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「自分を愛するには、自分を知ること」新宿二丁目ゲイバー【Barメンミク】オーナー・たつやパパ<インタビュー>

こんにちは!ベトナムの寺内です。

先日一時帰国で日本に少し戻りましたが、気温差15℃に身体がびっくりして滞在中半分は風邪を引いていました。

さて今回皆さんにご紹介するのは新宿2丁目でオーナー兼ママをされているたつやパパ(ママだけど呼び名はパパ!)です。たつやパパのお店「Bar メンミク」はゲイバーでは珍しい法人。そしてLGBTQの方は勿論、ストレートの男性や女性でも気軽に飲みに行けるお店として人気です。

そんなたつやパパが東京に来たきっかけは?カミングアウトは?など、いまセクシュアルや将来で悩んでいる方だけでなく、皆さんにとって身近にいる人の話かもしれないと思って読んでいただけたら嬉しいです。

たつやパパさん

1985年、福岡県出身。

高校卒業後はアルバイト先だった地元の寿司店へ入社。その後大手アパレル企業に入社し、入社2ヶ月後から全国売り上げ2位の人気販売員に。

副業で始めたゲイ専門マッサージ店でも人気となり、そのまま本業へ。東京の店舗の立ち上げスタッフになる。

後輩がオーナーをしていたゲイバー「Bar メンミク」にひょんなことから出勤するようになり、そのまま店長、オーナーとなり現在に至る。

「自分はおかしい」と思っていた10代

小学校時代のたつやパパ

たつやパパ 幼い頃から薄々、自分は男性が好きだと気付いていましたが、10代の頃は女性と付き合えば直せると思っていました。当時は情報も少なく、テレビに出ている人も“オネエ”や“女装家”と言われる方々で、自分とは違うと感じていました。

実際に彼女もいて、彼女のことも人間的に好きだったので家族ぐるみの関係でした。でも、やっぱり女性に恋愛感情や性的感情がなく、自分はおかしい・味方がいない、と感じることもありました。他に話せる人もいなく、死のうかな、と考えたこともありました。

自分の世界を見つけた20代

──自分ゲイであることや、他にも同じような人がいることがわかるきっかけは何だったのですか?

たつやパパ アパレル販売員をしていた時に、当時の上司と関係を持ったのがきっかけでした。彼がゲイの方が集まる飲み屋さんなどを教えてくれました。

その中で“ゲイ専門マッサージ店”の存在を知り、副業として働くようになりました。週2の出勤で本業のアパレルの給与を超えてしまい、そちらを本業にするようになりました。その後、東京に姉妹店を立ち上げる話があり、21歳の時に上京しました。

──立ち上げスタッフがきっかけで上京されたのですね。そこからどのようにゲイバーのスタッフになられたのですか?

たつやパパ そのまま7,8年マッサージ店で働いていましたが、28歳の時に「自分には履歴書に書けることがない」と30歳を目前に不安になりました。

ただ、当時は自分が“売れっ子”であるプライドがあり、どうしようと思いながらも相談できる人もいませんでした。

そんな時に当時後輩がオーナーを務める新宿2丁目のゲイバー「Bar メンミク(以下メンミク)」を訪れた時に「自分も店子(みせこ・ゲイバーのスタッフ)やってみたいなー」と軽く言ったところ、「週1でも月1でもいいから来て!」と言われ、ゲイバーの店子デビューをしました。

実際働いてみたら楽しく、出勤をどんどん増やしていきました。そして“自分は飲み屋の人間になろう”と思うように。気づいたらメンミクのチーママ(ママに次ぐ代表。副店長のような立場)になっていました。

ママに就任からのオーナーへ

26歳頃の写真

──ママへはどのようになられたのですか?

たつやパパ 当時のママはスタッフとよく揉めていて、私が止めに入ることも多々ありました。例えばオーナーが入れたスタッフに対し、ママは「私は認めてない」とお客さんの前でも喧嘩したり、自分のお客さん以外の人に暴言を吐くなど…そんなことが続き、立場が悪くなったママは退職。ママ不在で店を切り盛りするようになりました。

そしてある日お店のHPを見ると“たつや店長(ママ)に就任”と勝手に書かれていたんです(笑)。

──突然のママ就任だったのですね!(笑)

たつやパパ 「飲み屋は社会復帰のつもりだったのに!」と内心思いましたが、どうせママになるなら自分でガッツリやってみよう!と腹を括り、1年間雇われママをして、メンミクが4周年で私が31歳の時にお店を買い取り、その後株式会社にしました。

──飲み屋さんで株式会社は珍しいと思いますが、なぜ法人化されたのですか?

