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「学校に行けない」ということと「人との関わり」【心理士のお悩み相談室】

以前は、「学校に行きたくない時」についてお話ししましたが、今日は「学校に行けない」ということについて少し深くお話ししたいと思います。

コロナ禍で突如決まった休校

先日、教室(上尾市/エイジア学習教室)の生徒から気になることを聞きました。

「先生、僕の学校は不登校児童が130人くらいいるんですよ」

彼の通う中学校の児童数は、確か900人を少し超える位です。多少の誇張を差し引いて考えても、随分と沢山の子ども達が学校に通えていないようです。保護者の方からも、似たような話を聞かないわけでもありません。

今からおよそ3年前の2020年2月、コロナ禍で学校が次々休校になり、我が家の一番下の子も二ヶ月以上学校に行くことが出来ませんでした。

「明日から、学校に来てはいけません」と言われ、小学校卒業前に楽しみにしていた行事は、全て中止となりました。また、私の暮らす県では、公立高校の受験日前日に「学校休校」の発表が県知事からあったのでした。沢山の子ども達が、いきなりのことに動揺しました。泣きながら帰宅した子もいます。

未知の感染症であり、国からの要請もあったため仕方のなかったこととは言え、せめて高校受験が終わるまで、待てなかったのか?と、当時憤りを感じました。たった一日のことなのに。(休校の開始は、各自治体の判断)。

繰り返される休校や学級閉鎖

ここからは、皆さんが知っての通り、学校休校や学年・学級閉鎖が繰り返されました。

また、学校行事が中止や縮小され続け、修学旅行に行けない子もいましたね。もちろん、何が正解かわからないなかでのことでした。仕方なかったといえば、それまでです。

でも、私がどうしても許せないのは、このようなできごとになぜ、子どものメンタルケアが必要であることを大人たちが気がつかなかったのか、ということです。

子どもが、自分の意思と関係無く「学校に行けない期間があったこと」、「お友達とでかけたり遊んだりする時間が減ってしまったこと」、それがどの程度今の状況に影響を与えているかは、まだはっきりとは、わかりません。でも、少なくとも皆さんの気持ちが置き去りにされてしまったことに対して、特別に配慮が必要でした。

学校で学ぶ大切なこととは?

皆さんは、学校で学ぶことは何だと思いますか?国語、数学、理科、英語、社会に音楽、美術や体育・・・と、本当にたくさんありますね。

でも、学校で学ぶ大切なことは、実は教科書を使った勉強だけではありません。ただ、知識を得るだけならば、今時様々な方法があります。インターネットを使って質問をすれば、見知らぬ人も、それに答えてくれるでしょう。

では、学校で学ぶ一番大切なこととは何でしょうか。私は、それを「対人関係」だと考えています。

ソーシャルスキルは集団生活で身につけるもの

「ソーシャルスキル」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

これは、社会の中で生活していくために必要な技能です。

家族の中では許される言動でも、全てが他人に通用するわけではありません。なぜならば、家族にとって自分は、それ以外の人より「特別な人」だからです。特別扱いをしてもらっているだけで、他人が同じことをしてくれる訳ではないのです。

もちろん、全ての親や家族が、わがままを聞いてくれると言ってる訳ではありません。なかには、他人以上に厳しい家族をもった人もいるでしょう。それはまた別の問題なので、ご希望があれば、後日お話したいと思います。

例えば友達と遊ぶ時に、やりたいことが別々だったとします。「私は、カラオケがしたい」、「私は、買い物に行きたい」、「スィーツ食べ放題に行こうよ」。皆の意見が、バラバラだったときに、あなたは一体どうしますか。「絶対にカラオケじゃなきゃ嫌!」と、自分の意見を通しますか?

もし、全員が自分の意見ばかり言っていたら、複数の友達で遊びに行くのはなかなかむずかしいですね。皆が自分と同じ意見になっているように思える時でも、実は「今回は、お友達の意見を優先しよう」と考えてくれていた子がいるかもしれません。更に、意見がぶつかってケンカになることがあるかもしれません。

そういった一つ一つの経験により、他人との関わりを学ぶことこそが、集団生活で身につけることができるスキル(技術的な能力)なのです。

人と関わらずに生きていくことはできない

以前ある方から、「今時は人と関わらずに仕事だって出来るし、古い考えですよ。」と言われました。はたしてそうしょうか?

業種にもよりますが、仕事をするのは対面じゃなくてもやりとり可能です。しかし、メールなり電話なりで、他人とコミュニケーションを取る必要があります。全く誰とも関わらずに、仕事をするのは難しいでしょう。

そもそも、その仕事を誰から発注してもらいますか?一方的に発信できる動画サイトで、広告収入を得るのも、そう簡単ではありません。

集団生活とは、社会生活を送るうえでもっとも大切なことを教えてくれる場所なのです。

学校が絶対とは言いません。

しかし、子どもの期間に沢山の他人(他の子ども達)と関わることは成長過程で大切なことです。例えばもし、あなたが学校に行くことができないのなら、小さなコミュニティでもかまいません。ほんの少しの時間でもよいので、外に出てみませんか。それは、習いごとや塾といった場所でもよいのです。

それは、この先あなたを助けてくれる技能の習得の場となるでしょう。

何かご意見や相談がありましたら、記事のコメント欄へ書き込み、またはマシュマロで質問や相談を気軽に投げかけてみてくださいね。

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  1. おーや

    高校1年生です。エイジア学習教室でいつもお世話になってます。

    • 稲村久美子

      え!誰だろう?読んでくれて、ありがとう。

  2. 匿名

    今回初めて稲村久美子さんの記事を読ませていただきましたが、不登校児童のことについてとても分かりやすくわかることが出来ましたこれからも読もうと思います

    • 稲村久美子

      返信がおそくなってしまってごめんなさい!コメントありがとうございます。読んでみたい、聞きたいことがあったらぜひコメント欄で教えて下さい。

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