用者が増加しているそうですね。

「自転車活用推進月間」って?

「自転車活用推進法」という法律で5月中を「自転車月間」としているのですが、知ってますか?

春先は、新入学、進級、そして新たな人生への出発などで自転車を利用する人が増え、これに伴い交通事故も多発する傾向にあるそうです。そのため、自転車の安全な利用を促進し自転車事故を防止することを目的に、イベントや各種啓発活動などを集中的に行うことにしているそうです。

あなたの周りや町のイベントなどで、自転車の安全利用促進キャンペーンなどを行っていることがあるので関心のある方は覗いてみて下さい。

交通事故は多いの?

ところで、運転免許の必要もなく、誰でも利用できる便利な自転車ですが、警察庁が発表した2021年中の交通事故の発生状況をみてみると・・・、自転車利用中の交通事故の傾向などが見えてきました。

実は交通事故全体は画期的に減少しているのです。

「交通戦争」って?

交通戦争の新聞記事(読売新聞)

ちょっと古い話ですが、昭和30年代から40年代にかけ、日本では1年間の交通事故死者数が、日清戦争での日本側の戦死者数(2年間で1万7282人)を上回る勢いで増加したのです。

そのため、一種の「戦争状態」であるとして「交通戦争」という言葉がマスコミによって使われ出したのです。

ちなみに最も交通事故死者数の多かった1970年(昭和45年)のデータはこちら。

  • 発生件数 718,080件
  • 死者数  16,765人
  • 負傷者数 981,096人

なんと一年間に約100万人もの人が、交通事故で死傷していたのです。

最近では?

昨年のデータを見てみましょう。

  • 発生件数 305,196件
  • 死者数  2,583人
  • 負傷者数 362,131人

死者数がピークだった1970年当時の自動車保有台数(二輪車含む)を、昨年の保有台数(8200万台)と比べると約5倍増。

車の数がすご~く増加しているにもかかわらず、事故の発生件数は約半分、死者数は約1/7、負傷者数も約1/3に減少しているのです。すごい減少率ですよね!

直近10年を見ても発生件数、死者、負傷者数ともにグラフのように減少しています。

なぜ事故が減少したのか?

一般的に、

○道路を利用する人の安全に関する意識が高まった

○自動車の安全装置の開発などによる車両の安全性が高まった

○信号機の設置や道路改良などにより道路交通環境が整ってきた

等によるものといわれています。

また、死亡者数の大幅な減少は上記に加え、ドクターヘリやドクターカーの整備などの救急医療体制が充実したことなどもあげられています。

どのような事故が多い?

ところで、どのような事故が多いのでしょうか?

死傷者数でみると、自動車乗車中の事故による死傷者数が最も多く、しかも昼間の事故が76.8%と多いです。それだけ経済活動等のために車が昼間に動いているということでしょうね。

死傷者数全体でも、昼間が75.1%と多くなっています。

次に多いのが自転車乗用中の死傷者です。約8割が昼間に死傷しています。これも自転車の利用が昼間に多いことを物語っていますよね。

歩行中の死傷者数よりも、自転車乗用者が多いということにはちょっと驚きですね。

より詳しくみると、時間帯としては朝の通勤通学の時間帯と夕方(特に日没時間の前後1時間である「薄暮時」)に多いです。いずれも自転車の動きの多い時間帯ですね。

特に、薄暮時は

  • 通勤通学・買い物など自転車の動きも活発になる時間帯
  • 陽が落ち始めて視界が悪くなる(見にくい)
  • 道路利用者に心理的な焦りや急ぐ心がある

などの背景があるようです。

自転車事故で多いパターンは?

もう少し自転車事故についてみてみましょう。

事故の態様、つまりどのような組み合わせの事故が多いのかということを、自転車が関係する事故の相手方別にみたのが次の表です。

10年前(平成24年)と昨年中(令和3年)を比較すると若干傾向が変わってきています。

昨年中は

自動車>自転車単独>二輪車>自転車>歩行者

の順位なっており、最近では自転車単独事故が増加していることを表しています。

昨年の構成率を比較すると、自動車や二輪車との事故が減少し、自転車相互、自転車単独、歩行者との事故の割合が大きく増加しています。

第一当事者と第二当事者とは?

交通事故に関係したすべての人(物の所有者を含む)を当事者といいます。

上記の表などで第一当事者(第1当)や第二当事者(第2当)と記載されていますが、この意味わかりますか?

