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友達とケンカしたとき、どうする?【心理士のお悩み相談室】

友達とケンカしてしまった時、どうしますか?

先月は、社会生活をおくるうえで必要な「対人関係のスキル」についてお話ししました。今月は、その対人関係についてもう少し考えてみたいと思います。

「自分から仲直りのきっかけをつくる」理由

先日中学校を卒業したばかりの子から、とても興味深い話を聞かせてもらいました。

彼女は、「友達とケンカをしてしまった時に、そのことでいつまでも悩むのが嫌だから、基本自分からあやまるようにしている」とのことでした。

さらに、友達とケンカになった時、100パーセントどちらかが悪いということはあまりないので、「それならば、自分で仲直りのきっかけをつくったほうがよい」と考えているそうです。

確かに、ケンカ中の険悪な雰囲気は、相手だけでなく自分自身にもダメージを与えますね。話すきっかけがつかめずに気まずい雰囲気のまま過ごすのは、気分のすぐれることではありません。友達と仲良く過ごしたほうが自分も気分よく過ごせるので、結果としてそれが自分自身のためになるという考えはとても合理的です。

つい先日まで中学生だった子が、一体何がきっかけでそんなことを考えるようになったのだろう?と、私は驚きました。そこで「どうしてそう思うようになったの?」「いつから?」等々、いくつかの質問をしてみました。

彼女が話してくれたのは、中学に入学したばかりの頃は、友達とトラブルになることが多かったこと、お互い自分の主張をまげないことで、ケンカが長引いてしまったり、そのことで自分が傷ついて泣いたこともあったこと。

そして「よく考えたら、自分が学校にいる目的は友達とケンカして勝つことではない」と気がつき、「勉強をしたり楽しく学校生活を送ることが、自分自身が本当に望んでいることだ」という考えに着地したのだそうです。

彼女は、自分の体験を通して試行錯誤し、行動を変化・修正したのです。

学習とは、経験によって行動を変化させること

心理学では、動物(人も含めて)が、経験によって行動を変化させることを学習といいます。経験による行動の変化を対象とした研究領域があり、どのような経験がどのような行動の変化をおこすか、また、行動の変化をもたらすためには、どのような経験が必要かといったことを研究します。そしてそれは、なにも難しいことばかりではなく、皆さんが普段の生活の中で会得(理解して自分のものとすること)できることが少なくはないのです。

お友達と意見が食い違った時の対応については、前回お話をしましたが、私は子ども達が誰かともめたり、ケンカをすることが全てよくない行動だとは思いません。そこで学ぶことはとても多いからです。

ただし、ケンカというのは力関係や立場が互角(同じ)であって成り立つものだという点に注意しなければなりません。一方的に誰かをターゲットにして痛めつけるのは、ケンカでなくいじめです。そこに、よい行動につながる学ぶべきことは、何もありません。

それを前提としたうえで、お友達とはおおいにやりあって、仲直りを繰り返すことは、子どもが社会生活を送るのに必要なスキルを身につけるうえでの通過地点なのです。さきほど、話を聞かせてくれた彼女は、たくさんケンカをしたからこそ、自分がどう振るまったらよいのかを知ることができました。

それでも、ケンカで折れることができない場面とは?

そして彼女は更に、お父さんにそのことを話したところ「それでも、折れることができない場面に出くわす時が必ずやってくる」と、言われたそうです。

それは、いったいどんな時でしょうか?

私自身のことを言えば、もう二度と関わりたくない人に対しては、あやまらないこともあります。決別したいからです。他人に嫌われる必要はないですが、自分の意思を曲げたり我慢をしつづけてまで、誰かと一緒に何かをする必要は、それほどないと考えています。だからこそ、あまり好きになれそうもない相手には、あまり踏み込まないようにしています。適度な距離感をとって接します。

また、ご近所のように、ある程度おつきあいをしておいたほうが良い相手とは、挨拶程度のコミュニケーションをとるようにしています。長い時間同じメンバーで過ごす学校生活でも、その程度のコミュニケーションは必要でしょう。

また、仕事をするうえでは、多少自分の意思にそわないことがあったとしても、それは結果がうまくいくための意見でもあるので、よく話を聞いて結論を出すようにしています。

しかし、そこまで気をつけていても、時々ものすごい理不尽な攻撃を受けることがあるのです。

そんな時は、守る物や人のためにとことん折れない姿勢も大事なのです。「折れることができない」、「ひけない場面」とは、人によってそれぞれ違うと思います。

もし自分が「こんな時は、絶対にあやまりたくない」と、いうようなことがあったら、ぜひコメント欄で教えてください。

ケンカは、時には自分を成長させるために必要な手段です。しかし、自分が何を目的としているのかを見失わないでくださいね。

何かご意見や相談がありましたら、記事のコメント欄へ書き込み、またはマシュマロで質問や相談を気軽に投げかけてみてくださいね。

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