たつやパパ 人に恵まれていたからですね。自分の下についてきてくれる子のためにも、お店を法人化した方がいいと思い株式会社にしました。自分が支えているつもりでしたが、今は逆に支えられているんですけどね。

社員の皆さんとスキューバダイビング

カミングアウト

24歳頃、箱根にて

たつやパパのカミングアウト

──家族にカミングアウトはされていますか?

たつやパパ 21歳の時に母にだけしました。母は気づいていたのか「で?(笑)」て感じでした(笑)。そして「好きな人と幸せに暮らすのが一番」と言われたので救われました。

──素敵なお母さまですね。パパにご兄弟はいるんですか?

たつやパパ 姉、双子の兄、妹の4人兄弟です。姉には自分が23歳の時、妹には妹が高校卒業するタイミングで言いました。双子の兄は仲が良いのですが、何かわざわざ言いたくなくて…(笑)でもわかっていると思います。姉の子供(姪)は13歳なのですが仲良しで、私がゲイだと知っている上にBL漫画好きで…ただ最近のBLが割と描写が過激で少し心配になりました(笑)。

──ご友人にもお話されているんですか?

たつやパパ 地元の友人には24歳の時に話しました。理解しようとしてくれる友人はもちろんたくさんいましたが、その場では認めてくれても離れていく人もいましたね。

“ゲイ=自分も狙われている”と思う男性も多いですが、ゲイだからって男性全員を狙っているわけではないですし、みなさんの恋愛と同じでこちらにもタイプがあるので(笑)。

カミングアウトは無理にする必要はない

──カミングアウトをするべきだと思いますか?

たつやパパ カミングアウトは必ずしもしなくても良いと思います。カミングアウトは相手に自分を受け入れて欲しいエゴ、自己満足だと思います。「家族と向き合え」と言う人もいるかと思いますが、それはその人が家族と向き合えているからで、向き合えなくても問題はないです。

親も自分とは違う個人の人間なので、価値観が違うのは当たり前です。

ゲイが受け入れられない親ももちろんいます。“素の自分”を受け入れてくれない人に固執せず、物理的に距離や時間を置いていくのも良いと思います。言わなくてもわかってくれている場合もあったりしますし、家族と仲が良いのが全てじゃないです。自分のことを好いてくれる人や認めてくれる人は必ずいるので大丈夫です。

やりたいことがわからない10代へーとりあえずやってみる

たつやパパ 気になったことは何でもやってみたらいいと思います。

今の歳になって、興味があることにもっと手を出しておけばよかったと思っています。仕事だけじゃなく趣味でも、色んなことに手を出しておくと選択肢が増えるので。“男が好きかも?”と思ったら一度男にいってみるのもいいと思います。

──やってみないとわからないですもんね。仕事も恋愛も。

たつやパパ 周りの反応ばかり気にせずに生きた方がいいです。臆病にならずに。10代の自分にもそう伝えたいくらい!

“自分を愛すること”とは?

沖縄への社員旅行にて

たつやパパ 「自分を知ること」、だと思います。自己分析もですが、周りから見た自分がどういう人間か知って、信じることですね。

“自分は人に優しくない”と思っていても、他人から“優しい”と言われたり、だからこそ自分から離れないでいてくれたりする。私自身、自分が好きと思えるのも、今一緒に働いてくれている子たちのお陰です。

でも自分を守れるのは自分だけ

今いる場所だけで全てを知った気になったり、自分の評価や価値観を決めつけないことも大事です。もし今いる場所が嫌なら逃げてもいいんです。世界はそんなに厳しくないし、肩肘はらず緩く生きましょう。

まとめ

貴重なお話を聞かせてくださったたつやパパ、ありがとうございます!パパの人柄があってこそ、パパのお店は個性豊かなスタッフさんをはじめ、初めての来店の方や一人飲み、女性のみのお客さんにも人気のお店となっています。

いま20代の方はぜひ「Bar メンミク」を訪れてみてはいかがでしょうか?

※10代の皆さんはお酒は20歳になってから楽しみましょう!

お店にて。「ガハハハ」と笑うたつやパパ

■Bar メンミク
住所:東京都新宿区新宿2丁目14−7 渡辺ビル 2F
電話番号:03-6457-4436
Twitter :@mensmixcafe


        

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