交通事故統計では、「第一当事者」は、最も過失が重いか、最も人身傷害が軽い人のことをいい、「第二当事者」は「第一当事者」に準ずる人のことです。関係者が多数いる場合には更に「第三当事者」、「第四当事者」などと増えていきます

ちょっとわかりにくいですかね。

二台の車による事故の場合でいうと、過失、つまり責任度合いの高い当事者が「第一当事者」、少ない方が「第二当事者」ということになります

年齢層別では15~19歳の年齢層が最も多い

では自転車乗用中の死傷者数を年齢層別でみたものが下表です。

この10年で見ても15~19歳の年齢層の死傷者が最も多く、次いでその前後の年齢層(10~14歳、20~24歳)が多くなっていますね。

これは自転車が運転免許がなくても乗れることや、通学や遊びなどで自転車利用することが多い年齢層であるからかもしれません。

自転車にも法令違反が多い

自転車が関係する事故のうち、自転車側に法令違反がある割合は66.1%もあるのです。

詳細は下表のとおりですが、この傾向は10年前と比較しても大きな変化はありません。

法令違反別で多いのは

安全運転義務違反>交差点進行義務違反>一時不停止違反>信号無視

の順です。

安全運転義務違反には、「安全不確認」や「前方不注意」が多いのです。これも毎年同じような傾向です。

基本的なことが守られていないということですね。それにしても自転車利用者側の7割近くに違反があるというのはびっくりですね。

ヘルメットの着用が必要

自転車乗用中の死傷者の9割は、ヘルメットを着用していません。そのため自転車乗車中の死者の4割が頭部の損傷により死亡しているのです。

このような現状を踏まえ、平成4年4月に国会で道路交通法が改正されました。

これまでは、幼児を同乗させた場合にヘルメット着用するように努めることとされていたのですが、改正道路交通法は、

すべての自転車利用者はヘルメットを着用するように努めなければならない

こととされました。

皆さんも、自転車に乗るときはヘルメットを着用しょうね。

自転車が加害者になる事故は?

自転車が加害者的な立場になる事故とは、一般的に

  • 自転車対自転車
  • 自転車対歩行者
  • 自転車単独

の場合が考えられます。

上記の『相手当事者別事故件数の推移』にあるように、全体の交通事故件数は減少している中で、相手当事者が「自転車相互」、「歩行者」、「自転車単独」の事故件数や構成率が増加傾向にあるので、いわゆる加害者になる可能性のある事故が増加しているともいえますね。

「自転車対自転車」事故とは、その表現のとおり、自転車と自転車の衝突または接触事故。

その多くは一方の当事者または両方の当事者が転倒等によって死傷することがあります。

損害賠償義務が生じる・・・

自転車でも、相手方を死傷または相手の物を破損させた場合には、損害賠償責任が生じます。

相手方が「歩行者」である事故では、歩行者側が死傷することが多いことから、死傷した方に対して損害補償義務を負うことになります。

また、「自転車相互」の事故の場合でも、いずれかの自転車側、または両者に賠償義務が生じることがあります。

「自転車単独事故」は、自転車利用者が何らかの理由で自ら転倒した事故です。

自転車運転者だけが死傷する場合もありますが、例えば、友達を同乗(二人乗り)中の事故、幼稚園等の送迎のために幼児を自転車に同乗させている場合などの転倒事故もこの中に含まれるので、同乗者が死傷した場合には損害賠償義務を負うことがあります。

そこで、都道府県などでは『加入義務条例』を制定し、賠償責任保険に加入することを促進しています。

できれば傷害保険等にも加入しよう。

自転車相互や自転車単独事故が増加傾向にあることを考えると、傷害保険や生命保険等に加入しておくことも大切です。

自転車で転倒した場合、病院の治療代は国民健康保険や会社の健康保険によって救済されることが多いです。

でも治療代以外の入院時の諸経費や生活のための経費は生命保険や傷害保険などに加入していないと給付されません。

自転車保険などでも本人の入院や手術給付金が支払われる特約の付いているものがあるので、そのようなものに加入しておくと良いでしょうね。

最後に

皆さんも、自転車の基本的なルールを守って自転車を安全に利用しましょうね。

自転車交通安全教室や各種の交通安全イベントなどが開催されているときは積極的に参加してみましょう。新しい発見があるかもしれません。

保険に関しては保護者の方とよく話し合って、家族で情報を共有するようにしましょう。

では、Enjoy your bike safely

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA